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旬を見極める

幼い頃から、大事に取っておいてしまう癖がある。

苺のショートケーキの苺、
好物のスイカの頭のいちばん甘い部分、
高級化粧品のサンプル、
お土産でいただいたお菓子、
iPhoneの頑丈な箱、
旅先で買った絵葉書……。

自分の中で、貴重だなと思ったものは
もったいなくて、思わず取っておいてしまう。
そうこうしているうちに、お腹がいっぱいになったり、
期限を過ぎてしまったり、
色褪せてしまうことも、ままある。
そうして、最終的に廃棄せざるを得なくなるものも少なくない。

私は、すでに半世紀生きている。
人生を100年と長めに仮定した場合でも、折り返し地点を過ぎた。
近頃やっと、
ものには「旬」というものがあることを知った。
貴重だと思ったものを取っておいてしまう、
なかなか使えない、という癖にようやく気づいた。

この癖を自覚してからというもの、
心踊るものを手にした時は、
すぐに使う、食べる、ということを意識して行うようになった。
「旬は今!」と自分に言い聞かせている。

そういえば、「旬」を正しく捉えて消費することができた場合、
後悔はまったくない。
大事に取っておいたばっかりに、
旬を過ぎてしまったものを泣く泣く廃棄する時、
後悔の念でいっぱいになる。
けれども、旬を見極めて最善の瞬間を堪能できた時は、
心は満足感で充たされる。

昨日、友人から旅行のお土産にと、クッキーをいただいた。
賞味期限が長いからゆっくり食べても大丈夫だよと言ってくれたが、
私は敢えてすぐに開封した。
いくら味の保証があったとしても、
やっぱり作りたての方が美味しいに決まっている。

先日化粧品店でもらった高級美容液のサンプルも、
その夜、さっそく使った。

何がうれしいって、
自分の悪い癖に気づいてそれを克服しようと努力している、
ということがいちばんうれしいのである。


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