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New York Fashion業界で使うデザイン画

ニューヨークのファッション業界で仕事を始めて、21年目になりました。 職業は、Technical Knit Designer です。

どんな職業なのか? ご興味のある方は、こちらの記事に書きましたので、どうぞお立ち寄り下さい。

Flat Sketch(平面画) - Hard type 

ファッション業界で、仕事をしながら、一番多く使われるデザイン画が、flat sketch で、その中には、hard type と、soft type があります。

下の drawing (= 描く事 / 絵画、という意味ですが、仕事中は、普通にこの "drawing" を、"sketch" (スケッチ)と同様、頻繁に日常会話で使っています。)は、hard type です。

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基本的に、使われている線が、まっすぐです。曲線を描く線も、基本的にスムーズにまっすぐです。カチッとした、イメージが伝わってくることから、hard type と呼ばれます。

私が、デザイナーより、新しいデザインの、デザイン画をもらう時は、基本的にこのタイプのスケッチが多いです。

理由は、やたらと線がクネクネしていたり、余分な線が入っていると、意図するデザインを、正確に読み取ることができないからです。

実際にデザインをする、クリエイティブ・デザイナーも、私も、見た事のないものを、作っていきます。その時デザイン画は、同じ事を、私達に伝える必要があります。

工場に直接、サンプルが作れる様に、仕様書を通して指示を出すのは、私の仕事です。その仕様書が、クリエイティブ・デザイナーの、デザインを正しく反映していないと、出来上がってくるサンプルは、全く違うものになってしまいます。


Flat Sketch(平面画) - Soft type

下のイメージは、Flat Sketch の soft type です。Hard type のスケッチと、見比べると、その違いがよくわかります。

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クライアントからの仕事で、あるテーマに沿った trend reserch (トレンド・リサーチ) と、それに基づいて幾つかのデザインをする、という案件でした。

そのクライアントが、実際に自分たちの顧客に資料として見せるという事で、presentation の目的にも合わせて、soft type で、仕上げました。


Figure Drawing / Sketch(人物画) 

実際に人間が、洋服を着た状態を描いた絵です。絵のスタイルは、完全にデザインーによって異なり、どれが正しいという話ではありません。

ただし、描かれている洋服のデザインや雰囲気が、デザイナーの意図する様に、伝わってこなければ、デザイン画としての意味はなく、アート作品になってしまいます。

実際のファッションデザインの仕事場で、この様に詳細まで描かれている絵を、しかも手で描く事は、先ずありません。これは、ファッション雑誌や、イラスト向けの絵になり、どちらかと言えば、イラストレーターの仕事になるでしょう。

それでも小さな会社では、バイヤー向けの、presentation (プリゼン)用に、デザイナーが描くこともあります。

過去20年近く、CG (computer graphic) の soft wear, Ai (Adobe illustrator) が、ファッション業界でも、どんどん使われる様になってきているので、こういう肉筆でのファッション画は、アート系になっていることも事実です。

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上の絵は、自分のポートフォリオ用に、だいぶ昔に描いたものです。

表題のイメージにも使った、下の絵は、collage (コラージュ画)で、セーターの製造会社の代理店から、ニューヨークにあるshow room (ショウルーム)に飾る、アート作品を4〜5点依頼された中の、ひとつです。

人物の部分が、水彩画と色鉛筆で、水着は毛糸のかぎ針編みで、できています。これは、楽しい仕事でした。:)

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Quick Sketch

文字通り手早く、ささッと、描く絵のことです。

私は、TD (Technical Designer) なので、実際の仕事として、デザインをしながら、どんどん絵に描いていく、という事はしません。 

それで大学時代に描いた、quick sketch を引っ張り出してきました。卒業制作のひとつで、大きなデザインプロジェクトがあり、そのための quick sketch でした。

「カッコいい!」と、思わず言ってしまう様な、ホントにcool で素敵なquick sketch をするクラスメートも、たくさいました。

とりあえず自分のスケッチから、 quick sketch の雰囲気だけでも、わかって頂ければ、嬉しいです。

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後書き

私は、絵を描くことは好きです。でも、決して自分独自のスタイルがあるわけでもなく、やはり、大学に入り、ファッションデザインを学ぶにあたり、又、良い成績を得たいが為にも、かなり練習をしました。

自分の気に入った、イラストを真似して、「いいな・・・。」そう自分で、すんなり思えるまで、色々な作風を真似し続けました。

今、紙とペンを渡されて、ファッション画を描いてみなさい、と言われても、自分の気に入る絵は、描けないです。

でも、マネから学んだ自分の絵は好きです。

下の記事は、24年前に、大学入学審査のために作成した、ポートフォリオについて書いたものです。当時自分でデザインし、それを水彩と色鉛筆で描いた、デザイン画の写真も、何点か載せました。見るだけでも、笑えると思います。

お暇でしたら、どうぞご覧下さい。絵は、才能だけでは上達しない事が、凡人の私の絵から、実感できると思います。



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