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小さい幸せ〜松江ラーメン編〜

我が家が愛するチルドラーメンがある。

私の住んでいる町周辺にあるスーパーならどこにでも売っている、「松江ラーメン」の生麺タイプのチルド商品。



もしかしたら全国のスーパーで売られているかもしれないが、確かめてみたことがないので分からない。

唯一住んだことのある地元以外の町が京都だけど、見たことない気がする。



私も家族もこのラーメンが大好きで、出会って以降はヘビーリピートしている。

たしか松江ラーメンとの出会いは、島根旅行の帰りにお土産として持って帰ったのがきっかけだったと思う。

こってりしてないがあっさりすぎない、その絶妙な加減のラーメンは、私たち一家の舌に大当たりだった。

いろんなラーメンによく浮かんでいるあの四角い背脂が私は苦手だったけど、松江のはしつこくない。


それからのある日、あまり注目してこなかったスーパーのチルドコーナーで松江ラーメンを見つけてからというもの、冷蔵庫に常備するようになり、すっかり我が家のロングセラー商品となっている。


我が家で松江ラーメンを食べるタイミングはさまざまある。

一番多いのがお昼ごはん。

遠出から夜遅くに帰ってきたときの夜ごはんなんかでも登場する。
長旅や用事で疲れ切ったから作る気力がないわ、というときに母が重宝している。


そうは言いつつも母は、この松江ラーメンにちゃんと立派なトッピングを施してくれる。

だいたい乗っけられるのはいつも、もやし、水菜、ねぎ、ハム、ゆで卵。

このトッピングも相まって私はこの松江ラーメンを愛している。


普段のラーメンでも白い脂がテカテカ乗ったチャーシューがあんまり好きではなくて、たまに鶏チャーシューとかに巡り合えるとすごく嬉しくなってしまうような好みなので、ハムぐらいが実は一番ちょうどよい。

昔はラーメンの上の野菜も嫌いだったので、小さい頃ネギやもやしは避けて食べていた。

でも今はすごく大事な存在になっている。私の味覚がちょっぴり大人になったのもあるけど、ラーメンにとってのネギやもやしが大変重要であることに気づけたのは、この松江ラーメンに出会って以降だったような気がする。


野菜が麺を、スープを、美味しくしている!!という感覚を口いっぱいに感じられたし、それにラーメンを食べるときは「さあ、もりもりいくぞ!」という気概とともにいただくものなので、”もりもり食べてる感”はやはりこんもり盛られた野菜によって成り立つと思うのだ。

松江ラーメンに関しては水菜のトッピングが最強。母のセンスに脱帽する。

水菜独特のシャキシャキ感とみずみずしさが、しじみの風味に絶妙に絡んでおもわずにっこりしてしまう。

きっとあれこれ考えられて完成したのが、このトッピングなんだろう。


母にとっては手抜きのごはんかもしれないけど、いろんな心がのっている。

美味しいものがさらにおいしくなった、輝きのラーメン。



このあいだも、昼からの仕事に出る前に母が松江ラーメンを作ってくれた。

茹ですぎたと言ってた卵も、固ゆで派の私にはちょうどよい。

さらに殻むきに失敗したと言っていたけど、白身のガタガタも、舌先に優しさが乗ってるのを感じた。


ほんとうに美味しいものを食べていると、洗濯物と一緒にひなたぼっこする犬とか、慣れすぎて忘れていた海風の匂いとか、当たり前にそこにあるもの全部が美しく鮮明になる。特別な日曜日みたいに光って見える。


家で作られるラーメンはどうしてこんなに特別なんだろう。

この当たり前じゃない幸せもいつかで限りが来ることを思うと、とても切ない。

もしも、自分に子供ができるときがきたら、私はこんなラーメンを与えてやれるんだろうか。


都市への憧れが止まらなくてずっと家をとびだしたい私も、生まれ育った家の温かさをこうして感じては足踏みしている。



2022年1月22日 0:35

寒すぎるのにうちの地域は雪が降らない。1回ぐらい積もってよ!

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