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夢を押し付けない

以前、有料記事にしたレッスンが終わりました。今日はもちろん、結果だけの報告。もちろん無料で書きます。

1番好きな仕事なのに、最後に何も残せなかった無念を抱えたまま終わると思っていました。しかし彼女が悪いのではない。ただ、終わることはもう決まっている。仕方ない、これも運命なのだと思いました。

最後のレッスンは、都合によりいつもより時間を長くしなくてはならなくて、彼女の集中力が持つかが心配でした。なので、合間を使って彼女の本音を聞いておきたかった。何かの時に彼女がヘルプを出せるきっかけだけでも作っておけないかな、と思ったのです。

1回目に試みたときは、やはりいつも通り答えはなく、首を傾げるだけ。2回目話しかけてみたら、はっきりと「(クラシック)ピアノは好きじゃないです」と答えてくれました。彼女は、ボーカロイドの音楽が好きだ、ということも教えてくれました。私は「ピアノの先生はいつも怖いけど、あなたが好きな音楽がクラシックでないことを怒ったりする先生ではないよ」と伝えました。そして「いつか、本当に辛くなったら、先生に伝えてもいいんだよ。私はあなたと同じピアノの先生についているけど、そういうことでは絶対に怒らないって約束できるから。勇気がいるかもしれないけど、その時が来たら自分で言えるかな?」と伝えてみました。彼女は「はい」と答えていました。

母親は「この子はいつも好きな曲ばかり弾くんです。私は〇〇が弾けるようになってほしいのに…」と言っていました。〇〇のところでは具体的な曲名を言っていました。特段、難曲というわけではないけど、そもそも、本当に「弾きたい!」と思わないと辛いだけなんですよ、楽器の練習なんて。好きでもイヤになるときがあるんだから、嫌いで、尚且つ練習もしなくてはならないし、練習しても怒られる。それは、もはや虐待に近いように感じてしまうんです。

母親は私に「この子にとって、音楽のない世界は考えられないんです!だから音楽の学校に進学するのが幸せなんです!みんなにうちの子のピアノを聴いてもらうことが夢なんです!そのためならなんでもやりますから!」と、よく言っていました。訴えながら泣いてもいました。彼女自身は、その母からの期待に応えられないことが少しずつわかってきたのではないかと思いました。

いつか、先生に伝えられる時があったらいいね…

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小さい頃から楽器を習わせることは多いですが、ほぼ「親が喜ぶから」「親に怒られるから」、と言う理由が多いらしいです。私は幸か不幸か?まったく小さい頃に専門教育を受けず、自分で準備を着々と進めて音高進学をしたので(仮面浪人したが笑)そうした流れがあることさえ知らなかったのですが、教える立場になって、こうした「親の期待」に応えてこれた人、なおかつ音楽をやっていきたい、という気持ちが合致した人が、この世界に残ることが多い、ということを知ったのです。
私は親になったことがないのでわかりませんが、どうか、自分の人生は自分で選択できる環境が整いますように。

何も役に立てなかった、と肩を落としていましたが、もし彼女が先生に伝えて、進みたい道に行くことができたら嬉しいなぁ、と今は思うことができました。

さて、私は人生最後?の学生生活を終えようと思います!!皆様にとっても、2024年度は有意義なものでありますように。

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