がん治療認定医 過去問 2022年度版 再現問題集


2022年11月13日に開催された,がん治療認定医試験の再現問題集です。
筆者が一人で再現したため,以下の点にご注意ください。

【注意事項】
・ほぼ完全に再現できている(=出題時の問題文および選択肢がほぼそのまま)もののみ記載してあります。
・空白(▼▼▼)の部分は,ある程度は覚えているものの確信が持てない箇所です。内容に誤りがあった場合に混乱を招くこととなるため,記載しない方針としました。
・問題自体を覚えていないものが9問あり,それらについては言及できておりせんがご容赦ください(全60問中51問が再現されています)。
・〇×に関しては標準的な感覚と異なる記載となっている可能性があります。また,私が個人で記憶した範囲もしくはテキストを検索した範囲で解答しているため,必ずしも正解でない可能性があります。
・試験本番で解答に悩んだ問題がいくつかありました。解答選択肢の内容がテキストに記載されていなかった問題については「不適切問題疑い」としています。医学的に正しいかどうかは基準に含めていません(テキストに書いていない事項については,自身の専門か否かにかかわらずそもそもガイドラインや専門書等を調べてすらいないため,先述の通り選択肢の内容の医学的な真偽は不明です。注釈を含め,すべてテキストとの整合性のみを検証しています)。ただし,医師が最低限知っているべき知識の範囲をどこまでとするかを明示することは困難であるため,現実的には「設問と解答の,正解選択肢数の不一致(正解選択肢が存在しない場合を含む)」以外には不適切問題とはなり得ないと思われます。
(例)アスピリンの抗血小板作用についてテキストに記載がないから不適切,とはならず,単なる知識不足と判断される可能性が高い。

【がんの生物学,分子生物学】
●がん遺伝子に関して正しいものを選べ。
(×)▼▼▼
(×)がん遺伝子の欠失によりがん化が促進される。
(×)シグナル伝達経路の上流分子が活性化していると阻害薬の効果が減弱する。
(〇)細胞周期を正に制御する遺伝子はがん遺伝子である。
(×)▼▼▼

【遺伝性腫瘍】
●リ・フラウメニのコア病変でないものはどれか。
(〇)副腎皮質がん
(〇)骨肉腫
(×)褐色細胞腫
(〇)軟部肉腫
(〇)閉経前乳がん

●がん遺伝子による病気はどれか。
(×)神経線維腫症2型
(×)家族性大腸腺腫症
(〇)甲状腺髄様がん
(×)リ・フラウメニ症候群
(×)▼▼▼

【腫瘍免疫学】
●獲得免疫を担うのはどれか。
(〇)B細胞
(〇)T細胞
(×)NK細胞
(×)マクロファージ
(×)γδT細胞

【がんの疫学・がん検診】
●本邦におけるがんのリスク要因として大きな割合を占めているものはどれか。二つ選べ。
(〇)喫煙
(〇)感染
(×)食事
(×)生活習慣
(×)肥満

●対策型検診ではないものはどれか。
(〇)胃がん
(〇)大腸がん
(〇)乳がん
(〇)肺癌
(×)前立腺がん

【臨床研究と統計学】
●以下のうち誤っているものを一つ選べ。
(〇)第一種の過誤とはαエラーのことである。
(〇)本来は正しいはずなのに,誤って正しくないと判断してしまうのがαエラーである。
(×)帰無仮説が棄却された場合,両群間に差がないと判断する。
(〇)帰無仮説が正しくないときに誤って棄却しないことをβエラーと呼ぶ。
(〇)1-βを検出力という。

【病理学】
●以下のうち誤っているものを選べ。
(〇)▼▼▼
(〇)10~20%ホルマリン溶液に漬ける。
(×)迅速診断ではホルマリン固定後に凍結処理を行う。
(〇)細胞診はスライドガラスに直接塗抹する。
(〇)電子顕微鏡用の標本作成に当たっては,グルタールアルデヒド溶液で固定する。

【画像診断学】
●CTに関して誤っているものを一つ選べ。(不適切問題疑い)
(〇)重篤な甲状腺疾患は造影禁忌である。
(▲)転移性肝細胞癌に対し,EOBプリモビストMRIと比較して検出力が劣る(テキストp49に「肝腫瘍に対する評価法の主流となっている。」とだけ記載はあるが講義,テキストともに転移に関しての説明はなし)。
(〇)▼▼▼
(〇)血管浸潤の評価には造影CTが有用である。
(×)造影CTでは,石灰化,出血,脂肪の検出が容易となる。(テキストp48に単純の方がよいと記載あり)

【外科治療学概論】
●がん病期に関して誤っているものを選べ(不適切問題疑い)。
(▲)予後予測因子となる。(テキストp52に「予後について何らかの示唆を与える」との記載はあるが予測因子か否かは記載がなく,あいまいであるため不適切扱い)
(〇)臨床治療計画に役立つ。
(〇)薬剤効果を判断する指標となる。
(〇)臨床病期と病理病期の2つがある。
(〇)TNM分類は世界的に最も普及している分類法である。
※この設問に関しては,私が外科系であるためsurgical stage(sTNM)を想起して誤答してしまったのですが,テキストp53に「臨床分類(中略)と、病理学的分類(中略)の2通りの分類がある」と記載されているため正解選択肢です。なお上記のsurgical stage分類は臓器によっては正式に採用されている分類です(例:甲状腺癌)が,ここでも「臨床病期」として記載されています。また,この場合のsurgical stageは軟部腫瘍におけるSurgical Stgaging Systemとは別概念です。

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