病院のマーケティング_WHOの設定


はじめに

前回のnoteで、医療機関が営業活動を始める前に重要なこと、というテーマで3つポイントを書きました。今回はその中で、営業を始める前の準備として、どんな患者さんに(WHO)、何を提供するのか(WHAT)の設定ついて、まずはWHOの自分が考えていることを書いていこうと思います。

WHOの設定の重要性

病院の経営状況が悪くなると、施策として紹介を増やすための営業強化はよくあると思います。
しかし、戦略を考えず、ただ単に手土産を持って周辺の医療機関に挨拶するだけでは、「いつもありがとうございます。今後も困った方がいたらご紹介下さい。」というような上辺の会話しかできません。
営業をされる側の立場からしても、他に選択肢がある中で、紹介すべき患者像や紹介するメリットが分からないため、自院に紹介しようと思えません。

そのため、営業活動を行う際には、上記が相手に伝わるように、WHO、WHATを設定しておくことが非常に重要です。
これらを設定することで、営業時にヒアリングするポイントや、訴求するポイントが明確になり、より効果的な営業活動ができるようになります。

WHOの設定の仕方

自院で提供可能なことの中で、伸ばしたい領域を決める

医療機関では、一般企業と違い、必要に応じて新しいサービスを自由に開発できるわけではありません。治療に対して得られる収益は診療報酬で決まっているため、サービスに対する人員配置にも限界があります。
そのため、WHOを考えていくときは、自院で提供可能なサービスの中で、どんな患者さんを増やしたいか考える必要があります。

このとき、近隣医療機関と比較した自院の強みをベースにすると考えやすいです。

「うちの病院は誇れるような強みが無くて、、、」というようなこともあるかもしれませんが、これまでも自院を選んでくれている方が必ずいるので、その方々を思い出しながら、なぜ自院を選んでもらえたのか考えていくと、強みが分かってくると思います。

例えば、高齢者疾患でリハ目的の患者さんが多いなど、何か特徴があると思うので、そこから患者像を想起していくと考えやすいです。

想起された患者像をさらにセグメント分けしていく

上記を例にして、ここからさらに考えてみようと思います。

ただ単に高齢のリハ目的の患者さんというだけだと幅が広すぎて、なぜ数ある病院の中で自院を選んでもらいたいかという点が弱くなってしまいます。(差別化しづらい)

そこで、高齢のリハ目的の患者さんの中でも、どんな患者さんが多いのか、さらに分解して考えていきます。

ここでも、既に自院を選んでくれた患者さんが多いから特徴を考えていくと良いと感じています。
例えば高齢のリハ目的の患者さんであれば、なぜ回リハ病院や他の病院、老健ではなく、自院を選んでもらえているのか、その患者さんの背景などから考えると良いと思います。

また、理想としては実際に紹介してくれている医療機関にヒアリングに行けると良いです。

支援祭での事例

私の支援先(病棟構成:一般、療養、地ケア)でも、高齢のリハ目的の患者さんを集めたいと考えていた病院があります。

近隣に回リハ病院やその他の病院もある中で、一定数自院に紹介があったため、既に紹介してくれている病院にヒアリングに行ってみたところ、運動器や脳血管系のリハは回リハ病院に送るが、心不全などの内部疾患がありリハも必要な患者が、近隣の回リハにも送りづらくて困るとの情報を得ることができました。

当院としては内科系の管理をしつつリハも可能なことは一般的ではありましたが、地域としてはニーズがあることを発見できました。

そこで、WHOの設定を「心不全などの内科系疾患でリハが必要な患者」と設定しました。
上記に関しては近隣の回リハで受けづらく、老健等でも受けるのが難しく、当院が価値を発揮できる領域と考えています。

まとめ

今回はまずWHOの設定については記載しました。
自院や近隣の状況からどのようなWHOを設定するかは非常に重要であり、近隣ニーズを踏まえた適切なWHOを設定できると、その後の営業効果が飛躍的に上がると感じています。
考え方としては、自院に来ている患者さんを知ることから始めると考えやすいと感じています。
私もまだうまくまとめきれていませんが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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