見出し画像

DAppsとは?【暗号通貨基礎用語】

DAppsは「分散型アプリケーション」の略称で、従来の中央集権的なアプリケーションとは異なり、ブロックチェーン上で動作するアプリケーションです。ブロックチェーンの分散性と暗号化技術を利用することで、透明性とセキュリティを確保した取引が可能になります。

DAppsの基本概念

DAppsは、ブロックチェーン上で動作するアプリケーションであり、中央集権的なサーバーではなく、分散的なネットワーク上で実行されます。また、DAppsはオープンソースのコードで構築されており、誰もがそのコードを閲覧し、監査し、検証することができます。このオープン性により、DAppsの信頼性が高まります。

DAppsの特徴

DAppsはブロックチェーン上で動作するため、ブロックチェーンの持つ以下のような特徴を持っています。

分散化

DAppsはブロックチェーン上で動作し、ピアツーピアのネットワークを利用しているため、中央集権的な制御がありません。ネットワーク上の各ノードが等しく権限を持ち、全体の運営に参加しています。これにより、システムの透明性が確保され、悪意を持った人間による不正を防ぐことができます。

プライバシー保護

DAppsでは、ブロックチェーンを介して取引が行われるため、ユーザーのプライバシーとセキュリティが確保されています。ブロックチェーンを活用することによって、ユーザーは自らの情報を保護しながら、データ共有や取引を実行することができます。

検閲耐性

DAppsは中央集権的な機関や管理者の許可を必要とせず、オープンなブロックチェーンネットワークに接続できます。政府や企業などの中央機関による情報の検閲や制限を受けず、自由な情報交換や取引が可能となります。

DAppsの仕組み

DAppsは中央管理者がいないため、通常のアプリケーションとは動作や運用の方法が異なります。

スマートコントラクト

DAppsは通常、スマートコントラクトによって管理されます。スマートコントラクトはプログラムされた条件が満たされると自動的に実行されるため、第三者の介入を必要としません。人間の介入を必要としないため、従来のアプリケーションより効率的な取引が可能となります。また、スマートコントラクトのコードは公開されており、誰もがその内容を検証できます。これは、取引の公正性と透明性を保証し、不正行為を防ぐ役割を果たします。

トークン報酬

アプリケーションでやりとりされる情報をもつ価値(トークン)を、ネットワークの健全性とエコシステムの維持のために報酬として与えることも特徴の一つです。これによって、マイナーやステーカーなどの貢献者にインセンティブとして報酬が受け渡され、DAppsのエコシステムが持続していく理屈となります。また、トークン報酬をDAppsの仕組みそのものとして組み込むことで、伝統的な資金調達を必要とせず、DApps自体でトークンを発行し、利用者が所有することで、資金調達、出資者への報酬、収益化という一連の流れをすべて完結させることもできます。

DAppsのメリット

以上を踏まえて、DAppsが従来のアプリケーションより優れている点は以下が挙げられます。

・スマートコントラクトによる取引期間の短縮化
・人件費などのコスト減
・オープンソースによる透明性の確保
・ブロックチェーンによるデータ改ざんの起きにくさ
・プライバシーの保護
・障害やシステムダウンが発生しにくい
・小資金から運用できる

以上のようにDAppsの利点は多くあり、様々なビジネスでも活用が進んでいます。

DAppsのデメリット

一方でDAppsにはブロックチェーン特有のデメリットも存在します。

スケーラビリティ問題

DAppsでは利用者が増えると、ブロックチェーン上でのデータ処理に時間がかかる場合があります。また、利用者が増えるにつれて、ガス代と呼ばれる手数料が増えることも懸念されます。

プログラム変更がしづらい

DAppsは一度稼働し始めると、システムダウンすることなく動き続けるという特性から、プログラムの変更が難しく、バグが発生した場合、その修正は容易ではありません。また、アプリケーションのアップデートには参加者の合意形成が必要となることから、DAppsの開発は慎重に行う必要があります。

サポート体制が希薄

DAppsでは、強力な権限をもつ中央管理者が存在しないため、何らかの問題が発生した場合、基本的にはユーザー自身で対処する必要があります。従来のアプリケーションにあるようなサポートセンターのようなものは当然ありませんので、自己責任で取引を行う必要があります。

法整備の遅れ

DAppsに限らず、ブロックチェーンに関連する法整備はまだ発展途上です。何らかのトラブルに巻き込まれた場合、行政に頼ることができない可能性があります。

DAppsはどのように使われている?

