花見 失望

或いは私はただ
「実在する」花を見た後
花そのものに失望して
もう二度と花見に時間を費やすななど
自分に言い聞かせるかもしれない
「実在する」花を見た後
もう二度とあの白紙の上で咲く
一度見た事もない完全に墨染めされた桜を
見えなくなった
ああ、色と匂いは罪深いのものだよな
その両方を知った後で人は
その感覚の波の向こうにいる
真の桜を見えられなくなった
色と匂いの枷のに囚われた
「彼岸の花天地」、いま私が
近所に咲く椿を腐ている首吊り死体に見える


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