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年の瀬に 心に浮かぶ 神社仏閣

軽井沢 石の教会

 軽井沢にある「石の教会」をご存知だろうか。私は先日のテレビ番組を観て初めて知った。ドローンに搭載したカメラが捉えた外観は、西から東に徐々に膨らみを増しており、全体としては前方後円墳を彷彿させる。テレビカメラの動きに応じて、地上から地下に続くエントランを進みドアを開けて内部へと見て行くうちに、自分が古墳の石室に誘われているような不思議な感覚に襲われた。

 宗教の別を問わず教会やお寺を尋ねると、神聖さで無くとも何らかの感慨を抱くことが多い。毎年秋に義父母の供養のために訪れる萬福寺でも色々な思いが浮かんでくる。萬福寺は明の高僧隠元が江戸時代初期に日本に来て建立した寺で、当時の伽藍がそのまま残っている。古色蒼然とした山門や法堂を見ていると、歴史の重みがひしひしと伝わってくる。また、隠元と共に来日した仏師が彫った中国風とも言うべき一風変わった羅漢像からは、日中の仏教文化の違いが感じられる。

 今秋は、年の初めに亡くなった母が信者だったこともあって、萬福寺参拝の後に奈良県の天理市を訪れた。近鉄天理駅から天理教の教会本部(神殿)の前まで、約1キロに渡って神具店、お土産屋、飲食店が並ぶ商店街は裏寂しい雰囲気が漂っていた。かつては門前市をなして賑わっていたであろう商店街が、今では半数近い店がシャッターを降ろして、行き交う人もまばらであった。後で調べたところによると、昭和初頭に500万人を超えた信徒が今では100万人を切っているとのことである。天理教は、神道、仏教、キリスト教に比べて歴史が短く、それだけに我々の目にに盛衰が顕著に映るのだろう。1000年、2000年の歴史がある宗教も幾度かの盛衰を経て今の姿になっているに違いない。

 ひょんなことから3つの宗教の施設やその周辺の話になったが、他にも高野山奥之院、東京カテドラル、伊勢神宮内宮等々、神社仏閣について話し出したらきりがないので、今回はこの辺にしておこう。

(2023.12.30)

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