具体的にDAppsはどのように使われているのでしょうか?
暗号通貨に関わる上で避けて通ることのできないDAppsがどのように活用されているのか解説します。

DeFi(分散型金融)

DeFiとは、「分散型金融」を意味し、ブロックチェーン技術を活用して、中央管理者を必要としない新しい形の金融システムです。スマートコントラクトを用いることにより、中央管理者を介さずに、直接的な金融取引が可能となります。

DeFiの一例として、DEX(分散型取引所)があります。これは、仮想通貨の取引所を自動化するサービスで、従来の取引所が必要とする中央管理者を必要とせず、ユーザー同士が直接取引を行うことができます。
また、レンディングやステーキングといった暗号通貨を預けることで自動的に利子を得ることができるサービスもDAppsを通じて自動化されています。
これにより、ユーザーは自分の仮想通貨を有効活用し、収益を得ることが可能となります。

DeFiは近年、特に注目を集めている分野であり、暗号通貨投資を行う上で理解しておくことは必須となりますので、別記事で詳細に解説します。

NFT DApps

NFTの取引もDAppsを介して行われます。
NFT DAppsの具体的な例としては、NFTのミンティングDAppがあります。これは、ユーザーがミントと呼ばれるNFTを作成する行為を行うことができる分散型アプリケーションです。ミントされたNFTはブロックチェーン上に保存され、他の資産と同様に取引や販売が可能です。NFT取引を行う際も、トークンの取引を行うのと同様にスマートコントラクトを用いて行われます。

トークンは、同じ種類のトークンであれば互いに交換可能(fungible)であり、価値が等しいと見なされるのに対して、NFTは交換不可能(non-fungible)です。
したがって、NFTの取引とトークンの取引の主な違いは、取引されるアセットの「一意性」および「交換可能性」にあります。トークンは交換可能なアセットを表し、NFTは一意のアセットを表します。そして、それぞれがDApps内で果たす役割も異なります。

ブロックチェーンゲーム

BCGと略されるブロックチェーンゲームは、その名の通り、ブロックチェーンを活用したゲームであり、DAppsの一種です。
ゲーム内で使用する通貨やアイテムはブロックチェーン上で管理されており、プレイヤーに実質的な所有権を証明することができます。
また、ブロックチェーンの特性上、チートプレイを防ぐことができるため、現実資産との取引も透明性をもって行うことができます。
これにより、ゲーム内の通貨やアイテムを外部のマーケットプレイスで売買することが可能になり、近年ではP2E(Play to Earn)と呼ばれるゲームプレイ中に入手したトークンやNFTによって現実資産で利益を上げる取り組みも人気を博しています。

DAppsの将来性

上述してきた通り、DAppsが持つメリットはWeb3.0の時代に即しており、今後さらに注目を集めていくでしょう。
金融、医療、不動産などの業界がブロックチェーンを活用し始めている現状をみても、今後様々な業種がDAppsを活用していく流れは活発になっていくと考えられます。
また、DAppsとその運用に必要なトークンの関係は切っても切り離せないため、暗号通貨市場にもこれから様々なビジネスの参入が予想されます。
暗号通貨は値上がり益を期待して購入する「投機対象」から、様々なDAppsのサービスを利用するための「決済手段」としてより需要を拡大させていくでしょう。

現在の投資家の関心は「どの暗号通貨を購入するべきか」というフェーズですが、今後はDAppsに将来性があることを前提として「どのDAppsが有望か」というフェーズに入っていくことでしょう。
これはまさに株式を購入する動機と同じであり、DAppsの台頭によって、暗号通貨は「投機対象」から「投資対象」にシフトしていくことでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?