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『好きな事』が見つからない

進路。何を学ぶか。生涯を掛けられるもの。一生の仕事。こういう事を考えてゆく時、『好きな事』を決めたり、選んだりするのは、本当に難しいと、心底思う。

正反対の人もいる。素直に『これだ!』って言える人達は恵まれていると思うし、羨ましいとも思う。その動機だったり、経緯だったりを見聞きしていると、こちらまで気持ちよくなって来る程に、『スコーン!』と心に響いてくる。

『これだ!』は後からやって来ることもある
自分が離婚後、自立する為に、ファッションデザインを選んだ理由を知って頂ければ、『無くても大丈夫』と楽な気持ちになって頂けると思います。

元専業主婦

自分は元専業主婦で、そうなりたかった。
母は、家事全般をそつなくこなし、その合間に、お菓子を焼いたり、裁縫、手芸、編み物など、全てが上手だった。その後、茶の湯と書の世界にも入り込んでいた。
母の様になる。それが自分の夢で、憧れる生き方だった。


学士課程での技術習得

望まぬ離婚が現実となり、とにかく自立しなければ、と考えた。そこからの思考回路が、仕事 --> 技術習得 --> 4大卒業 --> 留学(この時点で高校生と同じ様に、大学受験勉強をするのは到底無理!と、痛感。)

宝探し

ここから始まる、苦難の問い掛け。何を勉強するのか?何の技術を身につけるのか?当時、1994〜95年辺りではインターネットも一般家庭には普及していなくて、新宿の紀伊國屋に通っては、留学の本を立ち読みしたり、説明会に参加したりしていた。留学自体は、突拍子も無く珍しい、と言うことでもなかったが、何を勉強するのか、なんのアイデアもない状態では、大学を探す事は宝探しの様だった。


ご縁

最初は、何か人の役に立つ事を学びたいと思い、そこで発見したのがアートや音楽を使い、心に傷を持った人たちを癒す、art / music therapistだった。嬉しかった。これだと思った。直ぐにこれに関する本を読み始めた。そこで知った現実は厳しかった。麻薬中毒患者の人達と、死に物狂いで向き合う様子。凶悪犯罪で、刑務所に服役中の人たちとの会話の様子。『ダメだ、できない。』
落ち着いて考えれば、もっとありとあらゆる場で、この職業が活躍している事は明白。いわゆる自分には、縁がなかったと言う事だ。


消去法

調べていくうちに、高い語学力を要求される学問は、自分にとっては不利だと思い除外し、そこで行き着いたのがアート系と製菓そして料理。
子供の時からお菓子大好き人間で、大人になっても少しも衰えていない。そこでふと思った。製菓も料理も自分で試食しなければ勉強にならない。となると、絶対に太る。除外した。


決め手が無い!

アート系に絞り込んだところから、なかなか前に進まなかった。あれも好き、これも楽しそう、が始まった。彫金もいいけど、宝石鑑定学も良さそう。インテリアデザインも良いかもしれない。結局、『これだ!』が無い自分には、決定的な決め手が無い。


引き寄せの法則か?

いい加減疲れていた。悲しかった。心ときめいても、人生を賭けて学びたいと思えるものは自分には無いんだ。一体今まで、何を人生で楽しんできたんだろう。これが専業主婦の結末か。(自分の生きる姿勢を、専業主婦という肩書きのせいにしていた。反省すべし。)結構、負のスパイラルにすっぽりハマっていた。
ある日、近所の本屋さんでふと思ってた。一体、英語を使ってできるアート系の仕事って、実際には何があるんだろう。『英語を使って仕事がしたい』という本が目につき、手に取った。

決めては年俸?!

ぱらっ、とめくったところに表があった。どの職業が将来どれだけ稼げる様になれるのかを示していた。一番の高額のところに、ファッションデザイナーがあった。そりゃそうだろう、と別に感動もせず、またパラパラとページをめくった。そこで目に飛び込んできたのが、『ファッションの街、ニューヨークでファッションデザインを学ぶ。Fashion Institute of Technology』内臓のどこかに、『ズキン』と一撃来たのを覚えている。これが、『こころ震える』ということか?と、思った。
4年生大学で、ファッションデザインが学べるのか? ファッションデザインの学士がもらえるんだ!そして、稼げる様になる。(かなりの単細胞気質)


運命的な出会い

そう思って始まった結婚は、決別に終わったが、今でもこの本とは運命の出会いだったと、気分に浸れる。
実際に渡米し、学生生活が始まればやはり又、『これだ!』という決定打が無い事に、悩んだけれど、25年ほど前になるのだろうか、あの時の自分の選択に間違いは無い。ファッションデザインを勉強して自立するという、留学の目的はとりあえず叶った。

どうぞ『これだ!』と、いうものが無い事で、あなたの思い描く夢や、希望を抹消させないで欲しいです。『好き』は素晴らしい。『大好き』は心躍る。でもそう言える物がなくても、探し続ければあなたの元へやってくる。どんな風にとかなんて、心配しなくていいんです。

あなたの心は必ず震える。その時が来れば...。

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