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スネークオペレーター〜特別諜報捜査官〜#12

前回までのあらすじ
銀座の高級クラブホステスでコカインの売人聡子に近づく事ができたヤス。取引の情報を聞き出し胴元の売人に接触する事に成功。がしかし時間をかけて聡子を取り込んだつもりだったがまんまと裏切られ胴元までたどり着く事作戦に失敗してしまう。警察、検察をも巻き込んだ作戦で信用を失った特別諜報捜査機関であったが、茂原の輸入経路から起死回生の奇襲作戦を決行することに。


〈第八章〉

朝一番に矢﨑社長から電話があった。

「この前、2号ヤードから搬出して、基地で分解したコンテナが元通りになってるし、順番が少し入れ替わっているから、そこにある出来上がったコンテナにしといたから、どっかで暇つぶして昼前に到着するようにしてくれ。」

と大井2号ヤードには行かずに基地にあるコンテナを運ぶこと又、時間をその分調整することを指示された。基地を出るところだったので、とりあえず357号線に出て、千葉方向へ向かった。
いつもは下道を行くのだが、スマホの処理が溜まっていたので皆志野の手前から東関東自動車道に入り、皆志野パーキングエリアへ入ってきた。
すると、コンテナ車が2〜3台いて、空いているところがコンテナの横しかなかったので、停めることにした。同じコンテナを運ぶトレーラーなら国産だと運転席の高さが下にあるので、顔を見られないし、気まずくなくて済む。これがボルボとかスカニアなど会社のトレーラーなら、窓の高さが同じなので、顔が丸見えで気まずい。
恐る恐るコンテナの横に侵入して停車した。あれ?と思ったらボルボだった。同じ晴海運送かな?と言うぐらいカスタム仕様が似ていた。よく見ると色が紺のメタリックだった。窓がピタリ合ってしまった。運転席の人が何か言っていた。聞こえないので助手席の窓を開ける。

「社長の車だから、矢﨑さんかと思ったよ!」

と言っていたようだ。まぁこの車を知ってる人なら言うだろうな。

「はい!少し前から入りました内藤って言います。」

と社長と知り合いなら無下にできず、ちゃんと挨拶する。

「いつ見てもかっこいいなその車。ユーロトラックのイベントもあるから、興味あったら今度来てよ!雑誌社とか専門誌が撮影来るので、この車皆んな見たがってる。是非、来てよ!中井ってんだ。」

と撮影会とかやってるのか、中井さんって言うらしい。
休みの日になると晴海運送は全国からマニアが5台並んだボルボトラックを撮影に来るほど人気だ。スマホをいじるために入ったパーキングなのに中井さんの話に付き合ってたらいい時間になっていた。
仕方無いからトイレだけして缶コーヒー買って出発した。中井さんのボルボ愛を終始聞かされた。中井さんのボルボトレーラーヘッドもアルフレッド中渡瀬のファーストファント仕様だそうだ。どおりで似ていると思った。考えてみると撮影会とか行ったら、武装兵器とか見つかっちゃうわ!って思った。だから今まで行ったことないのか?社長に聞かないと分からない。

茂原の現場に12時前に着いた。
事務所に受付に行ったら今日はおばちゃんじゃなく、男の人だった。なんか疲れ気味の感じだった。やはり昼休み終わって13時からやるので2番ホームにバックで着けといてと言われた。今日は2回切り返した。
この前行ったうどん屋に行こうと思ったけど、特に腹もへってないし、またあの輩たちが居ると厄介なので今回は止めにして、スマホを開けた。
大画面に写ったのでリンクを切った。ミミからラインが来てた。最近忙しいらしく、海外にも行けるようになったから2〜3日ハワイとか、5〜6日ニューヨークとか、ほとんど撮影でと書いてあった。海外のホテルから寂しいよ・・・ってテレビ電話も来るときもある。タイミングが合えば対応した。今は撮影スタジオに居るらしかった。ずーっと会いたいって言っている。
車を買ったらしい。仕事の移動手段と言っても自分が乗りたかったから事務所に無理言って買ったそうだ。レンジローバーで毎朝自宅の駐車場から運転して、マネージャー迎えに行って、現場に行くスタイルになったとか。
ドラマとか映画の時はちゃんと専用駐車場を確保してくれているみたいだ。そのくらのわがままは良いよねってミミは言う。自分の車あるだけで全然違うし、いざとなったら豊洲覚えたから行こうかなって言っていた。仕事で失敗続きだから来て欲しいぐらいだと言いたかったけど、止めといた。

