【司馬遼太郎】人間というもの③
心に響いたものの抜粋となります。
「喫茶は作法どおりにするがよい」
「なぜ、作法どおりにせねばならぬ」
「遊戯じゃ。人には欲望がある。
欲望というのは、もともと生死につながっている。
めしを食い、女を抱き、憎い者を殺し、
金をもうけ、土地をひろげ、
人はその生死の欲望から
片ときも離れ去るわけにはいかぬ。
遊戯とは、
生死の欲望から、人を
わずかでも離れさせるための方術じゃ。
遊戯には、
さまざまなとりきめがあり、
いずれも生死の大事と関係(かかわり)がない。
茶の作法も、