英語の学び方:AI以前とAI以後を比べてみた
AIは次のステップに入ってきてるなと感じます。
少し前まで「AIのこんな機能がすごい」という情報ばかりでしたが、このところ「AIをどう活用するか」といった情報に変化しています。
今回はそんなAI活用方法の中で、「英語学習」に焦点を当てて調べてみたところ、いくつかの気づきがあったのです。
AI以前の英語本を読み直してみたら
まずAI以前の、従来の英語本を改めて読んでみました。
今回手にとったのはこちら。
“純ジャパニーズの”という部分がいいですね。
著者は、海外生活・留学なしでニューヨーク・タイムズの記者になったという人。
書籍全体はスキル別に構成されています。
「スピーキング」「発音」「リスニング」「リーディング」「英会話」「グラマー」「ボキャブラリー」「ライティング」。
それぞれどうすればいいのか、著者のエピソードとともに解説されます。
教材も、書籍はもちろん、YouTubeやオーディオブック、ラジオ放送、映画やドラマまで幅広く取り上げています。
【自分の1日を50の英文で表現し、繰り返し口にする】
という方法は、文章の型を頭に擦り込むのにいいと思いました。
【英語ニュースを読む時は、最初の段落に要点が詰め込まれている】
など、役立つテクニックも数々紹介されています。
【英語を話すときは低めのトーンがいい】
【新聞のお悔やみ記事は、情報が端的にまとめられていて書き写すのに最適】
など、著者の経験を通したアドバイスも。
取材対象との接し方など、人とのコミュニケーションについてもページが割かれています。
著者は岡山で、僕はお隣の広島。どちらも瀬戸内沿いで生まれ育ち、年齢も数年しか違わない。
おそらく同じような空気感の中で育ってきたと思われ、個人的にとても共感できた本でした。
そして、このAI以前の英語本を読みながら頭に蘇ってきたのは、自分自身の英語勉強法でした。
インターネット以前の勉強法と比べてみると
僕が中高生だったのは、AIどころか、インターネットが普及する前。
当時は、「英語を聞く手段」が限られていました。
NHKラジオ講座以外では、CD教材を買ったり、海外のラジオ放送を聞くために短波ラジオを買いに行ったりしなければならなかった。
それがインターネットが普及した今、英語を聞く(情報を得る)こと自体のハードルはすっかり消えました。
では、それによって日本人の語学力は大きく変わったのでしょうか。
情報を得る手段が増えたことは、語学力に劇的な変化をもたらせたのでしょうか。
こんな疑問を持って、僕は「AI以後の英語本」を読み始めました。
AI以後の英語本を読んでみれば
AIを活用してどう英語を学ぶのか。
こんな書籍を見つけました。
著者はAI活用や英語の学習法を発信している人。
本書では、主にChatGPTを使った英語の学習法を展開していきます。
・ChatGPTに「○○に関する200ワードくらいの英文を作ってください」
→自分が興味ある内容、強化したい内容に特化して学べる
・ChatGPTに「この文章に使われている英単語のリストを作ってください」
→学ぶべき英単語だけリストアップしていける
・ChatGPTに「これらの英単語を使って物語を作ってください」
→ストーリーなら頭に入りやすい
他にも、音声入力を使っての英会話など、おもわず膝を打つようなネタが満載でした。
AIを使った英語学習のポイントは、<個人最適化>と<インタラクティブ性>だと著者は言います。
<個人最適化>というのは、AIの大きな特長ですね。
もともと、従来の書籍などで不満に思ってきたのは、「自分にぴったりの事例がない」こと。
例えば、今回冒頭で紹介した書籍で挙げられていた「自分の1日を50の英文で表現する」という部分。
書籍の中では、「独身女性の1日」が取り上げられています。
これでは僕には役に立ちませんが、ChatGPTなら活躍してくれそうです。
そしてもう一つの<インタラクティブ性>。
AIを使えば、先生と学習者の言葉のキャッチボールだってできる。
・・・ということは、AIは英会話スクールの脅威になるのではないか。
オンライン英会話のAI機能を試してみた
僕はオンライン英会話を始めて2年目になります。
これまで、のべ130人ほどの先生とオンラインで会話してきました。
折しも、このオンライン英会話に、【AI ロールプレイ】という新機能が実装されることになりました。
・AIを相手に英会話を練習できる。
・テキストまたは音声でチャット入力が可能。
・入力された文章に対し、AIがより適切な表現をフィードバック。
・予約不要で24時間いつでもどこでも使える。
まだベータ版ですが、早速使ってみました。
まず、英会話のシチュエーションを選択します。
僕は「職場」を選択してみました。
今回は「休暇を取る」を選択
どうやらAIが僕のボス役をやってくれるようです。
音声で話しかけてみたいので、マイクアイコンをタップして話しかけました。
口にした英語がそのままテキストとして自動的に打ち込まれていきます。
その後、AIボスが返答し、またこちらから話しかける。
やりとりの度に数秒待つ感じがありますが、AIボスの返事も音声で再生されるので、実際に会話をしている感覚です。
一つ一つの回答の下にある「フィードバックを表示」をクリックすると、僕へのアドバイスが表示されます。
ここでは、「Hello boss」という話しかけ方より、相手の名前を口にする方が適切だ、とアドバイスされています。
これなら、いつでも表現の練習ができますね。
一方で、やはりリアルな先生との会話の方が「楽しい」とも思いました。
まとめ
今回の一連の調査を通して、僕が感じたこと。
・従来の教科書や手法では、学び方が「受け身」になってしまう。
・一方で、AIがあれば、「自分の目的が明確な人」がどんどん先に行く。
だから、従来の方法だとなかなか結果が出ない人がいるのかもしれない。
そして、AIが用意されても「どう使ったらいいかわからない人」も現れるかもしれない。
今、僕が考える<英語の学び方の棲み分け>はこうです。
・英語の勉強に必要なものは、昔も今も変わらない。だから、体系的な知識の吸収には書籍がいい。
・自分に合った情報収集や、苦手な部分を強化するといった個人的な訓練は、AIで高めることができる。
・AI英会話は、同じ部分を繰り返し練習したり、うまく話せない表現を確認したり、といった自主練になる。
・リアルな先生とは、考えや経験など、会話そのものを楽しむ。
英語でいつも思い出すのは、映画メイキング本で知った、ビートたけしのエピソードです。
映画『戦場のメリークリスマス』の撮影現場で、ビートたけしの周りには常に外国の役者たちも集まって大笑いしていたそうなのです。
彼は流暢な英語スピーカーではないのに。
英語を何のために学ぶのか。
英語を使って何を伝えたいのか。
これは常に自分に問いたいと思いますし、同時に、あらゆるスキル学習に置き換えても言えることではないかと思っています。
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オリカワシュウイチ
映像クリエイター/絵コンテコーチ
初心者の映画制作をサポートする活動を全国で続ける。埼玉在住。
仲間ゼロ・カメラ1台から映画作りをスタートし『映画工房カルフのように( http://karufu.net/ )』を立ち上げ、セミナーやワークショップを通して、これまで1000人以上に映画作りをアドバイスする。スタローンに生で会ったことのある広島県人。著書に『事例で学ぶ1分間PR動画ラクラク作成ハンドブック』『iPhoneで作ろう ビジネス動画の教科書』『iPhoneでお金をかけずにビジネス動画を作れるようになる本』(全てペンコム)がある。
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