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「不登校」は学校を休んでいても心は休んでいない

こんにちは!KAKOです。

中学校の教員をしています。

私が今まで教員として働く中で学んだことの一つは、「不登校」の子どもとその保護者との関わりです。


その前に、少しだけ自己紹介です。

息子と娘、すでに成人した二人の子どもがいます。
私が教師の仕事を始めたのは40歳。
理由は、娘に生まれつき重い障がいがあり、フルタイムでの仕事は無理だと思っていたからです。
そして、息子が学校に行かない(行けない)時期がありました。


順調とは言えない二人の子育てをしてから教師の仕事を始めたことは、とてもラッキーでした。

なぜなら、順調にいかない子どもと保護者の気持ちがとてもよくわかるからです。


不登校傾向の子どもは、学校を休んでいても心は休んでいない。
不登校傾向の子どもをもつ親は、周りに助けを求めている。

そう思います。


不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。

文部科学省 不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方

文科省の不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方では、以上のようになっています。

果たして適切な支援が行われているのでしょうか。



繊細ゆえに自分から周りを遠ざけてしまう

小学校4年生から不登校傾向になった生徒を中学1年~3年まで3年間担任しました。
明るくハキハキしていて活発な女の子。
行事では先頭に立ちよく動きます。
喜怒哀楽がハッキリしていて、友達とはトラブルになることもありました。

繊細な彼女は些細なトラブルを受け止められず、自分からトラブルを広げ、周りを遠ざけてしまいます。

そんな出来事があった翌日は、予想通り登校できません。

不器用で自分に正直すぎるくらい純粋な彼女は、人に対しても純粋でした。
学校に行けなかった日の放課後は、担任の私に会いに来てくれました。
苦しい胸の内を明かしてくれ、幼児みたいにワンワン泣いていました。

どれだけ放課後の時間を共に過ごしたのでしょう。
中3になったころには、私と彼女に信頼関係が築けていたと思います。

子どもから信頼してもらえて、初めて大人の(教師の)言葉が通じます。

誰だってそうですよね。

信頼できない大人の言葉が心に響くはずがない。


支援には、順序があるのだと私は考えています。


  1. 子どもに信頼されるように努力する。誠実に気持ちに寄り添い、話を聴いてあげること。子どもからの発信を見逃さないこと。一緒に笑ったり楽しむこと。                                    

  2. 信頼関係が築けたら、改善できそうなことを一緒に考え伝えていく。時には厳しさも必要。本当に思っていることは伝わるし、逆に本当に思っていることしか伝わらない。


彼女は現在大学4年生になりました。
入学や卒業などの節目には連絡をくれます。
教員免許を取得するために大学に通い、英語の先生を目指していると。

中学1年生からの約9年間の成長に、ただただ驚いています。
彼女の努力はもちろんですが、周りの環境に恵まれたのだろうと思いました。
そして、とても幸せな気持ちになりました。


学校に行けない子どもの親の気持ち

親は不登校傾向であっても、毎日欠席連絡の電話を学校にしなくてはなりません。

理由は、子どもの安全確認のためです。

しかし、この欠席連絡が、「とても親の心に負担をかけている」のです。


かつての私もこの通りでした。

毎日、登校できるかできないかのせめぎ合いで、「行けない」と落胆した気持ちのまま学校に電話をする気持ちを想像してみてください。

学校に行けずモンモンと一日を過ごし、明日こそはと思い、また「行けなかった」を繰り返すのです。

できるかぎりのことをやっているのに。
母としてダメなんじゃないか。
誰か助けてほしい。

当時、未熟な私にはそんな思いが渦巻いていました。



担任をしてきた中で、かつての私のような母たちに出会いました。

他人事とは思えず、何とか力になりたいと自分の経験を話したり、効果のあった方法を伝えたりし、一緒に向き合いました。

母たちの助けになったのかどうかは分かりません。

ですが、卒業時に母たちから頂いた感謝の手紙や記念の品を見るたびに、今も穏やかな気持ちになるのです。

そして、力になりたいと思っていた私自身が、逆に母たちから力をもらっていたんだなと気付かされました。


教師の私が思うこと

現在、不登校傾向の子どもの数は増え続けています。
私の勤務する学校でも各クラスに2~3人。

ですが、学校に行かない(行けない)子どもを「不登校」でひとくくりにしてはいけないと強く思います。

誰一人として同じ子どもはいません。

学校に行けない理由は、皆ちがいます。
家庭環境も、友人関係も、発達の凸凹も。

子ども一人ひとりに合った支援が必要なのだと。
同時に、親との関わりも子どもと同じくらい必要なのだと。


最後まで読んでくださりありがとうございました!



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