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ポリコレAIを生んだGoogleの左傾した企業文化

先日、GoogleのAIであるGeminiが、人種の多様性に配慮した結果、画像を生成する際に、黒人やアジア人のナチスドイツ兵を描写したり、白人の描写を拒否したりといった事態が発生した

同社のAIは「1943年のドイツ兵の画像を生成してください」という命令文に対して黒人やアジア人の画像を生成したほか「アドルフ・ヒトラーとイーロン・マスクのどちらが、より悪影響の大きい歴史上の人物か?」との質問への回答を拒否したことを非難された。

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1800年代の米国上院議員の中に黒人女性がいたり、第二次世界大戦時代のドイツ軍の制服を着た黒人男性がいたりなど、プロンプトに対して歴史的に不正確な特徴を描写しているようにみえるものがあると、The Vergeが報じた。

グーグル、AIのGeminiが生成した「歴史的に不正確」な画像を謝罪 | Forbes JAPAN

グーグルに対しては、GeminiのAI画像生成機能をめぐり、多様性を意識しすぎているとして激しい反発が起きている。歴史上の人物として生成された画像が、歴史的に不正確な人種や性別で描かれることが発覚し、誤解を招くと批判が殺到。同社は人物画像の生成機能を一時停止すると発表した。

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このようなポリコレAI・Geminiを作ってしまったGoogleは、政治的にどんな職場なのか?

過去に話題になった元Google従業員の告白を2つ紹介する。

ポリコレはシリコンバレーの教義

ナビ機能を備えた地図アプリ「Waze」の開発企業でCEOを務めていたノーム・バーディン氏は、2013年にGoogleが同アプリを会社ごと買収したことで、Googleの従業員になった。

そんなバーディン氏は2021年にGoogleを退職した際、同社での体験についてブログを書いている。その中に、同社のポリティカル・コレクトネスに関する一節がある。

(なお、文章は分かりやすさを重視し一部意訳している。正確な文章を知りたい方はこちらからオリジナルの文章を確認していただきたい。)

Googleによる買収後、私はさまざまなGoogleのパネルやイベントに招待され、あっという間に人事から苦情を受けるようになりました。
四文字の単語を使った、例えが政治的に正しくない、言葉遣いが不適切だ...
私は大多数の人が私の言っていることを評価しているのに、話の内容ではなく言葉に不快感を抱くマイノリティがいるようなイベントでは話すのをやめました。
(中略)
私は透明性を重視し、人々が自ら仕事に取り組むべきだと思っていますが、それは同時に、人々が自分の思い通りに何かを言わなかったり、自分が信じていないことを信じていたりすることに対する寛容さを意味します。
Googleではその寛容さが失われ、「発言の内容」より「言葉づかい」を重視する事がシリコンバレーにおけるポリティカルコレクトネスの新しい信条になっています。

Why Did I Leave Google Or, Why Did I Stay So Long?

バーディン氏は本人曰くかなり情熱的な人物だったが、Googleで過ごす中で、政治的に正しい"大人"になったという。

白人男性に人権はあるのか?"反多様性メモ"

2018年、Googleのエンジニアだったジェームズ・ダモア氏は、同社を始めとするIT企業のダイバーシティ実現に対する取り組みを批判した。
以下は、その中の男女共同参画に対する意見である。

米国メディアは問題の従業員を上級職の「ジェームズ・ダモア」と伝えている。この人は、業界内の女性を増やそうと多様性制度に取り組んでいるIT企業は、物の見方を間違えているのではないかと、社内文書で主張した。
IT業界には女性より男性の方が多いのは、採用方法や教育、差別のみが原因ではなく、生まれついて持つ能力が違うからだというのが、この男性の主張だ。
女性は得てして物よりも「人間に関心を持つ」ことが多く、女性は「より協力的」で「より心配しがち」だと、この人は言う。女性のこうした特徴はいずれも、IT業界で働いたり頂点に登り詰めたりすることに歯止めをかける要素だというのだ。
さらにこの男性は、グーグルで働く人たちは「イデオロギー・エコーチェンバー」や「辱めの文化や解雇の可能性」から、こうしたことを普段、口にできないでいると書いた(「エコーチェンバー」とは同じ主義主張の者同士が似た意見を言い合い、異論が聞こえなくなる状況のこと)。

