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教員不足の根本的な問題について。

教員が確保できず授業ができないという問題が昨今多くなってきています。

たしかに教員の仕事はブラックで精神疾患の離職者が過去最多など、過酷な現場であり、採用試験の受験者数も減ってきているのは確かです。
ただ、教員不足の問題はそれらの要素は多少関係あれど大きな原因ではないと考えています。

ここでは、自分なりの今の考えをまとめておき、何年かしてからどうだったかなと見返そうかなと思います。


足りていないのは臨時教員

教員不足の記事をよく読んでみると足りていないのは、臨時の教員で、正教員は足りているようです。では、教員不足の問題を考えていくには「臨時の教員がなぜ確保できないのか」について考える必要があります。

それを考える前に、「臨時教員」とは何かについて知って置かなければなりません。

臨時教員ってなんなの?

臨時の教員といっても、常に学校にいて正教員と仕事の内容が変わらない「常勤講師」と、授業だけして後は帰ってもいい「非常勤講師」という2種類の臨時教員がいます。

担任や部活などを受け持つのは「常勤講師」という臨時教員で、正教員よりも給料が安いが仕事内容が変わらないという仕事で、こちらは何年か勤務すれば教員採用試験のいくつかが免除されるというメリットがあります。社会保険に入り、年収が300万円前後だと思われます。

また、授業だけ来ていただければ帰ってもいい(授業の時間だけが給料にカウントされそれ以外の仕事に給料が発生しない)のが「非常勤講師」です。こちらは何年勤務しても何のメリットもないです。(あるところもあると思います。)社会保険などなく、国民健康保険に自分で入り、年金も国民年金に自分で払う必要があります。年収は1週間の授業時間によってかわりますが、大体80~150万の間です。その代わり副業が認められています。(認められているというか認めないと生きていけない)

常勤、非常勤はどうやって決まるの?

勤務形態については希望を書くところがありますが、基本的には県の教育委員会が決めます。採用試験の成績順だと思われ、成績が低かったり、希望があったりすると非常勤のままという感じです。

また、非常勤の場合、何時間勤務したいという要望は通せず足りないところの足りない時間を担当し、複数校兼務することもあります。1年よばれて勤務してみたものの年収80万ぐらいしかないということもよくあります。最近は交通費が支給されるようになりましたが、その分時間単位の給料が下がったので、よっぽど遠方に行かない限りはほぼ給料はかわりません。また兼務している学校から学校への移動に交通費が支給されないといった問題もあります。

何年ぐらい臨時でいるの?

何年ぐらい臨時でいるかについては、その人次第といいたいところですが、実際は教育委員会次第でしょう。

例えば、ある年は全体的に成績が良かったけれど、ある年は全体的に成績が低かったときがあっても、採用人数は多少の変更はあれど臨機応変に変更されません。また、大量の採用者が出た場合、何年時研修などのときに急に人数が増えて、逆に学校の人が減り困ることも確かです。いろんな思惑があり、それらを考慮した採用人数であるので、やはり教育委員会次第ですね。

優秀な人は1回目で合格したりしますが、何十回も受けて合格しないといった人もいます。そういう人はずっと臨時で働くわけです。正教員と同じ仕事をするけど給料が低いまま。

教員の質の確保?受かってないけど結局正教員と同じ仕事をするなら確保できてなくない?採用試験とは給料が高くなるぐらいのメリットしかないのでは?

臨時教員はなぜ確保できなくなったの?

臨時教員についての知識が増えたところで、なぜ人数を確保できなくなってきたか考えていきましょう。

臨時教員を続けられる人ってどんな人?

臨時教員というのは、仕事の内容が正教員と変わらないけれど給料が安い人と、圧倒的に給料が安い人です。

その人達はご飯を食べなくても生きていけるのですか?いえ、生きていけません。

したがって、非常勤で働ける人は親との関係が良好で実家に暮らしている人、常勤であれば多少のお金があるので一人暮らしできますが圧倒的に時間がないので、独身か、結婚していても子供がいない、子供がいる場合は片方が別の仕事か専業主婦(夫)でよっぽどお金の管理がきっちりしている人という条件が付きます。

そういう状況で生きている中、何年も受かるかわからない採用試験を受け続ける人が果たしてどれぐらいいるでしょうか。

試験勉強だけしている自由人が消滅した

まだ、常勤、非常勤など臨時で働いているのであれば多少ましだと思いますが、臨時教員で働けるかは教育委員会が決めます。

つまり、採用試験を受けたけれど臨時でよばれない人がたくさんいるわけです。そして、臨時の連絡というのは3月の末のほとんど4月ぐらいという日にくるわけです。

9月には不合格がわかりそれから4月まで仕事をせずに待機していますか?

