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推し活と赤い鳥

「推し活」が流行りだそうです。

アイドルや声優、俳優などを、熱心に応援することを言うそうですが、こうした活動は、昔から存在したと思います。ただし、かつては「追っかけ」とか「オタク」とか言われていて、イケてるイメージはありません。

令和のご時世になり、キャッチーなネーミングを得て、飛躍的にイメージが良くなりました。女性アイドルに限らず、韓流スターや声優、アニメなど範囲も広がり、年齢性別を問わず、堂々と「推し活」を主張できるのは喜ばしい限りです。

すでに多くの人が指摘されていますが、こうした「推し活」は現代における、宗教的な行事に似ていると感じています。

4項目ほど、共通点を挙げてみます。

1.信仰と救い

両者ともに、自分の崇拝・リスペクトする対象を持ち、そこに何らかの「癒し」や「救い」を求めている。アイドルの握手会で感激するファンと、ローマ教皇に拝謁して感激する信者とは、おそらく感激のベクトルは同じ方向を向いています。

2.忠誠心

両者ともに、自分の信じるものに忠誠を誓い、そのためには時間もお金も惜しまない。ライブ会場でグッズを買う行為と、宗教的な寄付や奉仕で得られる満足のベクトルは、おそらく同じ方向です。

3.共同体・コミュニティ

両者ともに、知識や情報を集めて、それを共有することで「コミュニティ」を形成します。価値観が同じであることで、そこには「共感」が生まれます。SNSや掲示板での交流がそれです。仲間意識です。宗教にも同様に、コミュニティが発生します。強い類似を見ることができます。

4.儀式・行事・聖地

宗教活動には儀式や行事があります。「推し活」においては、ライブやイベントがその役割を果たしている。そう見ることが可能です。儀式への参加とイベント参加、この両者の距離は離れていません。アニメなどで特に顕著なのですが、特別な場所を「聖地」として崇める傾向も似ていますね。

わたしたちは誰しも、なにかしらの悩みや懸案を抱えて、生きています。

そうした人生の問題に「推し活」が答えを出すのかは正直、疑問もあります。宗教を代替しているとまでは、言えないけれど、「推し活」が宗教の役割を一部担っている、くらいのことは言えるのかもしれません。それくらい、共通点が多い。

「推し活」は幸福度を上げる、という調査結果もあると聞きました。たしかに、知り合いでも「推し」のいる方は、幸せそうな方が多いです。


この動画は、赤い鳥の代表曲「翼をください」です。

ヤマハが主催した音楽コンテストで、オフコースやチューリップなど、名だたる参加者をぶっちぎって優勝した伝説のグループが「赤い鳥」です。

この曲は教科書に掲載されていますから、ほぼ全国民がメロディを知っています。ワールドカップやオリンピックなど、あらゆる機会に、まるで第二国歌のように、スタジアムで数万人が歌います。

その光景には毎回、心から感動します。

音楽には(いや芸能関係すべてにおいて)スピリチュアルな瞬間があるのは、確かなことだと思います。芸能と宗教は、根源的な部分で極めて近い。

「推し活」は時代の要請だと見ています。

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