明日雨

本名をひっくり返して一字ずつ抜いた名です。ドラマ好き。

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ブギウギ感想・「無縁」の原理と、「家族」について

最終回からもう時間が経ってしまった。 書きたいことが多すぎて全くまとまらず(現在進行形で考え続けていることもある)、しかしこのままだと永遠に感想をまとめることができないので、ひとまず一冊の本に即して物語の感想を書いていこうと思う。 その本とは、「無縁・公界・楽」(網野善彦著)である。 中世日本の「自由と平和」、それを担保する「無縁」の原理、遍歴する職人や芸能民たち。 この「無縁」の原理が、ブギウギの物語世界には貫かれていたのではないか。 本書を引きながら、上記テーマに即して

    • 日記 季節のない街について

      ・季節のない街 ドラマを観始めてから原作も読み始めて、今週の「がんもどき」も読了した。 その上でドラマの後半を観て感想を書こうかなと思っている。もしかしたら最終回まで観て原作も読み終えてからになるかも。 ドラマ、展開は原作通りなのだけど、筆致が全然違うようにも受け取れて、個人的には受ける印象が結構違う。 (ひとつひとつのエピソードは原作通りだけれど、半助を主人公に据えたり、順番を変えたり、別の展開を入れたり、の、最終回に向かって何かが起こりそうな物語構造は独自であり、そこに

      • 虎に翼 第七週

        今週の虎に翼。 花岡と寅子のデートから始まり、噴水での別れ。(花岡にとっては、寅子を諦める別れであった) 重ねて描かれる、晴れて弁護士になったものの、依頼人に断られる日々の寅子。(「女性には…」と言った人もいたし、「弁護の経験がない方は…」と言っていた人もいた) 同時に、久保田の法廷デビューの報。そして、花岡の婚約の事実を知らされる。 寅子の自尊心。 自らの道を、自らの努力で開拓してきた。 「去っていった友の想い」を背負い、そうしたくともできない弱き人々の想いも掬ってゆ

        • 断片

          ゲンロン16が届いたので、まずは「ウクライナと新しい戦時下」(東浩紀)から読む。 戦時下に平和を語ることの困難。人々の生活そのものを呑み込んでしまう戦争の、その恐ろしさ。 今週の虎に翼も、(一方で戦争は進行する・一方で市民生活は続く、ではなく)戦争を呑み込んで営まれ続ける市民生活、なのだと思うのだけど なにかこれを簡単に結びつけるのも能天気すぎるような気がして、うまく書けない。 現在進行形のウクライナの現状、というのも勿論あるし、これは日本がもし戦争に巻き込まれたときに起

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        ブギウギ感想・「無縁」の原理と、「家族」について

          日記 黄表紙が面白い

          今週は飲み過ぎにより胃の調子が悪いところへ、生理が始まって絶不調。ズドーンとしながらもこういうときに限って仕事は忙しいので頑張って働く。 胃もキリキリするし腰もお腹も痛いので晩酌も控え、早めにお風呂に入る。 お酒も飲めず身体も辛く、こんなの何が楽しいんだといつもなら自棄っぱちになりそうな状況が、「早く布団で本読みたーい!」という何とも楽しい気持ちだけで支配されているのは、先日買ったばかりの「江戸の戯作絵本①」(ちくま学芸文庫)のおかげである。 黄表紙(絵のついた読み物)の

          日記 黄表紙が面白い

          お返事

          - お手紙ありがとうございます!!すごく嬉しくて、何度も何度も読みました。(ちなみに私は手紙を頂くのが一番すきです。花よりもお金よりも) 杉浦日向子さん、「百日紅」しか読んだことがなかったので「百物語」も読んでみます!ご紹介頂いた帯の文面、まさに「神様」の世界ですねぇ。 - 「物語/脱・物語」、どうして私はこう思ったのだろうか。と考えたときに、「江戸の想像力」(田中優子著)という本で読んだ、中国の小説(それに影響を受けてきた日本の江戸までの物語たち)/西欧の小説の差、

          日記 最近読んだ小説のことなど

          今年に入って、立て続けに小説形式のものをよく読んでいる。久しぶりだ。 「おらおらでひとりいぐも」(若竹千佐子)、「つゆのあとさき」(永井荷風)、「夢の女」(永井荷風)、「三度目の恋」(川上弘美)、「台所太平記」(谷崎潤一郎)と読了し、今は「十六夜橋」(石牟礼道子)を読んでいる。 どれもとても面白い。 と共に、面白さをより感じられるのは、少し「小説」から離れていたここ最近(歴史や思想や随筆を多く読んでいた)の蓄えもあるなーなんてことも思った。 荷風の小説の読解には、「芸者論

