二浪文系、無名大から東工大大学院応用化学に合格!院試体験記

2浪実質文系、無名私立大から、2023年度東工大の物質理工学院応用化学系に合格することができました。科目は有機・無機です。
試験に遅刻したり、消しゴムを忘れたりハプニングが多発しましたが、何とか第一希望の研究室に内定できました。

自分の院試勉強について書いていこうと思います。
当時は自分も院試に関する情報の少なさに困り果てていたので、同じような方々の参考になれば幸いです。

勉強のおおまかな方針について

はじめに、要点を書き留めておきます。

・勉強は参考書中心でした。過去問は出題傾向や時間配分を把握するのみにとどめ、あまり熱心にやりませんでした。

勉強を始めたのは有機が3年生の9月、無機が1月ですが、取り組みにはばらつきがあります。基本的には毎日勉強するようにしていましたが、ほとんど勉強できない日もありました。時間は1日2~3h、多くて6hといった感じです。

・特に無機化学に関してですが、参考書のみだと知識不足なところが出てきてしまいます。例えば、固体の配位数に関しては、無機化学演習、無機・分析化学演習ともに代表的なものしか書かれていないので、シュライバーアトキンスなどの教科書で補う必要があります。

・使用した参考書リスト

有機:ブルース有機化学、有機化学演習 基本から大学院入試まで、有機化学演習3 大学院入試問題を中心に 

無機:シュライバーアトキンス、例題で学ぶ はじめての無機化学、演習無機化学 基本から大学院入試まで、無機化学演習(メイン)、無機・分析化学演習

勉強をはじめたとき

院試に向けて勉強を始めたのは大学三年生の9月頃でした。高校化学の知識すら不十分だったと思います。
エタノールとメタノールの違いは分からないし、酸や塩基、酸化還元も何のことやらという状態でした。

そんな惨状なので大学の有機の講義はすべて呪文に聞こえ、単位を落としました。教科書と1時間にらめっこしてもSN1、SN2反応が理解できず、芳香族を見分けることもできませんでした。超共役とかは今でもよく分からないです。

経緯はかなり端折りますが、受験校に関しては有機化学・無機化学の2科目で受験が可能な東大(当日サボって受験せず)と東工大を目標に据えました。有機は9月からやりましたが、無機は結局年明けの1月頃から始めました。

3年 9月頃~

大学の指定教科書であったブルース有機化学、そして新しく購入した有機化学演習 基本から大学院入試まで の2冊から勉強を始めました。

ブルースは他の大学生向けの教科書同様、その分厚さに面食らってしまいますが、実際読み進めてみると高校で化学を勉強してこなかった初学者以下の人間でも院試に必要な基礎知識が身につくように書かれていることがわかります。

したがって、はじめはブルースで、官能基やその反応機構を理解するための地盤(酸・塩基、pka、命名法)を固めました(前述の求核置換反応が理解できないのも、このような基礎が無かったので今考えれば当然)。
説明を理解するまで読み込み、大まかな内容を頭の中で再現できるようにしました。

そのようにして基礎の基礎をある程度身に着けた後は、ブルース1章分読む➡有機化学演習の対応する章の問題を解く という流れで勉強を進めました。演習問題に関しては、米印のものは飛ばしていました。

1日の勉強時間は2hか3h程度だったと思います。
年末か1月のはじめ頃までに、有機化学演習を9章まで(全14章、内容的にはカルボン酸のα置換、ペり環、スペクトルなどを残す感じ)1周することができました。

3年 1月頃~

有機に関しては大方終わらせたと思い込み、ほとんどやらなくなりました。
5月頃まで、有機演習の何回か間違えた個所を気が向いたときに見返す程度でした。

無機の勉強をはじめました。
こちらも基礎知識に関しては有機と同等かそれ以上に悲惨な状態で、族と周期の違いは分からないし、すいへーりーべ―の歌は歌えても、それに対応する元素がわからないから意味がないという感じでした。固体や電気に関しては言うまでもありません。

無機に関しては、例題から学ぶ はじめての無機化学 を読み進めるところからはじめました。例題から学ぶと書いてはいるのですが、例題を解くのがどうしても億劫で、各章の説明を頭に入れるのみでした。

こちらは文章が平易で分かりやすく、主要範囲に触れているなという印象です。ただ東工大院試という観点では、細かすぎたり逆に足りない知識が散見されるかなという感じです。

演習は、演習無機化学 基本から大学院入試まで から取り組みました。
参考書は別の無機化学演習(正確な名前は忘れた)が良く挙げられますが、前者の方が薄く、設問も初歩的なもの(院試の問題を解くには全然足りない、そしてたしか電気化学は扱っていない)が多いので、何も知らない人でも手が付けやすい印象です。

