キツネラテ

「霞を食べて生きる」がモットー。日々ぐうたら時々仕事。

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道のつくり方

私の日課である散歩のコースは山道になっていて、 頂上までの正規のルートが4本ある。 どのルートも誰もが歩きやすいように、 自治体によってきちんと整備されている。 しかし、よく観察してみると、 その正規ルートの脇から雑木林に向かって、 いくつもの道が延びていることに気づく。 ある日、好奇心に唆られて、 分かれ道を前に、行ってみようかどうしようかと逡巡していたところへ、 毎朝すれ違う、顔馴染みになった初老の男性がやってきた。 私が悩んでいることをすぐに察したようで、 「案内しよ

    • バイアスを外す鍵

      朝起きて、エスプレッソメーカーでコーヒーを淹れた。 私は毎朝ミルクたっぷりのカフェラテを飲むのが日課である。 コーヒーを抽出しながら、ミルクを温めようと冷蔵庫を開けて、 ミルクを切らしていることを思い出した。 そうだった。 朝散歩の帰りにミルクを買う予定にしていたのに、 起きたら雨で散歩を中止にしたのだ。 シューシューと音を立ててコーヒーは抽出された。 今から軽い身支度をしてコンビニに行っていたら、 せっかくの出来立てのコーヒーが冷めてしまう……。 仕方がないので、ブ

      • 美しい人とは

        近ごろ、私の周りでは顔のシミ取りやボトックスが流行っている。 いろいろと老化が気になる年齢に差し掛かってきたということと、 最近は美容を取り扱う病院が増えてきたこともあるんだろう。 近所の寂れていた内科も、 美容を扱うことによって患者数が激増しているのを見た。 え? あなたもやっているの? と驚くほど、高い確率でシミ取りをしている友人・知人に遭遇する。 一番高額を払っている人は、100万円だと言っていて本当にびっくりした。 私から見れば、 そんなに気になる? 私は全然気に

        • お土産をたくさん買う人

          旅先で、お土産をたくさん買う人がいる。 私は元々友達が多くないということと、 自分がもらった時に、 気持ちはうれしいけどもらって少々困ってしまうということがあるため、 旅行に行く際は、あまり周りに吹聴しない。 だから買うお土産の量も、家族と仲の良い友達に少しだけ、ということになる。 けれども今回、初めて一緒に旅行をした友人は 行く先々で大量のお土産を買っていた。 その量たるや! 商業目的なの!?というレベルで、私は心底驚いたのである。 友人がどんなお土産を買っていたかと

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        道のつくり方

          ソウルの街は今

          5年ぶりに韓国にやってきた。 眠らない街東大門は、とても静かな街と化している。 どこのお店もビルも、夜11時には閉まってしまう。 マッコリを飲もうとショットバーに行くと、  12時でクローズだと言われ、 すごすごとホテルへ帰ってきた。 この5年で、日本だけでなく、 世界は変わってしまったんだと実感した。 通常はグラデーションで変化していくものが、コロナ禍によって、くっきりとした変化として表れてしまったんだと思う。 ただ、もしかしたらコロナ禍前の世界が異常だっただけで、

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          旬を見極める

          幼い頃から、大事に取っておいてしまう癖がある。 苺のショートケーキの苺、 好物のスイカの頭のいちばん甘い部分、 高級化粧品のサンプル、 お土産でいただいたお菓子、 iPhoneの頑丈な箱、 旅先で買った絵葉書……。 自分の中で、貴重だなと思ったものは もったいなくて、思わず取っておいてしまう。 そうこうしているうちに、お腹がいっぱいになったり、 期限を過ぎてしまったり、 色褪せてしまうことも、ままある。 そうして、最終的に廃棄せざるを得なくなるものも少なくない。 私は、

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          ハプニングがあるほど思い出深い旅となる

          明日から韓国旅行だというのに、 まだ全然準備に取り掛かれていない……。 昨夜、寝る直前になって突如不安が襲ってきた。 とりあえずパスポートの有効期限だけ確認して、眠りにつく。 そして、朝起きて先ほどから準備を始めたというわけである。 ネットでソウルの天気をチェックしてみる。 すると、つい先日まで快晴だった予報が、雨に変わっている。 雨か……。 雨となると、傘がいる。 予定も少し変更が必要になるかもしれない。 当たり前だけど、旅行は晴れていた方がうれしい。 行動範囲も広が

          ハプニングがあるほど思い出深い旅となる

          人生計画の落とし穴

          人生って、計画どおりにはいかないものだ。 3年前に会社を辞めた時に、 100歳までの1年刻みのライフプラン表を作成した。 あの時は、もう二度と働きたくない!と思っていたから、 労働収入の欄は100歳までゼロを入力した。 当時50歳、年金はできれば後ろ倒しにした方がお得だと知った。 となると、あと20年、なんとか自力で持ち堪えなければ。 そんな前提のライフプラン表だった。 この表を、毎月月末に家計簿を〆るように、年末に振り返ってみる。 この作業は、とても興味深い。 計画ど

          人生計画の落とし穴

          幸福感も一種の欲である

          昨夜、仕事の取引先の専務から電話があった。 専務から直接仕事の依頼を受けたことは一度もなく、 専務は実務をしていないため、仕事の依頼でないことは明らかであった。 なんだろう??? 通話ボタンをスライドさせる前に、私は素早く逡巡する。 もしかしたら私はとてつもないミスをしてしまっていて 会社に大きな損失を出してしまったとか? はたまた仕事が減ってしまって、契約終了の通知をされるとか? まさかまさか、会社をたたむとか? ほんの2、3コールの間に、私は考え得る可能性を思いつく限り

          幸福感も一種の欲である

          高価な化粧品の効果はいかほど?

