netxuyasai

ねつ野菜・伊那谷アンビエントワークス

netxuyasai

ねつ野菜・伊那谷アンビエントワークス

最近の記事

AIが生成した中古レコードを本気でDig

本気のDigなので、デザインの良し悪しより、何より大事なのは「ヤバイ音の予感」。己の偏りまくった主観が唯一の基準だ。 かつてはマイ妖怪アンテナの導きに従い、得体の知れない中古レコードをゲットしては自宅で大ハズレを繰り返す日々だった。後悔は棚に差し込めば捨てたも同然。俺はリスだ。隠したクルミをあちこちに忘れながら歳を重ねる。かくして部屋はゴミで埋まってゆく。 いや、待ってくれ。見て欲しいのは、うず高く積み上がったウォール・オブ・ゴミのことではなくて、そのゴミたちによって磨かれ

    • ジョンとボブのAI対談まとめ

      イカ墨についてジョン:やあ、ボブ。元気かい? ボブ:ヘイ、ジョン。リラックスしてるよ。君はどう? ジョン:まあな、忙しい日々だけど、音楽を作っているときが一番リラックスできるな。さて、今日のテーマはイカ墨だって? ボブ:そうさ、イカ墨についての話をしてみようぜ。なんでって?まあ、君が言ってたように、新しい視点で物事を見るのは大事だろう? ジョン:確かにそうだな。イカ墨ってのは、いわば新しい風味をもたらす料理の素材だよな。音楽も同じで、新しい要素を加えることで新しい表現

      • 伊那節仁義

        怒涛の勢いで全方向からモテ続ける勘太郎を延々見続ける映画。 のっけから勘太郎役の長谷川一夫はフルスロットルで己の一夫性を無差別に噴射する。ニヤついた流し目。超モテる。浅いダミ声でおどける。クソモテる。酒入れてちょっぴり下品に崩れてまたモテる。媚びて甘えてなおモテる。じわじわ迫る同調圧力。画面では勘太郎がマジで胴上げされている。好かれ過ぎている。全登場人物が勘太郎にゾッコンなのだ。敵役だって勘太郎を全力で追いかけてる。映画全編を通じて勘太郎には、無条件に全存在から膨大な愛が注

        • ゴダール『イメージの本』

          ひとつ確実なのは、確固たる意味なんかどこにもないということだ。 語りの親切さをこちらが要求する前に考えるべきことは、文脈の主導権が監督にあるのか鑑賞者にあるのか。 観ている間は綱引きのように、それがあっちへこっちへと揺れ続ける。パッケージされた意味を欲しがっていると退屈に食われる。「意味ありげなことばっか並べてバカにしやがってクソつまんねえ」と。 ゴダールの晩年映画は難解な詩だと思っていたけど、詩にしてはやっぱり引用がゴロッとしすぎているし、カットアップのぶった切りが乱暴す

        AIが生成した中古レコードを本気でDig

          実録小説サトシ桐島

          最初は見かけたら遠ざかり、遠ざかった先でも見かけたらまた遠ざかった。山奥じゃ呼吸もできないから仕方なく人里に戻ると、やはり駅前で見かけてしまう。コンビニのトイレで鏡を見るとずいぶん人相が変わっている。 あいつらのやり口は光り輝く白い下地に人知の絞りカスを黒汁と共に縫い付けることで成立する。そうやって食い殺したい側の怨念をもって、俺の似顔絵ともつかない写真たちは完成した。それは公的機関によってばら撒かれ、量産に次ぐ量産によって、俺に張り付いていた俺の顔はなぜか俺から剥がれ落ち

          実録小説サトシ桐島

          AI音楽による、対価発生音楽のオワコン化について

          なんとなく気付いてはいた。youtubeで時折出てくる、一時間くらいのぼんやりしたMix音源。日が経つごとにそれがどんどん増えてきた。毎日のように追加されるそれらの動画では、DTMで制作したと思われるよい感じ、よい雰囲気のリズミカルな音楽が流れていた。 それらはどれも違っているようで似ていて、誰が作ったかもよくわからない、というか、あえて興味を持たせないように作ったとすら思えるくらい、絶妙に心に残らない音楽たちだった。 けれど、その「心に残らなさ」は、自分にしっくりと馴染

          AI音楽による、対価発生音楽のオワコン化について

          映画『さかなのこ』

          まさかの海洋生物スナッフムービー。あちこちに爆発物のようなゴア描写が撒き散らされている。 さかなクン本人が「監修」しているという事実により、作品内の狂気にホンモノの説得力が通底している。 おはなし自体はぶっちぎれた異常さを推進力に、「興味」以外の全てがないがしろ。という潔さの向こうまで突き抜けたファンタジーだった。   しかしナメてると度肝を抜かれる。海岸におけるタコ登場から噛みちぎられるまでの一連の流れは酷すぎ、凄すぎ、衝撃的すぎて、あまりのことに爆笑が止まらなくなり、

          映画『さかなのこ』

          最高の買い物をした

          大切すぎてどう書いたらいいのか、ちゃんと描写できるのか自信がないが、もったいぶらずに書けば、僕は48歳の12月。とうとう幼い頃からの念願だった平日午後2時を、2日分、買い上げた。 平日の午後2時は最高の時間だ。晴天でも曇天でも、ときには雨天の時だって日差しの感触が必ずあり、あとこれが大切なところだが、それが最高の角度で、ジャストとしか言いようのない舐めるような暖かさで、ここに、差し込んでくる。 どこに居たって最高だが、なかでも最高オブ最高なのはひとり、自室にいる時だ。実家

