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30代男。書きたい衝動と書けない苦悩の間で葛藤した末、SNSからは逃げてるけどnote…

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30代男。書きたい衝動と書けない苦悩の間で葛藤した末、SNSからは逃げてるけどnoteで文を書いてみる。前からずっと(仕事以外は)ステイホームな(社会参加型)ひきこもり。主に音楽・映画・文学・芸人・飲酒・孤独を愛する融通が利かない人間。自己陶酔と自己憐憫への自己嫌悪も好き。

最近の記事

Animal Collective / Sung Tongs (2004)

ボルティモア発、ニューヨークを拠点に活動する4人組変動型エクスペリメンタル・ポップ・バンド、アニマル・コレクティヴの通算5作目は、エイヴィー・テアとパンダ・ベアのコア・メンバー2人によって作られた。 ダブル・アコースティック・ギターが織り成すミニマルでプリミティヴな演奏と浮遊感のあるサウンド、コラージュされたようなヴォーカルが、呪術的でサイケなトリップ感覚を生み出すと同時に、不思議と人肌の温かみも感じられる。 売れる前の時期だけにまだ実験色が強く、決して大衆受けするもので

    • The Stone Roses / The Stone Roses (1989)

      言わずと知れたUKギター・ロックにおける最高傑作と名高い、名盤中の名盤。 ザ・ストーン・ローゼズのファースト・アルバムにして実質唯一のアルバム(といってしまっていいかしら。セカンドも嫌いじゃないけどほとんど別物だし)。 リリースから35年経った今、何百回と聴いた耳でこうしてあらためて聴いてみても、やはりここには”全て”がある。 どこを取ってもエヴァーグリーンな輝きと瑞々しさと荒々しさを漲らせた名曲だらけで、イアン・ブラウンの不安定なヴォーカルが生み出す不思議な浮遊感と、ジ

      • Joni Mitchell / Clouds (1969)

        可憐さと意志の強さが同居した、存在感のあるセルフ・ポートレートのジャケットが印象的なジョニ・ミッチェルのセカンド・アルバム。 前作同様にシンプル極まりない弾き語りスタイルで綴られた楽曲はしかし、ソングライターとしての表現力とシンガーとしての凄みを増した彼女の詩情と情念が濃密に刻まれており、決して簡素には聴こえず、ときに重厚感すら感じさせる。 来たる70年代SSWブームを先取りしたような透徹したフォーク・ソングだけでなく、NYへの”上京当初”の初々しい気持ちを描いた一際ポッ

        • スピッツ / 名前をつけてやる (1991)

          スピッツのセカンド・アルバム。 「ライド歌謡」を目指したという本作は、草野マサムネが当時影響を受けていたライドやMBVあたりのシューゲイザー風サウンドに、繊細なアコースティック・サウンド、日本のポップスのメロディを組み合わせたことで、2作目にしてオルタナティヴ・ロックとしての独自の音楽性を獲得。 ザクザクとした質感と淡い残響を心地良く共存させたギター、太く角張ったベース、シンプルな響きのドラムスに、切なさを強がりながら搾り出すような繊細なヴォーカルと、甘酸っぱさと侘しさを含

        Animal Collective / Sung Tongs (2004)

          blur / Parklife (1994)

          ブラーの最高傑作にして、ブリットポップの金字塔というべき名盤となったサード・アルバム。本作で初の全英チャート1位を獲得。 前作で志向した”英国回帰路線”をさらに強力に押し進め、古のミュージック・ホールから60年代以降のブリティッシュ・ロック、70年代のパンク、ニュー・ウェイヴ、そして80年代エレクトロ・ポップまで取り込んだ上で、ブラーらしく知性的でウィットに富み、滑稽でどこか哀愁の漂う詩情と、捻くれながらもどこを取ってもキャッチーなメロディ、ギター・ポップの弾けるリズム感に

          blur / Parklife (1994)

