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2-10 再び

ミクとルカが入店してから
お店には少し活気が戻り
徐々に勢いに乗った

俺は
面接に来た子達の殆どの子達を入店へと繋げられたのだ

📍サロというのは今も昔も
新人の子が入店すると来店数に勢いがついてくる

我がB店は少しずつ活気を取り戻していった

そしてD店新OPENを無事に迎えられた

A店で戦力外通告を受けてB店に来て

1年数カ月

とても時間はかかったが
はじめて100%人に頼ろうとせず
自分でも何とかしようと動けた
この仕事ではそれが初めてだった

これからもっとお店を活気づけられるように
頑張ろう

そう思いながら店閉め作業をしていると
「K、ちょっといい?」と店長のK太さんに呼ばれた

なんだろう

と思い呼ばれた方へ向かう
K太さんは何か少し困った顔をしている

なんだろう…何かトラブルだろうか

少し沈黙があったが少しするとK太さんが口を開いた

「K、明日からA店に戻ってくれ」

何を言っているのか瞬時に理解はできなかったが
自分なりに頭の中を整理する

『理由を聞いてもいいですか?』と聞くと

「今A店は下の人間が育ってないしキャストの入店も少なくて困ってるらしい。そこでKが加わることで立て直しを図りたいと言われたんだ」

俺はA店に良い思い出はひとつもないし戻りたいなんて一度も思ったことはなかった

『この人事は決定ですか?』

「K、決定だ。すまない。あんなに頑張ってくれたのに俺の力不足だ」

これ以上はK太さんを困らせてはいけないと悟った。

切り替えるしかない

A店には俺がすごく怒られたNAさんがいるが
B店に来てずっとお世話になったM瀬さんもいる

俺も怒られてばかりだったあの頃と違うから
ネガティブな気持ちが100%ではなかったが

気持ちは複雑なままだった

そこから30分くらいだろうか
K太さんと話した後に

おれは承諾しA店へ挨拶をしにいった

すると現在NAさんの下でNo.2で
事実上現場トップであるK崎さんがいた

顔と噂は知っていたが話のは初めてだった

「はじめまして、Kと申します。明日からお世話になります」
と伝えると

「噂は聞いていますよ、明日からよろしくお願いします」

後に長い付き合いになるK崎さん、大切な事を色々教えてくれるK崎さん
自分の力ではどうにもならない時に絶対に助けてくれるK崎さん
人を疑うことを知らない俺に人間の汚い部分を見せてくれたK崎さん

でもこの時はすごい不気味な人だなという印象でしかなかった
顔は笑っているが、目は笑っていない

まるで心の中を覗かれているようなその目は
今まで出会ったことがない人種であることは間違いなかった

明日から毎日毎日毎日怒られ罵倒された記憶しかないA店に戻るのか

再び…

でも不思議と心の中は少しワクワクしていた
今はもう知らないメンバーが殆どだけど

俺はこの1年数カ月で
自分のブランドはつくれていただろうか?

A店に比べると規模も客数も半分くらいのB店だったが
A店にいたら学べないことをいっぱい学べた、経験した

楽しい環境は先に用意されているものじゃない
自分で創るんだ

それを身体に経験値として蓄積させてくれた
Y石さんとK太さんには感謝しかない

恐れよりも自分を試したい気持ちの方が上回っていた



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