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感想『しゃばけ』畠中恵

畠中恵『しゃばけ』の感想です。
言わずと知れた畠中恵さんの代表作で、
2001年に「第13回日本ファンタジーノベル大賞」を受賞。
ワクワク、ドキドキが止まらない一冊でした。
魅力的なキャラクター達と、テンポの良いストーリー展開。
一気に読めてしまう、ファンタジー時代小説です。

こんな人に薦めたい・・・
▼妖怪が好き、江戸を舞台とした物語が好き
▼ファンタジーやミステリーが好き
▼漫画が好きという人にも


『しゃばけ』あらすじ

江戸有数の豪商、廻船問屋「長崎屋」のひとり息子である一太郎(若だんな)は、体が弱く外出もままなりません。ところが、こっそり出掛けた夜に人殺しに遭遇。妖に助けられて難を逃れたものの、その後も奇妙な殺人事件は続き…。
大柄で顔がごつく、睨みがきく「犬神」。整った顔立ちで色男の「白沢」。そして、妖怪である彼らが過保護に守っているのが、体は弱いが心優しい一太郎。彼らが事件解決に向けて活躍します。

『しゃばけ』感想・レビュー

1. ただの殺人事件ではない?

物語は、夜中にこっそり家を抜け出した一太郎が、偶然人殺しと遭遇してしまうところから始まります。冒頭からハラハラする場面ですが、どうやらこの人殺しは「普通じゃない」。その夜はなんとか逃げることができた一太郎ですが、その後も殺人事件は続きます。奇妙な下手人。盗まれた大工道具…。謎の多い事件で、少しずつ真相が明らかになっていきます。

2. 若だんなを取り巻く個性的な妖たち

作中では、様々な妖たちが登場します。大柄で力持ちの「犬神」、綺麗な顔立ちの「白沢」。そして家の中には「鳴家(やなり)」という小鬼があちこちにいたり、古い屏風の付喪神「屏風のぞき」がいたり。「鳴家」は若だんなから饅頭を貰って食べたり、「屏風のぞき」は若だんなと碁で遊んだり。
どの妖も皆個性的でありながら、心優しい若だんなのことが大好きな様子が伝わってきます。

3. 体の弱さなんて気にしない!若だんな

若だんなは、とにかく体が弱い。しょっちゅう寝込んでは妖たちに心配され、読んでいるこちらも心配になるほどです。しかし仲間に危険が迫った際には、自分のことよりも仲間を守ろうする勇敢さがあります。体の弱さなど気にせず、妖に頼らず、自分の力で道を切り拓いていこうとする。彼のそんなところが好きです。

『しゃばけ』感想まとめ

病弱で心優しい若だんなと、彼を守る過保護で魅力的な妖たちが、共に謎を解いていく物語。そこには人情があり、ドラマがあり、それぞれの想いと葛藤があり…とても読み応えのある物語でした。
特にファンタジー好きの方には、ぜひぜひ読んでいただきたい一冊です。

最新刊は、シリーズ第21弾となる『こいごころ』です。(2024年2月時点)
まだまだ続く、若だんなと妖たちとの優しく愉快な物語。
ぜひ一度、読んでみてください。

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