          The Horrors / Primary Colours (2009)

          ゴスとガレージ・パンクに振り切ったデビュー作が一部で評価を得つつも、見た目も音も佇まいもキワモノ扱いされる向きがあったザ・ホラーズは、この2作目で”突然変異”を果たし、各誌が選ぶ2009年ベスト・アルバムでは、NME誌で1位、MOJO誌で2位に選ばれるなど、各所から賛辞を受けた。 UKインディ・ロック界隈の最大勢力であるXL Recordingsにレーベル移籍し、ポーティスヘッドのジェフ・バーロウをプロデューサーに迎えた本作は、ジョイ・ディヴィジョンやザ・キュアー直系のニュ

          The Horrors / Primary Colours (2009)

          The Pop Group / Y (1979)

          英ブリストル出身のザ・ポップ・グループの衝撃のデビュー・アルバムにして、ポスト・パンクの時代を代表する傑作。 パンクの影響で音楽を始めた彼らは、黒人やジャマイカ移民の多いブリストルの土地柄もあって、パンクにファンク、ダブ、フリー・ジャズなどを飲み込んでごちゃ混ぜにし、ヴォーカルのマーク・スチュワートの過激な主張を絶叫&煽りとともに叩きつけ、ジャケットのパプア・ニューギニアの先住民族の写真のイメージどおり、プリミティヴで呪術的で不穏で、それでもどこかポップな音を鳴らしている。

          The Pop Group / Y (1979)

          Pulp / His 'n' Hers (1994)

          英シェフィールド出身、ジャーヴィス・コッカーを中心に結成され、1970年代末から(細々と)活動してきたパルプ。 デビュー作から実に10年、紆余曲折を経てのシングル曲のヒット、メジャー・レーベルとの契約、そしてメジャー・デビュー作となるこの4作目で全英チャート9位を記録するとともに、マーキュリー賞ノミネートまで果たし、彼らは苦節15年で一躍UKトップ・バンドの一つへと成り上がった。 これまでも彼らの特徴であった、ジャーヴィスの語り口調だったり演劇調だったりする歌唱や80年代

          Pulp / His 'n' Hers (1994)

          Dusty Springfield / A Girl Called Dusty (1964)

          英国が誇る世界最高の女性シンガーの一人、ダスティ・スプリングフィールド。 兄らと組んだグループから脱退後ソロ・デビューし、シングル曲のヒット後にリリースされたファースト・アルバムは、彼女のフェイヴァリットからのカヴァーをメインに据えており、藍色の背景にデニム・シャツを着たダスティの立ち姿がモダンなジャケット写真も印象的。 デビュー作にして早くも風格が漂い、その伸びやかでハスキーで艶のある歌声と、原曲のニュアンスを芯で捉えた表現力豊かなヴォーカリゼーションは凄みすら感じさせ

          Dusty Springfield / A Girl Called Dusty (1964)

          Pixies / Doolittle (1989)

          ボストン出身ながら、イギリスの気鋭レーベル4ADと契約し、先に英国内で人気を集めたピクシーズ。 ラフで荒々しい狂気の音の中にポップネスを閉じ込めた鮮烈なデビュー・アルバムを手掛けたスティーヴ・アルビニに代わり、当時まだ無名だったギル・ノートンをプロデューサーに迎えたセカンド・アルバムは、ピクシーズの特徴を幅広く鋭く端的に明瞭に展開した結果、ロック史上でも屈指の(2作連続の)名盤となった。 ニルヴァーナやレディオヘッド、ウィーザーといった後続だけでなく、先達のボウイやU2、R

          Pixies / Doolittle (1989)

          R.E.M. / Reckoning (1984)

