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彼女のこと。

自分以外の誰かのことを改まって書くのは、これが初めてだ。

私の彼女について。

このセクシュアリティの界隈では知ってる人が少なくないであろう某掲示板。彼女との出会いは、私が投稿した出会い募集の投稿だった。

失恋を失恋で上塗りしていた夏、毎週のように違う誰かとアポをとっていた初秋。行き当たりばったりでじたばたするのに疲れてしまって、
これが上手くいかなければ休もうと決めていた。

「25歳以上40歳以下の方」

特に深い意味はなかった。なんとなく、自分の好みの傾向として歳上が好きだった。

そんな私の投稿に、彼女は目を留めてくれた。

「年齢が…」

私が個人的好みとして設定した年齢よりも、彼女はほんの少しだけ歳下だった。でも年齢なんて、ただの数字でしかない。私の投稿を隅々まで丁寧に読んでくれたのはメールの文面から伝わってきた。

つまらないことに囚われている私なのに、仲良くなりたいと言ってくれている。

この人と話がしたい。

すぐにLINEを交換し、連絡を取り始めた。
彼女は早い段階で自分の写真を何枚も送ってくれた。見た目が死ぬほどタイプだった。こんなことある?えっ、好き………

待て待て待て。突っ走りすぎ。

深呼吸。

深呼吸…している暇がなかった。
愛嬌たっぷりの文面、惜しみなく送られてくる写真が全て刺さり、通話越しの声は甘く、鈴を転がしたような笑い声が私の胸を溶かした。

5歳下に揺さぶられているアラサー。
滑稽な自分が、それでも何だか愛おしく思えた。

正直、最初の通話が切れた時にはもう好きになっていたと思う。私ちょろすぎる。

何度か通話を重ねて、実際に会えたのは出会いから1週間後。期待と緊張と不安が混ぜご飯みたいになっていた。結局、生身に勝るものは無く、ここで終わる可能性も0じゃない。

駅で待ち合わせ、彼女は現れた。

「かっっっこよ………」

自分がとっくに惚れ込んでいるのを忘れていた。目の前にいるのは、ただ掲示板でアポを取った人ではなく、私の好きな人だ。

終わる可能性が0になったのは、お互いの気持ちを再確認してハグをした瞬間。私の彼女になって、と、気付いたら口から出ていた。

恋の極み。ときめきの限界点。こんなに幸福でいいのかしら。それまで心を覆っていた不安が消え去り、重力がはんぶんになった。

トントン拍子ってこういうことを言うのかも。

そんな私達に、早くも最初の試練は訪れた。
起こった内容自体は最低だが、皮肉にもお互いの素の部分を曝け出すきっかけになった。


彼女の一番好きなところは、愛情表現が直球なところ。好きになったきっかけと言っても良い。いつも恋人らしさを大切にしていて、溢れんばかりの愛の言葉を注いでくれる。

しっかり者なのに天然で、愛嬌たっぷりで、男前でかっこいい見た目とは裏腹に、中身はどこまでも女の子な彼女。もう可愛くて可愛くて仕方ない。

まだほんの1ヶ月。

まだまだ、お互い知らない部分の方が多い。
知らないからこそ、失敗も衝突も何度だってあるはずで、私はその度に泣いたり怒ったりしながら、貴方を心の底から好きでいたい。

この1,317文字は、私からのラブレターです。

明日も来月も来年も、笑って笑って愛してね。
地球が割れるくらい愛してるよ。

出会ってくれてありがとう。

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