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河野高志プロの強者の打ち筋と勝負強さに魅せられて【Мトーナメント】

 強者の打ち筋と勝負強さに魅せられました。

 2023年6月22日(木)のМトーナメント2023の予選1stステージG卓。RMU・河野高志プロが総合1位で予選2ndステージに進出しました。

 2戦の総合ポイント上位2人が勝ち上がります。

 河野プロは第1試合で2位、第2試合ではトップを獲得。第2試合の南2局で攻めを貫き、押しきってあがった満貫が見事でした。

 河野プロは令昭位3回、十段戦3連覇、麻雀マスターズ連覇など数多くの実績を残しています。

 Мトーナメントでも3人のMリーガーに対して、RMU屈指の強豪としての力を発揮しました。

 予選1stステージG卓はTEAM雷電・黒沢咲プロ、KADOKAWAサクラナイツ・渋川難波プロ、セガサミーフェニックス・茅森早香プロ、RMU・河野高志プロが対戦しました。

 第1試合の結果は渋川72.6、河野3.8、黒沢-21.7、茅森-54.7。

 渋川プロがチャンス手を確実にあがってトップを取り、河野プロは2位を確保しました。

 予選2ndステージ進出をめぐる争いは渋川プロが優位。河野プロと黒沢プロは2つ目の座を争い、ライバルより順位を上回らなければいけません。茅森プロは大きなトップが必要です。 

 第2試合は黒沢プロ、渋川プロ、茅森プロ、河野プロの並び順。

 河野プロは南1局にリーチ・ツモ・赤ドラ1・裏ドラ1の2000、4000をあがってトップ目に立ちました。

 裏ドラ1枚が効果的に乗り、満貫になりました。

 勝負どころとなったのは南2局。持ち点は西家・河野39900、北家・黒沢28100、東家・渋川22200、南家・茅森9800です。

 第1試合が4位でこの試合もラス目の茅森プロはオリなしの闘牌にならざるをえません。

 親番のなくなった黒沢プロも河野プロをまくるため、あがりに向かってきます。

 親の渋川プロは高打点の手が入れば、総合ポイントに余裕があるので攻めてきそうです。

 トップ目の河野プロにとって押し引きの難しい一局となりました。

 2着目の黒沢プロとは11800点差。高い打点力で知られる黒沢プロを突き放すため、河野プロはもう一発のあがりがほしいところです。けれども、放銃は避けたいです。

 攻めるのか、守るのか、河野プロの対応に注目していました。

 いち早く5巡目に「567」の三色の4筒・7筒待ちで聴牌したのは渋川プロです。

 渋川プロはピンフ・ドラ2・赤ドラ1の親満確定の手です。三色がつく高めの7筒であがれば、親の跳満になります。

 恐ろしい手の入った渋川プロは黙聴に構えました。

 河野プロはこの手に飛び込めば、これまでの「貯金」がなくなります。黒沢プロと茅森プロも放銃すれば「ジ・エンド」です。

 4筒・7筒はなんと山に7枚残っていました。

 渋川プロは9巡目に赤5筒を引き入れ、5筒と入れ替えました。

 渋川プロは高めの7筒をツモれば、ピンフ・三色・ツモ・ドラ2・赤ドラ2の8000オールです。どんどん打点が高くなっています。

 黒沢プロと茅森プロは有効牌を引けず、手が進みません。

 一方、河野プロは9巡目に追いつき、四萬・七萬待ちで聴牌しました。

 役もドラも赤ドラもない手です。けれでも、河野プロはリーチに踏みこみました。

 河野プロはここで加点して局を進めれば、2ndステージに勝ち上がれると判断したようです。

 現状では打点がないのにもかかわらず、リーチして手にふたをし、放銃のリスクを背負いながらもあがりに向かいました。

 解説を務めていたRMUの盟友・阿部孝則プロは守りに定評があります。「このリーチはやばい」と危険信号を出しました。

 それでも、押し引きがはっきりしていて、勝負どころで押すと決めたら徹底的に押す河野プロの胆力に、歴戦の猛者としての凄みを感じました。

 四萬・七萬は山に3枚残っていました。河野プロは待ち牌の枚数が「3対7」の不利な争いで、しかも相手は親です。

 けれども、麻雀はあがり牌の残り枚数で勝敗は決まりません。

 河野プロは一発で四萬をツモ。裏ドラが1枚乗り、リーチ・一発・ツモ・裏ドラ1の2000、4000です。

 河野プロはまたも裏ドラを1枚効果的に乗せ、満貫に仕上げました。

 南3局を迎え、持ち点は河野47900、黒沢26100、渋川18100、茅森7800になりました。河野プロは黒沢プロに21800点差をつけて安全圏に入り、そのまま逃げきって総合1位に輝きました。

 予選1stステージG卓の最終結果です。

 河野71.7、渋川52.8、黒沢-15.6、茅森-108.9

 河野プロはインタビューで「麻雀に巧い、下手はあるが強い、弱いはないと思う。身もふたもない言い方をすると『運ゲー』。勝敗を分けるのはエラー、ミス、裏目とメンタル」と述べています。

 しかし、第2試合の南2局で河野プロの決断したリーチの選択は「強い」としか言いようがありません。

 さらに、親の黙聴の超大物手をぎりぎりの綱渡りで阻止した勝負強さには感服です。

 河野プロの打ち回しを見ていて、勝負強さを誇り、押し引きのしっかりとした重厚な闘牌でたくさんのタイトルを獲得した故・飯田正人永世最高位を思い出しました。

 タイトル戦にめっぽう強い河野プロのМトーナメントでのさらなる活躍が楽しみです。

 

 

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