          ファースト・アルバムが、その堅実かつ誠実、実直な内容にも関わらず望外(?)の高評価とセールスを得たR.E.M.の4人が、ツアーの勢いのまま、わずか数週間でほぼライヴ・レコーディングにより仕上げたセカンド・アルバム。 ピッチフォークが前作から2作続けて10点満点(ちょっとやりすぎな気もするが)をつけた本作もまた、ピーター・バックのギターがジャングリーなアルペジオを奏で、4人のバンド・サウンドはときにザ・スミスやザ・ストーン・ローゼズのように、ギター・ポップのように煌めく。

          R.E.M. / Reckoning (1984)

          Leonard Cohen / Songs from a Room (1969)

          当時34歳のレナード・コーエンが、フォーク・ロック期のボブ・ディランなどを手掛けたボブ・ジョンストンをプロデューサーに迎えて制作したセカンド・アルバム。 彼がレコード・デビューをする前の8年間の大半を過ごしたというギリシャのイドア島で書かれた楽曲を中心とし、ジョンストンとともにナッシュヴィルにてレコーディングされた本作は、彼の代表曲である"Bird On The Wire"で幕を開ける。 フォーク・スタイルのアコースティック・ギター主体のシンプルな音色を核に、音の輪郭は前

          Leonard Cohen / Songs from a Room (1969)

          Phoenix / Alphabetical (2004)

          フランス産のインディ・ポップ・バンド、フェニックスのセカンド・アルバムは、前作の「フレンチ・タッチ」で多面的な内容から、的を絞ってロックやソウルをエレクトロで磨き上げた、洗練された上質なポップ・アルバムとなっている。 打ち込みのドラムやアナログなシンセ・サウンドが絶妙な按配で配置され、ミニマルで温かみのあるサウンドと、前作の”パーティー感”とその喧騒の後の内省的な気分を映し出したような切なくも美しいメロディが心地良く溶け合い、高品質なサウンドや全体のコンパクトさも相まって、

          Phoenix / Alphabetical (2004)

          Marvin Gaye / What's Going On (1971)

          2020年に大刷新された「ローリング・ストーン誌が選ぶロックの名盤500選」で、現代を取り巻く状況も踏まえて見事1位に”昇格”した、マーヴィン・ゲイの永遠の名盤。 史上最高のソウル・アルバムとも称される本作は、60年代の活動において名デュエットを成していた”ソウル・メイト”のタミー・テレルの早逝による計り知れない悲しみと喪失、加えて自らの音楽性への疑問と不信からしばらく音楽から遠ざかっていたマーヴィン・ゲイが、ベトナム戦争からの帰還兵である弟から聞いた戦争の惨状をきっかけに

          Marvin Gaye / What's Going On (1971)

          スピッツ / スピッツ (1991)

          英米でロック史に残る数々の名盤が生まれた1991年、日本からはひっそりと本作が。 軽快で澄んだギター・サウンドにシンプルなリズム、不思議な響きの”現代詩のような”詞(「性と死」という主題と突拍子のない言葉選びが特徴的)と、親しみやすく爽やかなメロディ。そしてスピッツを構成する、無邪気さとさりげない毒。 そのどれもがスピッツらしいこのファースト・アルバムは「デビュー・アルバムにはそのバンドの全てがある」の格言どおりなのかもしれない。 フォーク・ロックのようで、パンクでもニュー

          スピッツ / スピッツ (1991)

          Norah Jones / Not Too Late (2007)

          2作続けての大ヒットとツアー後の休養、別バンドのリトル・ウィリーズなどでの課外活動を経て、3年ぶりとなるサード・アルバムは、初めて全曲にノラ・ジョーンズ自身のクレジット(共作も含む)が入る「シンガー・ソングライター・アルバム」となった。 パートナーのリー・アレキサンダーと2人でNYの自宅に設けたスタジオで、多彩なゲストを招いてレコーディングされた本作は、ジャズよりもカントリーやフォーク寄りの70年代SSW風味が強まり、内容もパーソナルなものとなっている。 トム・ウェイツ風

          Norah Jones / Not Too Late (2007)