彼岸前

あなたにまつわることを
たくさん知ってきたつもり
知らない方がよかったことも
いくつかあったけれど

あなたにとっても
ぼくは同じだったのか
知らなければよかったことも
やはりあったのだろうか

確かめられないからこそ
確かめたくなる人の性
同じだったと思いたい
確かめられなくなったからこそ

そう思ってやまないのは
あなたにとってぼくの存在が
無駄ではないと思いたいから
だとしたらなんて無様なんだ

つらい思いをするのは
いつだって愛情の強い方
誰かが歌った言葉に囚われて
ぼくは後悔を上塗りしていく

気がつけば何度目かの彼岸が来る
塗り替えられることのない過去を
引きずりながらぼくは生きている
あなたのいない世界の隅で

(2024.3.5.18:16)


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