「今度オフのとき、ドライブ行こう!」

ってミミは嬉しそうに言った。

「助手席で俺が寝てられるぐらい上手くなった?」

と皮肉って言った。

「もう楽々。あの車乗りやすかったんだよ。」

とミミ。確かにレンジローバーは乗りやすいと聞く。

「じゃあ来週の土曜日のオフだから朝から海見に行こうよ!」

とミミ。俺は何も事件が無きゃ行けるけど、まだ週明けなので何とも言えないので

「一応、急に仕事が入らなきゃ大丈夫。2〜3日前まで分かんないからもしキャンセルなっても怒らないでね。」

と返したら、

「うん、それは大丈夫だよ。部屋もまた引っ越して片付けてないから片付けやればいいし・・・。」

「えっ、また引っ越したの?」

「うん、ヤスんち見たらもっと広い部屋に1人で住みたくなったから物件サイトで見つけて、あれからすぐだった。」

「どの辺に越したの?」

「だんだんヤスんちに近づこうと思って、今は港区港南ってとこ。港区女子が多い。朝ジョギングしてると同じ芸能人と会うよ。」

「かなり近いっちゃ近いね。」

とヤスが品川埠頭入り口あたりのタワーマンションが多くて良く芸能人散歩していると聞く。

「今度のドライブんときにこの辺って教えてあげる。」

「うん、本当仕事入ったらなるべく早く言うね。」

と頭の中はひと仕事早く片付けたい気持ちの方がいっぱいだった。

「了解!そのときは気にしないから大丈夫!」

ミミが楽しみにしとくと言って電話を切る。よし、休めるように結果を出そうと決めた時だった。

「おい、兄ちゃん。コンテナの後ろの扉開けてくれ!」

と作業服のチンピラみたいな野郎がボルボの窓をたたいて言う。パワーウインドウで開け、

「コンテナの扉は荷受け先の人が開ける決まりになってるんで無理だね。」

と答えると、えっ、と一歩引き、

「それが俺はできねーから開けてもらってるんだよ。頼むよ。」

そう言うことか、慣れないから開け方が分からないのか?堅いから力が無いからか?のどちらかだ。

「じゃー、あんた立ち会いでOKなら開けてやるよ。」

「あ〜、それで頼む堅くて面倒なんだ。」

と言うので、皮手袋を持って封印を切るワイヤーカッターを借りて開封し、扉を開けてやる。

「ありがとよ!」

と言って、フォークリフトのエンジンを掛ける。ついでに

「トイレは裏にあんの?借りたいんだけど。」

と言うと、あっ、この裏にある。
すぐ分かると言う。トイレに向かい小用をたしていると、ボルボのセキュリティがポケットのキーからバイブした。音が鳴ると煩いからバイブにしてある。ボルボに誰か触ったようだ。
スマホにカメラを写してみた。助手席を開けたみたいだ。乗り込もうとしているが高くて躊躇っている。ボルボに帰り助手席に回り込むと

「何やってる!」

と声を掛けた。ビクッとしてその男は、

「いやぁ、カッコいいトラックなんで中どうなってんのかって興味あって開けちまって・・」

と降りてドアを閉めると

「こりゃあ、すげえや。」

と言いながら、ふいに殴りかかって来た。
スッと交わし、背負い投げみたいになったので力を込めて投げ飛ばした。う〜っと唸っているところに近づいたところで急に目の前が真っ黒くなった。

