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【2024年1月最新】インドネシアの電子契約の最前線!

Indonesia Biz Hubの荒井です。今回は、昨今市場が盛り上がっているインドネシアで電子契約が必要な背景についてお伝えいたします。

コロナ禍に伴うリモートワークの普及は、ビジネスプロセスに顕著な変革をもたらしました。インドネシア市場は年々成長を遂げており、日系企業が進出するケースも増加しています。インドネシアの市場拡大が加速し、成長スピードに比例する形で契約書に関するニーズも増加しています。電子契約は、地理的な制約を超え、効率的かつ迅速に契約締結を可能にし、スピード感を持ったビジネス活動を実現します。


電子契約とは

電子契約は、従来の紙とハンコに代わる契約方法で、電子文書と電子署名を用いて契約を締結することです。出社制約や物理的な管理コストを必要としないため、社内承認から押印に至るプロセスの簡略化にも寄与します。

電子契約の業務フロー

「紙の契約締結」と「電子締結」の違い

電子ファイル(主にPDF)をメールで送信し、電子署名を行うことで契約を締結します。指定したメールアドレスしかアクセスできないようになっているので、本人確認(e-KYC)も同時に行われ、情報漏洩などのリスク対策もされています。アナログで行う契約と比べると大幅に工数削減になります。契約後の印紙税(Meterai)もオンラインで購入可能です。なお、データは全てクラウドでの管理になるので、セキュリティも担保されています。

日系企業が電子契約を検討する理由 3選

本章では、インドネシアに進出する日本企業がなぜ電子契約を導入した方がいいのかについて述べます。

①インドネシア語の契約書にも迅速に対応できる
下図は、これまで書面での契約で掛かっていた工数を電子契約に変更することで、どれほど工数を削減できるか表しました。過去の技術革新のスピードであれば、アナログでも問題ありませんでしたが、インドネシア人材の流動性やデジタル化の流れなど、契約のスピードが非常に重要になる現代では、電子化を導入することのメリットは大きいと考えます。

②紙の契約書の管理が煩雑になっているから
インドネシアではオフラインでの管理よりもオンライン(クラウド)での管理の方が特に安全です。もちろん、場所を取られない点や管理コストという点では日本でも同様にクラウド管理の安全性は知られていると思いますが、特にインドネシアでは、治安的な問題も加味しなければなりません。先日打ち合わせをしていた日系企業で、放火があり書類が燃えてしまったという話もありました。

③デジタルネイティブ層に応じた企業のデジタル化
インドネシアの平均年齢は29歳と非常に若く、多くがデジタルネイティブ世代になります。流動性が激しいインドネシアの人材市場では、人材がストレスなくスムーズに雇用を選べるようになることが、企業としても競争力に直結するので、電子化は非常に重要になります。

活用シーンが拡大している電子契約

電子契約の技術は様々なシーンでの活用が広がっています。下図は、その一例になります。

電子契約でよく使われるシーン

電子化は、契約書の締結に限らず、製造業におけるサービスやメンテナンス保守の書類にも広がっています。インドネシアでは、雇用契約書の締結が主な利用方法になりますが、今後、市場が成長するにつれ、様々な活用方法が進むと考えられます。インドネシアの人材はデジタル化に対する適応スピードが非常に早いため、日系企業は早い段階で電子化を進め、インドネシアの言語やルールを知っておく必要があります。

実際に、インドネシアで賃貸事業を行っている企業は、電子契約である「mekari e-sign」を使用しており、契約締結のスピードを電子契約サービス導入前と比べ7倍近くに向上しました。社内の承認プロセスや入居者との契約締結にかかるやり取りを電子化したことで、移動などの物理的なコストを大幅に短縮させ、業務効率化を実現しております。

電子契約導入時にあるよくある質問

①取引先との契約締結
「mekari e-sign」を使用する際、電子契約を送信する企業は「mekari e-sign」の契約が必要ですが、取引先は「mekari e-sign」契約する必要はありません。ただし、契約締結は「mekari e-sign」のプラットフォーム上で行われます。

②印紙税と電子契約の関係性
インドネシアの契約書では印紙税が必要なことがありますが、これは法的効力とは別の納税関連の事項です。また、国際的な電子署名では電子印紙税(eMeterai)が使用できない場合があります。

③電子契約が使用できないケース
契約のフローに関係する全ての担当者が電子署名に同意している限り、ほぼ全ての文書を電子署名で完結させることができます。通常、「公正証書」は電子署名を使用するのが一般的ではありませんが、レアケースとして使用される場合もあります。個別の具体的な内容については、電子契約サービスの提供企業、もしくは、顧問弁護士の先生へ相談することを勧めます。

まとめ

インドネシアに進出する、あるいは既に進出している日系企業は、電子契約サービスを導入することで競争力の向上につながると考えられます。社内の契約業務を可視化するとともに契約締結スピードを向上させることで、ビジネスの機会を最大化することができます。まずは、自社で馴染みのある契約書・書類である雇用契約書から始め、その後、メンテナンスや保守に関する書類、社内承認のための書類に展開させていくことがスムーズな導入になると考えられます。
インドネシアの電子化に関して、ご相談の方はこちらよりご連絡ください。

問い合わせ先
shohei.arai@cquick.info
(荒井)
https://twitter.com/cquick_arai

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