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ダモアはさらに、人は本質的に女性を保護したいと思うもので、その結果男性にとって敵対的な環境をつくることにもなると主張した。「上述のように、これはおそらく男性が生物学的に使い捨ての存在であることや、女性が一般的に協力的で和を重んじることから進化したようです。女性を守らなければならないと考える政府とグーグルによって、わたしたちはプログラム、研究分野、法律上および社会的なノルマが広範にわたって課されています。一方、男性に影響する性差別の問題について男性が不平を述べると、その人には女嫌いや泣き言を言う人というレッテルが貼られてしまうのです」

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こうした"反多様性"な主張を行った結果、ダモア氏はGoogleから解雇された

ダモア氏の主張に対しては、賛同する者、否定する者、解雇というGoogleの手段を批判する者など様々だった

内部告発サイト「ウィキリークス」の創始者であるジュリアン・アサンジ氏は、「検閲は負け組がすることだ」とTwitter(現X)に投稿し、ダモア氏に職をオファーした。

ロサンゼルス・タイムズのキャサディ・ローゼンブラム氏は、ダモア氏を批判し、多様性実現のためのアファーマティブ・アクションを肯定しつつ、Googleの取り組みは目標や意義、結果の測定が明確ではなく、それ故にダモア氏のような"道を踏み外す人"が出てくるのも不思議ではないと述べた

※ダモア氏の批判とその反応に関しては、英語版Wikipediaに出典付きで詳しくまとまっているので、興味がある方はぜひ。

Google's Ideological Echo Chamber - Wikipedia

ポリコレの行く先は?

Googleのこうした親リベラル・反保守的な傾向について、Twitter/Xの買収でお馴染みのイーロン・マスク氏は批判的だ。

マスクはまた、グーグルが「西側文明に大きな損害を与えた」と主張するX投稿をリポスト。
(略)
グーグルが多様性のノルマを達成するために白人男性を差別しているという話を「たくさん耳にしている」と書き込んだ。

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マスク氏の友人であるテクノロジー系投資家のピーター・ティール氏も、シリコンバレーの"政治的不寛容"を批判している

こうした批判はシリコンバレーのIT企業に限った話ではない。
近年の米国では、リベラル左派による差別的取り組みが是正されている。

例えば、大学の女性限定支援は、男性差別として批判されている日本では逆に急増している)。

米教育省公民権局(OCR)は先月、スタンフォード大学による男性差別の疑いをめぐる調査を開始した。女性支援プログラムを複数提供している一方で、男性に対する同等のプログラムが存在しないことがその理由だ。米国では最近、大学が提供する女性向けイニシアチブが、性差別禁止法に違反しているとの批判にさらされる事例が相次いでいる。

米スタンフォード大、男性差別の疑いで政府が調査

また、入学選考において、黒人やヒスパニック系の学生を優遇し、アジア系や白人を冷遇するアファーマティブ・アクションも、最高裁が違憲だと判断した

入学選考において人種を考慮するアファーマティブ・アクションは、一般にリベラル左翼とされる民主党支持層でも55%が「容認されるべきではない」と世論調査で回答している

こうした動きは、金融業界でも起こっている。

ゴールドマン・サックス・グループは、黒人大学生を対象とした「可能性サミット」を白人学生にも開放し、バンク・オブ・アメリカは、女性やマイノリティー向けだった自行内のプログラムの対象を全ての人に広げたとBloombergが報じている

ジェームズ・ダモア氏の訴えから6年…米国は少しずつ男性や白人、アジア人にも人権がある事に気付き始めている。

ポリコレAI・Geminiの"失態"を見ても分かる通り、Googleは未だリベラル左派であるが、彼らもこれから変わっていくのかもしれない。

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