〈第九章〉

急に目が覚めた。水を掛けられたみたいだ。鉄パイプの椅子にロープや結束バンドで拘束されていた。

「久しぶりだなぁ、内藤。お前こそこそ何かしてんだってなぁ?」

と益々老いた花田誠は外人2人と聡子を連れていた。
あと、若い衆は3人だ。聡子はニヤニヤしながら、鼻を赤くしていた。聡子がここに居るってことはネネとも繋がっているということだ。しかし、ここはどこだ?
さっきの倉庫よりも離れているのには、間違いない。小綺麗な事務所みたいだ。ソファセットを片付けて俺を拘束した椅子を添えた感じだった。所持品は全部取られたようだ。今日は銃も手帳も持ってきていた。それを花田は手にしていた。

「こんなもん持って、調べさせてもらった。本物だっていうじゃないか。飛び上がって驚いたぜ。俺んとこのカシラだった内藤が警視だってんだかあらなぁ〜。驚かない奴はいないだろ?」

何を言われようと今は黙っていた。
次の手を考えていた。パイプ椅子にしばられた時の訓練は受けていた。割と簡単に脱することができる。パイプ椅子自体をバラバラにすれば少しづつ緩みが出て逆に武器にもなる。でも、合計7人も居る。今は大人しくして手首あたりの結束バンドを少しづつ緩めていく。手首が自由になればあとは罵倒したり煽ったりして殴らせて椅子を倒させる。椅子が倒れたらパイプが変形したところを確認する。パイプ椅子自体を武器にも出来るため、タイミングを測る。
だが、この黒人2人は、そのいうことを知ってそうだから気を抜けない。花田をひとまず罵ってみる。

「あんたにも渡り鳥みたいにあっち行ったりこっち行ったりしなきゃ、大親分になっていたのに、今じゃ俺も神輿担いで損したもんだよ。噂によると極桜会じゃ誰も相手にしないらしいじゃないか。引退でもしたらカッコよかったのになぁ〜。」

って大笑いしてみせた。

「なにぃ〜っ!!」

と真っ赤な顔をして近づいて来て拳で顔を殴りキックで足蹴りしてパイプ椅子ごと後部に倒れた。続けて、

「抗争同士の親分護衛したが、井上の親分みたいに意地を張るか、矢﨑の親分みたいにあっさり引退するかのが男の中の男だよ!なんだよ、今のあんたは。誰も認めてねえから2次団体の舎弟頭じゃー、昔の俺の地位より下だ!」

またも大笑いし、パイプ椅子ごと横蹴りされるが、パイプに足が当たったのか痛がって、その辺にある木刀で殴り出した。さすがに痛いが、拘束が解けてきた。
体にぐるぐる巻きにしてあるロープが緩んだら拘束は解けたと同じだ。訓練のときのようには上手にいかないかもしれなが、まだこの人数じゃ逆に拘束をやり直す可能性もあるので、この辺で痛がるふりをする。
口の中は一発目で切れているので少々血が出ているが、口からたらして痛そうにする。花田殴ろうが蹴ろうがこのぐらいなら耐えられる。
足の結束が取れたので、本当なら今がチャンスで体を横に振ってパイプ椅子を振り子みたいに武器に出来る。チャンスは一回切り、花田の首を狙ってパイプ椅子をスイングして緩んだロープを一気に外して木片を取って外人をまず倒さないと。
あと、ボルボとどのぐらい離れているのか机の上の鍵を取ってビッグホーンを鳴らそうと思う。何か危険を感じ驚くだろう。
シュミレーション通り、花田は俺からパイプ椅子をスイングされヒット。ただ、大型の外人2人の動きが早いからパイプ椅子を脱出できても羽交い締めされてしまった。
冷静にベルトのバックルから小型のナイフを抜き力強くしゃがんで、首の血管を死なない程度に切り付けた。その瞬間、机の上に置いてあったボルボのキーと銃を取ろうとしたら聡子が銃をサッと取った。
チッと舌打ちをしてボルボのキーのスイッチでボルボ本体のビッグホーンを鳴らした。割と近かったのかガラス窓が響くぐらい大音量でビッグホーンが鳴り響いた。
気をそちらへ取られた聡子を殴り倒し、ようやく銃が戻ってきた。
逃げようとする外人と輩3人を銃で威嚇射撃した。
聡子は逃げられないように髪を掴んでいる。
アルがボルボのモニターで拉致されたのが分かっていたらしく今頃、飛び込んで来る。
5人を拉致監禁罪ぐらいじゃつまらないので、聡子にコカインの在り処に案内させる。最初は知らないと泣き喚いていたが、もうその手には乗らないと泣いているところに蹴りを入れたらポカンとしていた。諦めて倉庫に案内する。
あとの6人はアルに拘束させ、管轄の署に応援を頼んだので、もうすぐ到着するだろう。聡子が案内した倉庫はちょうどボルボを停めた倉庫の隣だった。事務所側ではない方向のフォークリフトで入っていく奥にあったプレハブだ。
コンテナの角の部分を改造してあるところから、引き出したコカインが砂糖の袋ぐらいの大きさに分けてあって積まれていた。聡子が