ひたすら例題と解説を読んで理解し、最終的には問題を見たときに回答を頭の中で再現出来るようにしました。各元素の性質に関しては覚えることが多く骨が折れました。演習問題についても同様に取り組みましたが、理解できない部分も多く結局なあなあな感じで終わりました。

紹介しておいてなんなのですが、メインに取り組んだのは無機化学演習の方で、例題から学ぶ~と演習無機化学は結局ほとんど身につかないままででした。
ただ筋金入りの初学者からするといきなり無機化学演習は荷が重すぎるので、院試に直接役立つとはいかないまでも、無機の雰囲気に触れるという意味ではとても良い参考書でした。

4年 4月~

有機は、有機化学演習の10章以降をのんびり進めていました。

無機の方は、無機化学演習を購入し、例題と解説をひたすら頭に入れました。演習問題は解かず、固体や錯体などの頻出範囲から取り組みました。電気化学からは直前期まで逃げ続けましたが、それいがいの範囲の例題は6月までに1周しました。

4年 6月~

有機化学演習を解ききっていないにもかかわらず、血迷って有機化学演習3を購入。とはいえ頭から解いたわけではなく、アルカンアルケン、芳香族、カルボン酸などの主要範囲の例題と演習問題をひたすらやりました。

有機演習3に関しては、有機化学演習と比べると負ける劣らずの網羅度で(自分はやりませんでしたが、有機金属も扱っている)、問題の難易度は被るところもありつつ、一段レベルの高いものも含まれている、という印象です。
これに取り組むメリットは、演習量を担保しつつ、有機化学演習にはない範囲をカバーできる点です。例えば、芳香族の決定問題が複数ある上解説も充実していたりします。

無機はというと、無機化学演習の元素の性質、固体、錯体の例題・演習問題に取り組みながら、それ以外の章の例題も始めました。電気化学からは逃げていました。
院試を直前に控えている不安から参考書の購買意欲が高まったのかわかりませんが、無機・分析化学演習を購入し、古風な文体や骨のある問題に苦しみつつ、頻出範囲を読み込みました。

4年 7月~直前期

有機化学演習は、残った範囲を何とか終わらせた後は完全に放置していました。有機演習3の例題と演習問題を見て、解法を頭で再現するのを何回も何回も繰り返しました。

無機化学演習に関しても、例題と演習問題を何周もしました。重い腰を上げて電気化学にも取り組み始め、はじめに例題から~で雰囲気をつかみ、無機化学演習の問題を解きまくりました。

化学式の係数を合わせて足し引きして、電気量を求めて、、という計算の仕組みはなんだ簡単じゃんとなりましたが、いざ手を動かして解いてみると何故か答えが合わず変にイラつかされました。電気分解が入ってくるともはや解説を読んでも理解できなかったので、基本問題のみひたすら取り組みました。

4年 まじの直前期

東大や東工大のホームページから過去問をダウンロードし、ぱらぱらと見ながら解法を思い浮かべるということを漫然と続けていました。(今回はいちおう東工大の対策の話なのでそれに絞ります)

自分の個人的な感触ですが、古いものは比較的解ける(7割くらい)けど、直近2年分は半分かそれ以下くらいしか分からないセットもあり、冷や汗が出ました。

有機に関しては、知っている反応のはずなのに、空欄形式で出題されるとあれっヤバイわからんとなるのが多かったり、高校生のとき苦手だった数1Aのグラフ問題(正確な名前は忘れた)を連想するという理由で避け続け、出題されても小問1個程度だろうと高を括っていたスペクトルが堂々と大問として鎮座しているのを目撃するなどしました。無機も、固体の配位数の知識が足りないことが判明したりしました。

したがって、今までの問題演習を続けつつ、反応機構を試薬も含めて白紙の状態から書けるようにしたり(結局完璧にはならなかった)、スペクトルに関しては官能基のグラフ内での大まかな配置を叩き込みました。無機の方も、アトキンスで固体の構造と対応する配位数をノートにまとめ、諳んじれるところまでもっていきました。ちなみに本番ではまとめたところがバッチリ出題され、消しゴムを忘れたことを忘れるくらいニコニコになりました。

さいごに

本番当日に関しても、電車を2回間違えて試験に遅刻したり座る席を間違えたり、書くことがいろいろあるのですが、対策については以上になります。
改めて振り返ると自分で突っ込みを入れたくなるくらい回り道をしていますし、合格に何が必要十分なのかを正確に示すことは残念ながらできないのですが、読んでくださった方それぞれが、使いやすいようにかいつまんで頂ければ嬉しいです。
ここまで読んでくださりありがとうごさいました!質問などコメントでお気軽にどうぞ。








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