          アイブロウペンシルを買いに、化粧品店へ行った。 私は特に決まった化粧品メーカーはなく、 気に入ったばらばらのメーカーのものをこだわりなく使っている。 だから今日も、百貨店の化粧品売り場で、 比較的暇そうにしているところをめがけて行った。 そこは私にとって、初めてのメーカーだった。 そこで、美容部員の方に色味などを選んでもらい、 実際に眉を描いてもらった。 自然な感じに仕上がってとても満足したため、それを購入することに決めた。 袋に入れながら、美容部員さんは他にもいろいろと商

          高価な化粧品の効果はいかほど?

          備えあれば憂いなし

          昨夜の地震の揺れはとても大きかった。 私は毎晩10時前には就寝するので、 地震が起きた時間は、一番眠りの深い時だった。 だから、揺れ始めてしばらくしてから目が覚めて、 寝入っていたものだから、何が起こったかすぐに理解できなかった。 何か恐ろしいことが起こっているけど、これはなんだったっけ? ……あっ! これは地震だ。 そんな阿呆みたいな思考でしばらく揺られていた。 私は一人暮らしなので、こういう怖いことが起こった時 一緒にいてくれる誰かはいない。 同じ場所で、誰かと気持ち

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          「清潔」と「清潔感」の違い

          なんとも不思議な人がいる。 それは、清潔感にいまいち欠けている人である。 その人の暮らしぶりをそれとなく窺ってみると、 朝ちゃんと顔を洗って歯を磨いている様子だし、 お風呂にもきちんと毎晩入っているようである。 洗濯も定期的にしているみたいだ。 だから、決して不潔なのではない。 けれども失礼を承知の上で言わせていただくと、 なんだか全体的にくすんでいるというか、透明感がないのである。 そして、こういった人とは正反対の人というのが存在するのも事実だ。 実際の暮らしぶりは決して

          「清潔」と「清潔感」の違い

          縁がつなぐ奇妙な符合

          先日久しぶりに、妹と会っておしゃべりをしていた。 妹には、ヒロくんという一人息子がいる。 私にとっての甥である。 小さかった甥もあっという間に大きくなって、 来年4月には社会人となる。 「ヒロくん、就職の内定もらえたんだって!」 妹が言った。 それはよかった! ヒロくんは、長いことサークル活動に没頭するあまり、 就職活動で同級生からかなり遅れをとっていたらしい。 そのことは妹をとても心配させていた。 この子はちゃんと就職することができるんだろうか……。 言葉にはしないけれ

          縁がつなぐ奇妙な符合

          書類整理は案外奥深い

          ゴミはすぐ溜まる。 油断すると、すぐにいっぱいになる。 特に、書類などの紙のゴミは 生ゴミのように匂いも出ないし、一枚一枚はとても薄いため、 うっかり放置してしまいがちである。 また、返送は必要ないけれどちゃんと読んでおいてくださいね、 という類の行政などからのお知らせなんかは、 あ、ちょっとめんどくさそう、あとでじっくり読もう。 と「とりあえずBOX」のようなところにひとまとめにして 溜め込んでしまいがちである。 電化製品などを買った時にもれなく付いてくる取扱説明書や保証

          書類整理は案外奥深い

          故郷があるという幸せ

          予定していた仕事がキャンセルとなり、ぽっかりと時間が空いた。 いろいろやろうと思えばやることなどいくらでもあるのだけど、 その日は特に何も思いつかなかった。 そうだ、実家に泊まろう! そう思いついた私は、いそいそと泊まり支度を始めた。 実家に泊まるのは、お正月以来である。 実家に到着すると、突然帰ってきた娘に父も母も驚いていたが とても喜んでくれた。 かつて30年ほどいた、住み慣れた家のはずなのに、 夜になると、どこかよそのお宅にお邪魔しているような気分になる。 2年

          故郷があるという幸せ

          桜散る季節に

          桜が散り始めた。 木の枝よりも、地面のほうが落ちた花びらで満開だ。 私は、この季節が少し苦手である。 数日前までの満開の頃は、桜を愛でる人々で木の下は溢れかえっていた。 桜の花に近づいて桜の写真を撮ったり、友達同士でポーズをとったり、 桜の木の下でお弁当を食べたり、 みんな顔を綻ばせて、とても楽しそうだった。 そう、街中の人々が浮かれていた。 けれども、葉桜になってきた今、桜の木を見上げる人はいなくなった。 みんな正気を取り戻したように、淡々と前を向いて歩いている。 こ

          桜散る季節に