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ドラマ「私のトナカイちゃん」を読んで考えたこと

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、ドラマ「私のトナカイちゃん」を読んで考えたことを書きます。

はじめに書いておきたいのは、私はこのドラマをおすすめしたいから記事を書いたのではないこと。
学びになったので、これを見て考えたことを書く。





登場人物

ドニー・ダン 
売れないコメディアン。普段はバーで働きながらコンテストに出る。
ストーキングの被害者。
過去に性的被害に遭っている。

マーサ
ドニーをストーキングした人物。
元弁護士であり、過去に犯罪歴あり。

ざっくり内容

警察に男性が出頭するシーンから始まる。
女性に付きまとわれていて、迷惑であることを伝える。
スマホに残っている大量の留守番電話や、メールを見せるが、
直接的な脅しや、被害に遭っていないかぎり対応が難しいと言われてしまう。

いつからですか?
…6ヶ月ほど前から。
6ヶ月?

こんな質問をされ、なぜ今まで黙っていたのか、何をされたのか、
彼が何を考えていたのか。
ドラマのほとんどは、彼の回想となる。

※以下、ネタバレありで書きます。










感想

こんなに落ち込むストーリーは、今まであったかと記憶を探したくらい、
色々削られる物語だった。
これは実話をもとに作られたドラマだ。
実話だと何度も忘れたし、忘れたくなる。
いくつかエピソードの最後に、「つらい時にはこちらに連絡を」というような文言と、サイトのリンクが記されている。
それで、このドラマが実話なのだと思い出す。


最初のシーンから、主人公男性(ダニー)に違和感を覚えた。
半年も嫌がらせに遭っていながら、「ストーカー」被害をなかなか口に出さない。
言いにくいというよりも、その言葉を言わないように彼自身が自分にストップをかけているような印象を受けた。

コメディアンを夢見て、スコットランドから、競争地まで足を運んだドニー。
コメディアンとしてはまったく売れていない。
パブで働く同僚にからかわれ、友達らしい存在もストーリー内に出てこない。
仲間になるはずの彼女や、彼女の親、ダニー自身の両親にさえ、彼はいつも
どこか距離を置いている。
彼は、孤独だ。
いや、過去にあったトラウマから、意図的に人を遠ざけてしまっているのかもしれない。
被害経験は、恋愛関係だけでなく、様々な人間関係や嗜好に影響し、それを払拭するのは困難を極めてしまう。

ドニーの生活が変わるのは、マーサがパブに来てからだ。
弁護士だが、お金がないという彼女に、ダニーが紅茶を1杯おごることから始まる。

彼女はストーカーの加害者でありながら、同時に誰よりも彼を称賛する。
ダニーは被害者でありながら、マーサを断ち切れない。
警察が介入し始めてからは、1日に100ほど一方的に彼女から届くメールの確認が出来なくなる。
途端に彼は、不安に陥る。

ダニーとマーサの共通点は、彼らが過去に性的な、あるいは何かしらの被害者であることだ。
犯罪行為も称賛や好意を求めるために、中毒性を持つものであるかのように、完全に断ち切れない。

ダニーは、マーサが逮捕された後、残されたたくさんの留守番電話を、
スマホで音楽を聴くように聞く。

ダニー(コメディアン)が笑わそうとすると、周りは暗くなる。
周りが(ダニーをネタにして)笑うと、ダニーは暗くなる。

ダニーが夜道を歩くシーンで、THE BEE GEESの "I STARTED A JOKE"が使われている。
以前、質問されたから知っていた曲だが、どういう意味なのかよく分からなかったので覚えていた曲だ。
このストーリーに、ピッタリ過ぎる曲でやっと理解が出来た気がした。

どういう時なのかを自分でも思い出せないけれど、
ダニーが寒くて暗い夜道を1人で歩くこのシーンは、音楽との相乗効果で、どうしようもないほど悲しい気持ちになった。

承認欲求の爆発や、自己肯定感には適切な対応と治療が必要だ。
それを恥じる必要もないし、隠してしまうことの方が問題となることもある。
しかし、簡単に言葉に出来ないのが現実なのかもしれない。
つらければつらいほど、心の底まで傷ついている時ほど、言葉にするのは難しかったりもする。

承認欲求爆発の先の恐怖と、誰もがなり得そうな切なさに、心底深淵に引きずられる。
ストーリーとしての面白さはないけど、学びになるドラマでした。
1エピソード30分、全7話で完結しているのも見やすくて良い。

正直、ダニーの被害シーンは何度も目を背けた。
音だけ極小で流して、見るに堪えなかった。
よって、私は本作品をおすすめしない。
気持ちが、悪い方向に揺さぶられるのは、このシーンだけではない。
しかし学びになるし、自分への問いかけにもなる。

良いドラマでした。




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