『君が手にするはずだった黄金について』
やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、読んだ本の紹介をします。
小川哲著 『君が手にするはずだった黄金について』 (新潮社、2023)
あらすじ
本書の主人公。
プロローグでは、就職活動でESが書けない大学院生だ。
本作品は「僕は」 「僕の」 「僕が」というように、
一人称で語られる言葉が多い。
この主人公の見る世界(終始、主観的視点で描かれる)が語られていく。
章が進むごとに、中学や高校の同級生、そこで知り合う人々の日常、考え方、性格が描かれている。
周りが嫌なやつだと認定する人を、僕は擁護しながら、別の人を嫌なやつだと思う。
肯定しながら、批判する主人公の最後はどうなるのか。
感想
本書は、読む人を選ぶ作品だというのが最初の感想。
文章自体は読みやすいのだけれど、主人公がいわゆる「屁理屈」なタイプだ。
それ以外にも、本書に出てくる登場人物は、承認欲求の表れだと表現されていることがある(私調べ)
あいつを批判出来るのか?
新しい人物が出てくる度に、主人公視点で批判と肯定が繰り返されていく。
主人公の名前が、「小川」と名付けられている(著者の名前は「小川哲」)
小説というより、エッセイでも良かったのではないかと思った。
それというのも……
こういう、主観的思考と客観的思考を繰り返しているように思うことが、人を選びそうな本だと思う理由だ。
誰も気にしないようなことを深く考えていたら、自分こそが危険な場所に立っていた。
人を選びそうだとか、エッセイにすれば良かったんじゃないかと考えている時点で、私はこの好きになれない主人公の考え方に似ているのだ。
気付くと考えていて、それはどうでも良いことだったりする。
(こんなにフットワークは軽くない)
嫌悪感を抱くようなところは、まるで鏡を見ているようだ。
本書を面白いのかと問われたら、面白い。
けれども、面白くないかと問われたら、そうかもしれない。
長い独り言のような印象も受けるからだ。
それでは、読んで良かったかと問われたらどうか。
読んで良かった。
小説家を含め、何かを作り出す人の頭の中は分からない。
壮大な世界を描く人もいるし、エッセイ、フィクション、ノンフィクションなど様々なジャンルに分けられ、頭の外に出される世界。
日常生活から無意識にネタを探すのだろうか、意識的だろうか。
頭の中という宇宙であり、深淵を覗くような気持ちになる。
そうであるなら、注意する必要が出てくる。
承認欲求はともかく、主観的思考と客観的思考を行き交うところも面白い。
他者を笑いながら、自分自身のことを笑い飛ばす。
そういう皮肉な要素が面白い。
EMINEM(アメリカのラッパー)が、架空のキャラクターを作り出していたことを思い出した。
架空のキャラクターであり、自分自身を投影させているところが似ている。
拗らせていると思いながら、同時にお前は十分であると言えるほどに成長しているのかと問うような感覚。
おすすめです。
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