「教えたから私だけ逃して・・・。」

と涙目と甘い言葉で嘆願してきたが、この女は許せないと思った。

「お前は一番許せない!生きてる間にシャバには出られないだろうな。」

と言うと、

「私は、ネネに騙されたのよ。私は悪くないわ。信じて!」

と泣き叫ぶと

「それは裁判所で言うんだな。」

何かを掴もうとする。こういう時は自殺しかねないので、後ろ手に結束バンドで拘束しとく。とりあえず、応援が来るまで待つ。この7人を拘束しとくと全ての概要が分かるだろう。

〈第十章〉

逮捕した7人は特別諜報捜査隊扱いなので、身柄は東京拘置所に移された。茂原署の生活安全課も前から目をつけていたとは言え、あれだけのコカインが自分とこの管轄にあったのだから、大手柄だ。しかも、銃器もだいぶ出たらしい。一応、応援なので、送検まではやってもらわないといけない。
東京拘置所に身柄を迎えに行って引き当たりして写真を撮ったりと弁解録取供述書を取ったりとお願いしないといけない。コカインの量はまだ確定していない。今のところ立件できるのを逮捕していく。
花田誠は基地に呼んで取り調べはゆっくり組んである。まだまだ広がっていくのは分かっているからだ。ネネもそのうち指名手配したら捕まるのだろう。
そっちより、上田を見つけようと思う。あと黒沢だ。花田が捕まって喜んでいるのはこの2人だろう。花田はコカインで逮捕されるのは分かっているので組織としては破門せざるを得ない。
上田、黒沢は時間の問題で昇格はするだろうが、俺としてはなんとか煮え湯を飲ませたい。上田はあんな感じだからどこかでネネ繋がりでパクられるだろうから、黒沢の方を何とかしないと・・・。
花田に詩織とお前を銃撃したのは黒沢だとバラしたら何か情報引き出せるかもしれない。
そんなことを基地で山積みの報告書を確認しているとカレンから電話があった。マスコミにはまだコカインが見つかったことや聡子が捕まったことしか報道していないが、すぐ俺が動いたのが分かり電話してきたのが分かる。出ようか迷ったが協力者でもあるので通話のボタンを押した。

「ヤス、頑張ってるみたいだけど聡子に恥をかかされたから汚名挽回で良かったね。でもまだネネちゃんの筋がもっと匂うと思うの。」

と一息で言うと、確かにと思って

「指名手配すると捕まるとは思うけど、根深いことは隠れちゃうからね。俺の仕事はこの根っこの方だから。」

と自分でもそう思った。すると突然、

「ヤスはSNSとか見ないんだっけ?」

と唐突に聞かれた

「よく聞かれるけど、あんまり見ないんだよね。」

「じゃあ、暴露系ユーチューバー、ナンシーの生配信にチラッとネネちゃんが写ったのよ。本当よ。」

「本当かそれ?ナンシーってドバイに居るんだろう。」

とカレンに聞くとそうなのよ・・・と言いながら、多分録画を再生して見てるんだろう。

「やっぱそうだと思うけど、ドバイだしね〜。」

とカレンが話している間にネネの本名を調べる。〝根本京子〟春山からナンシーの件聞いた時、ニュースの検索してナンシーのことを知った。
参院議員の選挙まで出て当選し不逮捕特権を得たのに国会に参加するどころか日本にも帰ってこなかった。それで暴露された有名人が刑事告訴して、逮捕状が出て国際手配となった。でも、ナンシーはドバイで10年の在留資格を取得して、ドバイの国を味方にした。ドバイはどの国とも犯罪引渡し条約を締結していない為、ドバイ政府が動かないと10年は居れる。確かにパスポート照会したら、失効している。
出国のままになっている為、逮捕事実に対して立件されているものはどれも時効がストップしている。それはそうとしても、ネネが写り込んでいたというのは不思議だ。
ちなみに渡航記録のネットワークで本名で調べてみた。これも特権だ。記録によると日本を出国した記録はない。カレンが送ってきたりリンクに行って見てみた。全然分かんなかった。カレンが言う。

