土木のビッグピクチャーを読んで

「Beyondコロナの日本創生と土木のビッグピクチャー~人々のWell-beingと持続可能な社会に向けて~」が公表されました。

https://committees.jsce.or.jp/chair/system/files/2021JSCE_BigPicture.pdf

ざざざっと目を通して気になったところをメモしておきます。

B/C<1であっても行うべき投資がある

現行制度では、B/C が 1.0 を上回るかどうかだけで事業 実施の決定を行うこととなっています。これは公共投資の本質ではありません。 私たちの生活経済社会における「あたりまえ」を支える事業、また安全、医療、雇用、教育、福祉等、 ひとりひとりの国民にとっての安心で快適な暮らしを支える事業であれば、B/C<1.0であっても、公共投資として推進する必要があります。

Beyondコロナの日本創生と土木のビッグピクチャー~人々のWell-beingと持続可能な社会に向けて~pp.26,27 


これは賛同するところもありますが、ずいぶん思い切れたと感心しました。


公的セクターが必要な移動サービスの水準を定める

移動の公平性の確保という観点から、公的セクターが必要なサービス水準を定め、自らインフラを整備・保有し、必要な運営費を税金等で負担したうえで、交通事業者に委託 する仕組みづくりが必要

Beyondコロナの日本創生と土木のビッグピクチャー
~人々のWell-beingと持続可能な社会に向けて~
p.28 

こちらも興味深い提言です。こんなことができている自治体は全国にどれくらいあるでしょうか。難しいですが、チャレンジすべき課題のように思われます。


インフラ空間を活用した地域創生の考え方を公的セクターが定め、必要な運営費を負担

本来公的セクターが考えるべきインフラ空間の活用方法まで民間事業者に委ね、民間事業者の採算性確保の範囲でインフラ空間の質が決まってしまうという事例が散見されます。また、インフラ空間の使い手である市民や利用者の意見が十分に 反映されていないケースもみられます。 このため、インフラ空間を活用した地域創生の考え方を公的セクターが定め、必要な運営費を税金 等で負担したうえで、民間事業者の創意工夫を活かすことができる事業スキームの構築が求められます。この際、公的セクター、市民、民間事業者が協働する新たな公共体/エリアプラットフォームの組織化も重要となります。

Beyondコロナの日本創生と土木のビッグピクチャー
~人々のWell-beingと持続可能な社会に向けて~
p.28

自治体が楽をしている(実際には仕事はしているが、考えることは放棄しているといえるでしょうか)との指摘とおもわれました。
本来公的セクターが考えるべきインフラ空間の活用方法を民間任せにしている。ここには民間への遠慮もあるのかもしれませんが、地域をよくするというとても強い使命や役割を感じているのであればぜひ一緒にとりくもうという強い宣言と受け取りました。

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