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シンセサイザー入門日誌 その3:オシレーターでお鳴き初め

 いよいよ本格的な音出しだ。前回の日誌で私は音楽のあんちゃんの言に従い「マニュアルを頭から全部読め!」を実践しようとしたが、概論を過ぎた初学者はその次にいきなり行ってはならない。どのようなシンセも「音を出す機能」「音を加工する機能」「音を出力する機能」の三つがこの順番通りに並んでいるわけだが、Subsequent37の場合最初にいじりたいはずの「音を出す機能」はなぜかパネルの真ん中に位置しており、マニュアルも真ん中ら辺に説明があるのだ。なので初学者は公式マニュアルの11ページからPROGRAMINGパネルの使い方を知った上で、23ページからを読むことをおすすめしたい。

PROGRAMING セクション

 まずパネルのすぐ下にある "CURSOR" ボタンを押すと、パラメータを変更する箇所を選択できる。音色のライブラリとしては大カテゴリとしてBANK(表記はBNK)が全16個あり、BANKの下にさらに16種類のPRESETがぶら下がっている。BANKやPRESETの数値を変更すれば、すぐ音色を変えることができる。もはやこの音色呼び出しの技さえできれば、すぐ演奏できるようになる。
 BANKとPRESETの下にCATとあるが、これはCategoryの略で、音色それぞれにつけられたタグ属性のようなものだ。写真ではBASSカテゴリの音色が選択されている。CURSORボタンでCATに焦点をあて、上下ボタンを押すと、CATがBASSと指定されている音色だけに絞って変更することができる。これはかなり便利だ。

完全にニュートラルな音を見つける方法

 プリセットを呼び出す方法はわかった。だが、初学者がシンセを学ぶためには、プロが作った複雑な音色をいじるより前に、味付けのついていないまっさらな音から出発したい。
 まっさらな音を手っ取り早く見つけるなら、BANK16の音を呼び出せばいい。このバンクはユーザーがオリジナルの音色を保存できるように空いており、全ての音がニュートラルな状態で保存されているためだ。
 ただし、これはプリセットが使える=つまみが電子制御されているシンセの特徴だが、目の前の物理つまみの状態と音色の状態は必ずしも一致しない。PROGEAMINGセクションで音色を変更したあと、物理つまみをいじると、そのパラメータだけは物理つまみの状態を反映することになる。ここに注意しよう。
 ということで、ニュートラルな音が出せたら、いよいよ物理つまみをいじっていく。

OSCILLATORSセクション

 「音を出す機能」の部分は、シンセ用語で「オシレーター(oscillator)」と呼ぶ。Subesequent37には二つのオシレーターがついているので、2音同時発音したり、二色の音色を重ねて複雑な響きを作ることができる。
 オシレーターと共に注目したいのが、右隣のMIXERセクションである。

 MIXERセクションでは主に二つのオシレーターの混ざり具合を調整する役割を持つ。OSC1のつまみをあげればオシレータ1の音量が上がり、OSC2のつまみをゼロにすれば、OSC1のみの音声をいじることができるようになる。
 しかし、オシレータのパネルを見ればわかる通り、上段のオシレータ1も下段のオシレータ2も全く同じつまみの配置だ。そう、鳴っている音色は同じなのである。じゃあ、オシレータの1と2の違いってなんなの?そこにMIXERが絡んでくる。
 MIXERのOSC1の下には、SUB1というつまみがある。これはオシレータ1のオクターブ下の音を同時に鳴らすためのつまみだ。一方でOSC2の下にあるNOISEというつまみは、オシレータ2が鳴ったと同時にピンク・ノイズという音色を鳴らす分量を調整するためのものである。すなわち、オシレータ1と2は同じものではあるが、MIXERで味付けできる内容が全く異なっているのが違いなのである。

シンセを実践投入する際のコツになりそうなこと

 オシレーターをいじりながら思うのは「この音は何に似ているだろう?」ということだ。いじっていて確かに楽しいのだが、基本的に単音しか鳴らないSubsequenct37は初学者である私には楽曲中でどのようにこの音色が使えるのかさっぱり見当がつかない。「この音は上原ひろみのアルバムに出てきたような…」「この音ウェザーリポートにあったぞ!」など、自分の記憶している楽曲と照合してみると、自分が将来演奏する楽曲のイメージがつきそうだ。「あ、これ救急車の音だ!」「滝の音みたいだな…」など、生活音や自然音に類似したものを探せば、今後特殊効果を作るのに役立つかもしれない。

 天才ならシンセをいじるだけで作曲や演奏ができるのだろう。ただ凡人である私は、とにかく記憶との照合にかけるしかない。目の前の音色と、頭の中の曲とをシンセサイズしていくしかないのだ。

 次はシンセらしさをグンと出すことのできる機能「アルペジエーター」をみていく。


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