「もしこれがネネちゃんで、ヤスが調べたら日本に居る筈だから、ひょっとするとナンシーはドバイに居るって嘘言っているってことよ。どうなのヤスは警察じゃないそんな組織だから、勉強しただろうけど、あの時ナンシーが既に日本に居たとする証拠とかがあったら微罪だったからとっくに時効になってるんじゃないの?分かんないけど・・・。それと何故ネネちゃんナンシーと一緒に居るのかしら。」

カレンが長々と話をするので、頭がこんがらがって来た。

「カレン、分かった。ちょっと頭痛するからシャワー入ってくるわ。わざわざ、ありがとう。基地の電話って全録音してあるから、あとで色々整理して連絡するね。いずれにしろネネは捕まえないとな。」

とお礼もちゃんと言って切った。

花田が逮捕されてから、1週間もしないうちに極桜組が動き出した。
極桜組執行部は極桜組若頭補佐率いる桜生会舎弟頭の花田誠を薬物を扱ったということで〝破門〟にした。
それによって、花代会若頭黒沢明良は花田会を継承し、黒沢会と名称を改め、極桜会の直参となった。
全国の極道組織に札(お知らせ状)が発行されたと同時に神戸極桜組の木下雅也を殺害した件で警察に出頭した。
流石に花田に指示されたとは言わなかった。黒沢会は黒沢明良が出所するまで、これまで本部長だった上田公二が黒沢会若頭に昇格して、留守を預かる事となった。
益々、上田に煮え湯を飲ませたい気分だとヤスは思った。
上田も何か察したのかネネと距離を置いているらしかった。聡子とネネの関係は分かっていても、聡子がヤスにネネに騙されたと言ったきり、調べでは全く名前すら出てこなくなったと言う。
スマホの解析からは電話帳登録があるだけでラインは削除したのか、他のアプリで連絡していたのかは判明していない。花田誠もあれだけの量のコカインの手配を1人で担う筈がないので、黒沢と上田が勝手にやっていたもので自分は関係ないと言い通していると言う。
花田の話では、黒沢と上田は日本語が上手い北朝鮮の男たち数人と色々企みがあると言っているのだそうだ。コカインどころの騒ぎではない大きい事を考えているらしい。
嘘か本当か、自分の刑を軽くするための司法取引をしたいと持ちかけているらしい。日本では司法取引などという制度がないが、それも知りつつ花田は北朝鮮のテロと言っているのだそうだ。

花田の調べ官は、実際あれほどのコカインを日本に密輸したのだから、ありえるのではないかと報告は受けている。また、聡子に嵌められたときに囮に使われた韓国人風の男も以来があったメールや指示の文章に北朝鮮なまりがあったと証言している。
ネネと上田、北朝鮮の男たちとの繋がりを見つけるのは容易ではないので、今回捕まえに誰かから、きっかけを見付ける方にかけることにした。アメリカ人2人はどうか?花田の警護として銃規制が厳しい日本で相手が銃を持っている確率が低い上、体力でも劣る敵を倒すのは簡単で高額で喜んで志願してきただろうに。
コカインは、今のところ1トン近くあるのだと言うので、捜査関係者は驚きを隠せなかった。汚名挽回にお釣りが付くっていうもんだ。ヤスもホッとした。
あとは、何人無期懲役に送れるかだ。アメリカ人2人もコカインの原物も見たと思うし、知らないでは通らない。司法取引に慣れている分、何か出て来るのかも知れない。アメリカ人のひとりを基地に呼ぶことにした。通訳の手配も考えて、来週にすることにした。ミミとのドライブが優先だ。

(つづく)

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