          日記 最近読んだ小説のことなど

          日記 今夜すきやきだよ、こっち向いてよ向井くん、セクシー田中さん についてなど

          久しぶりに、日記程度の文章を。 2023年も終わるなぁ、今年もたくさんではないけれど色々とドラマを観た。 朝ドラ二作は勿論だけれど(ブギウギは継続中)、「今夜すきやきだよ」→「こっち向いてよ向井くん」→「セクシー田中さん」に、個人的に一連の流れを見出してしまう年末である。 表層は現代的なジェンダー論で、その理想をかなえるには、まず目の前の他者と向き合うこと。という文脈だよなぁと。 そして、このテーマだと必ず「社会の中の女」が大きな主語になってきた中で、「社会の中の男」の辛

          日記 今夜すきやきだよ、こっち向いてよ向井くん、セクシー田中さん についてなど

          日記 川上弘美「神様」など

          「神様」を再読する。 人間と、人間ではない生物たちが、人間世界で交流する、物語たち。と書くと何ともへんてこ。でもこうとしか書けない。 この、(川上作品全体に現れる)「人間ではない生物たち」について、頭でわかるようなでもよくわからないような、という感覚をずっと持っていたのだけれど 朝ドラらんまんを観た後だと、これがすとんと、腑に落ちるような気がした。 (勿論様々な読み方があると思うけれど)これは、人間と自然が共存できていた頃の話なのかもしれないなと。 万太郎が見つめる植物

          日記 川上弘美「神様」など

          「言葉」が表現する意味以上のもの / 永遠というモチーフ 朝ドラらんまん感想・2

          らんまんのモチーフについて、書いておこうと思う。 簡単にまとめるつもりがものすごい分量になってしまった。そして文章はまとまっておらず様々に行きつ戻りつする。大変読みにくい内容なのだけれど、それはこのドラマの複雑性と多層性そのものである気もするので、そのまま公開することにした。最終回を終えて尚、自分の中に残り続ける余韻に、ひとつ区切りをつける意味でもある。 方言についてと、「円環」というモチーフについて書く。 まずは、方言について。 主人公万太郎は、登場から最後まで、終

          「言葉」が表現する意味以上のもの / 永遠というモチーフ 朝ドラらんまん感想・2

          父であることと「愛すること」の難しさ 朝ドラらんまん感想・1 

          らんまんの総括感想を残しておこうと思う。 と簡単に言ったが、複数の要素が絡み合いながら紡がれた物語であったので、「総括」なんてするのは不可能だろうと言うことを最初に記しておく。 歴史的背景や思想的な面も、私には知識不足なのだけれど、オンタイムで観ていて心を揺さぶられたその事実について今書けることを残そうと思う。 (と共に、これから書く内容は、きっと(私の周りのSNSを見た限りの)大多数の評価とは全く違う部分を含むと思うけれど、個人的な感想として読んで頂きたいと思う。) ま

          父であることと「愛すること」の難しさ 朝ドラらんまん感想・1 

          朝ドラらんまん 徳永教授について

          徳永教授と三首の和歌について、まとめた文章を残しておこうと思う。 田邊教授ほどには(物語上)饒舌なキャラクターではなかったけれど、描写される要素や条件が語るものの多いキャラクターだった。それはまるで31字のみで書かれないものも表す短歌のように。 彼もまた、大いに時代に巻き込まれた人なのではないかと思う… と、思うのだけれど、書き手である私が何の専門家でもなく知識が足りないため、内容に間違いがあるかもしれない。それでも書き記しておきたいという自らの欲求のためにこちらを残しま

          朝ドラらんまん 徳永教授について

          日記 9月16日

          お試しの初投稿。とりあえず簡潔な箇条書き日記。ここ最近の色々について。 ・「平賀源内」(芳賀徹)をたのしく読んでいる。 始まりの時代のパワー。新しい功利思想「国益」を無邪気に掲げ、その下で自己の興味へ突き進む様は小気味良いほどだ。 朝ドラ「らんまん」で、「国益」の名の下に潰されるたくさんの「自己」を観ていた後だからこそというのもある。 再来年の大河は天明時代なのできっと源内も登場するだろう。「根南志具佐」の両国橋の花火の様子、映像でやってくれたりしたら楽しいななどと思う。

          日記 9月16日