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障害がある人とない人の接点づくり|接点ができたらありのままのわたしでいられたエピソード

先日、松本で開催されている「対話アートNagano WEEK 2023」内の「ナナイロ会議」に出席しました。
地元高校生が考える多様性についての発表があったり、みんなで「障害を持つ人とそうでない人の接点を作るイベント」を意見を出し合って考えたり(いわゆるシンポジウムみたいなものですね)。

今までに障害者と接点を持ったことがない人は、全体の約52%。
日本の半分もの人が、障害を持った人と関わったことがないというのです。

障害理解とか、障害を持つ人がしていきたい「健常者理解」も、何か接点がなければ始まりません。
論文を読んだり、勉強したりはできるかもしれないけど、実際障害を持つ人がこう思ってて、こんなことで困っていて、というのは、接してみて初めて気づくこともあるからです。
これは逆の立場も然り。

実際にナナイロ会議に参加して思ったのは、「接点を作るってこと自体がすごく難しい!」っていうことです。
何か機会がないと接点はできないから、機会を作らなきゃいけないけど、その機会をどう作る?っていう部分がすごく難しい。
障害を持つ人に合わせた生活は、健常の人には物足りなかったり、健常の人に合わせた生活は障害を持つ人には物理的に難しかったりするからです。

各班に分かれて意見を出し合って、発表をしましたが、多かったのはやっぱりアートとか、ミュージカルとか映画とか、芸術・カルチャー系でした。
健常の人、障害を持つ人が集う会議でそういう結果になったということは、芸術は人の垣根を越えるということがあながち間違いじゃないのかもしれないなあ、と思ったし、芸術は文化で文化は柔軟性があるから、いくらでも形を変えられるし、接点を持つっていう点ではこれからも良いツールになっていくんじゃないかな、と思いました。

接点ができたら、ありのままの自分でいられた



みんなが同じ地面で手を繋いでいるところ

昨日は対話アート内のイベント「ちいさなマルシェ」に参加。
障害がある人ない人がみんなで混ざり合って、オープンアトリエでアートを楽しんだり、障害のある人ない人みんなが「作ったもの」を売ったりします。
私はスタンプとブローチ、それからポストカードを売りました。
それも一種の「障害を持つ人とそうでない人の接点作りの場」です。

今まで私は、「みんなから見える私は大人の私でなくちゃ!」「ちゃんとお客さんと向き合わなくちゃ!」とどこかでスイッチが入って、大人の「わたし」が作品を売っていました。
でも昨日は、背伸びしないで、もっともっとありのまま、素の自分で自分の作品を売ったらいいよ!と自分の中の自分が語りかけてきました。
そして、「みきちゃん」スイッチ(解離性症状で無意識に3歳の子どもに戻ることがあります)が入り、昨日は1日「みきちゃん」が店番をしていました。

すると、自分の作品について聞かれた時、自分の裸の言葉で作品の説明をできるようになりました。
「これはねえ、みんなで手を繋いでるところなの。地面にみんなで立ってて、空にも海にもいなくて、みんなで同じところに立ってるの。」とか「これは、ぐるぐるのくらい気持ちなんだよ。色はグレーみたいな青みたいな、くらい気持ちなの」とか。
すると、今までにないくらいに作品が売れたんです。
その場で書き上げた絵を買いたいと言ってくれる人もいました。

こういう現象が起きたのは、元々アートに関心がある人が集まっているんだけど、それだけではないような気がします。
「この人が丸裸の気持ちをそのまま作品にのせている」ってことが、ちゃんと伝わった瞬間だったと思っています。
いつもは障害を隠して(車椅子に乗るから隠しきれない部分もあるけど)、「おとなのわたし」がお客さんを迎えて、これはこうですって説明してたけど、大事なことってそういうことじゃない。
こころをのせて作った作品を、「作ったこころの持ち主」が新しい持ち主へ手渡すことが大事なんだと思います。

個でできる接点づくりをするために

そんなふうに障害を持つ人とそうでない人の接点を作る場で、たくさんの人のもとにわたしの作品が渡りました。
これで1%にも満たないかもしれないけど、確かに障害を持つ人と接する障害を持たない人は増えました。

今わたしがやりたいのは、職場でレジをやること。
そしたら自分もみんなをウェルカムできて、障害を持つ人とそうでない人の接点を作ることができるからです。
中には関心がないとかじゃなくて、「障害者と敢えて接点を持たない人」もいるかもしれないので、レジはちゃんと選べるようになってるんだけど、少しでも多くの人が「あ、なんかこの取り組み面白い!」って思って、障害を持つわたしと関わってくれたらいいのにな〜と思っています。
それはレジじゃなくても、何かの形でウェルカムできたらいいんだけど、「接点を作る」というのは柔軟性のある文化を変えていくのにとても大事なことなんだ!って今回の会議で学ぶことができたので、自分も個の形で、そして周りを巻き込みながら楽しく接点作りができたらいいなあ〜と夢見ています。


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