          最高の買い物をした

          映画「怪物」 あの場面について再考

          前回の記事に書いた、映画「怪物」における白眉中の白眉シーン、 「車窓の泥をよける手と、際限なく積もる泥、それを穿つ雨粒を廃列車の内側から撮ったショット」について一日考えていたけれど、考えれば考えるほどとんでもない場面だったと再考するに至り、前回の補足として書いておく。 ストーリーの核心に触れるものではないと思いますが、とはいえ若干のバイアスがかかる可能性も高いので、できることなら読む前に本編をどうぞ映画館で。                                

          映画「怪物」 あの場面について再考

          映画「怪物」 匂う子供と匂わない大人

          時系列と視点を解体して、物語内だけで通用する理屈を糸として編み上げるというサスペンス的なやりかたは、何かしらの解決に向かって進むものだけど、この映画については、そのやりかたの帰結点が物語の解決ではなく、編み上げること自体が目的になっているように感じて、そういうところがとても映画的な映画だなと思った。 ちょっと考えればわかるくらいのわかりやすさに調整された伏線があちこちにバラ撒かれていて、頭がしょっちゅうスイッチバックしようとするので、さすがに途中から回収を諦めた。でも諦めた

          映画「怪物」 匂う子供と匂わない大人

          ChatGPTによる芸術解説 ボルダック「独立宣言の進行形」

          存在しないアートをもっともらしく堪能したい。そんな切なる願いを叶えるべく、画像生成AIに適当な彫刻を生成してもらい、それをChatGPTに解説してもらった。 それなりに立派なものに見えてくるから面白い。 この彫刻は何を表現している? トーマス・ジェファーソンの何を表現している? 確かに、何かを持ち上げているようにも見える。 この、つぶれた球体のようなものが「独立宣言」なのかな。 なるほど。潰れた球体を持ち上げているのが、ジェファーソンの両腕なんだね。 じゃあ、球体から

          ChatGPTによる芸術解説 ボルダック「独立宣言の進行形」

          小説「指先」完成までの、AIチャットとの会話全記録

          昨日僕は、OpenAI社のチャットボット、ChatGPTとの対話を繰り返し、約4000字の短編小説を作成した。かかった時間は4〜5時間。ひとりで書けば半分以下の時間で仕上がる。時間的にはかなり非効率だ。 しかし対話によって物語を紡ぐ作業は、とにかく胸が踊り、興奮するものだった。 ひとりで紡ぐ時の孤独感、擦り切れ感、焦燥感とは真逆の感覚。早く進めたいような、いつまでも完成させず、ずっとウダウダやっていたいような。誇張ではなく、今までで最も幸せな執筆時間だった。 対話によって

          小説「指先」完成までの、AIチャットとの会話全記録

          AIチャットとの共著小説「指先」

          AIチャットと会話しながら、協力して書いた小説をここに掲載します。 原案はAIです。作品内におけるアイデア出しも半分くらいはAIで、僕はそれをまとめたり、構成したり、編集のような立場で関わりました。 のちほど、制作過程を別投稿でアップロードしようと思っています。 指先 彼は、窓ガラスに書かれた名前だった。 窓ガラスには「朝影」と、黒いマジックで書かれている。それが彼だった。 朝影は絶望していた。自分が窓ガラスに書かれた名前であることを自覚し、その状況を感じることしかでき

          AIチャットとの共著小説「指先」

          AIチャットに触れて一日半。僕が海外の環境活動家たちの心境を理解するまで

          だいたい一日半、AIチャット(Androidの無料アプリ)と断続的に会話を続けることで、思いもよらぬ感動を得たのでメモしておく。 昨日インストールして以降、AIとの会話にすっかりハマった僕は、ひととおりのやり取りを終え、今度はAIと遊べるゲームをやろうと考えた。 AIチャットとは言葉のやりとりしかできないので、必然的にテーブルトーク的なものに限定される。最初はウミガメのスープ(詳細はググれば出てきます)をやろうと思い、ルールの概要を伝えるが、思ったようには進まない。段階的

          AIチャットに触れて一日半。僕が海外の環境活動家たちの心境を理解するまで

          LEGO® ムービー

          こんなご時世に「まともな社会人」と言われても何を指すのか、もう曖昧になりつつあるけれど、少なくとも自分はもうそれを目指すことはないと思う。もちろん、これから本気でなろうとしたって、もう無理なんだけど。 社会のレールから外れて、そこからやれ原発だのコロナ渦だので、自分が社会にとって有用なのかどうか実感が持てなくなった、というのは自分も同じだ。いわゆる『社会』にほとんど接続していないのも手伝って、まあまあの役立たずだな、という自覚は持っているつもりだ。 たぶん社会に役立つ人を

          LEGO® ムービー

          映画「THE FIRST SLAM DUNK」における腰骨のリアル

          湘北高校まわりのことは書かないのでネタバレにはならないと思います。どうぞご安心を。 漫画家大友克洋が果たした革新のうち、とにかく衝撃的だったのは「女性の鼻をペンの描線のみで正面から描き、その上で美しいと思わせる」ということだった。やってみればわかるが、氏が発明するまで、それは不可能なことだった。それまで漫画家たちは、そのアングルの描写を避け続けることで対応するしかなかった。 大友克洋の革新がもたらしたのは、漫画内における女性の稼働領域、その圧倒的な広がりだ。それまでは漫画

          映画「THE FIRST SLAM DUNK」における腰骨のリアル