以前であれば採用試験を受けているというだけである種のステータスという感じで、たとえ10年受かっていなくても「頑張っているんだな」という世間の目や家族の目があったでしょう。

しかし、この30年近い経済成長の無さから家族にも世間にも余裕がないです。

家族からは無駄飯ぐらいと言われ、世間からは引きこもりニートと言われと精神的にキツイものがあります。

また、親との関係が良好でない、大人1人分の食費も確保するのが難しい、といった家庭も増えてきてるでしょう。

そんな中、果たして満足に試験勉強だけをできるでしょうか。できません。

そこで、どこかに就職あるいはバイトという形になるでしょうが、臨時の連絡は4月ごろにくるわけです。

「もう働いているので無理です。」
と答えるしかないでしょう。

根本的な問題はなに?

教員は若い引きこもりが支えていた

3月末に連絡してすぐに臨時教員の返事ができる人、あるいは病休や育休、産休になって足りなくなったところにすぐに連絡して確保できるかと言われると普通に考えてできないです。

試験勉強だけをしている若い引きこもりか、退職して暇を持て余している元教員の2択だけです。

若い引きこもりは消滅し、元教員は退職せずに再任用で採用されるので空いていないというのが今の状況です。

引きこもりを許容できないほどの貧困化

日本は、ここ30年ほど経済成長をしていません。それのも関わらず払うお金は増えるばかりです。

国民年金だけ見ても一目瞭然です。

若者の今の年金の支払い額は年間192,800円です。岸田総理が20歳だった46年前は年間26,400円でした。

家族(親子3人)で住んでいる場合、支払額は国民年金だけで約60万円毎年かかるわけです。岸田総理が20歳だった46年前は年間約8万円です。

これは働かなくてもかかるお金で、働いているとさらに厚生年金がかかります。(国民年金については免除制度があるので、活用できる人は活用しましょう。全額免除でも半額の年間397,500円を受け取れます。)

もう働かずに勉強だけしていても許される社会ではないのです。

教員不足解消の方法は?

殿様商売の学校からの脱却

まずは、声を掛ければ働いてくれる人がいるという前提をやめましょう。

給料を払わずして何年もスタンバイしていてくれる引きこもりは消滅したのです。ならば、給料を払って確保しておけば全てが解決します。普通の会社はそうしています。幸いにして採用試験を受けに来てくれる人はいるわけなので、全員確保してしまえば済む話です。

「では、どこに?」という疑問が出ますが、幸いにして学校は、現在人が足りていません。足りていないところにどんどん配置していけばいいでしょう。
「溢れる?」その場合は、複数人の教員で1つの授業に入れば済む話です。

学校側で解決できない問題は、職員室の狭さと仕事用パソコンの不足です。「vistaのノートパソコンにWindows10を入れるんじゃない。今だったらせめて8世代CPUのパソコンを使えるようにしてくれ。」

国にできることはお金を出すこと

国ができることはお金を出すことです。

生徒一人一人にタブレットとか配っている場合ではないです。教員の仕事が満足にできる環境を整えましょう。最新のノートパソコンを使うだけで労働時間が毎日1時間は短縮できるはずです。エクセルを開くのに5分も待っている場合ではないのです。「エクセルを開いてからコーヒーを入れ始めてちょうどいいよね。」ではないです。

また、富士通とNECのパソコン部門は中国に買収されたので、それ以外のメーカーを使用しないと情報漏洩が心配です。いくら教員が情報漏洩に気をつけていても根本的に漏洩しそうならどうしようもないです。せめて「HP」か「DELL」にしましょう。なぜ、国産を守れなかったのか、国の怠慢と言わざるを得ません。まあ、富士通とNECのパソコンはそれほど性能が良くないし拡張性もないですが。

あと、職員室の改築や学校の立て直しも必要です。教員数を確保するためには現状の職員室では狭いのもそうですが、コンクリートは永久に存在するものではないです。もって100年ぐらいで、どの学校も老朽化が深刻です。だらだらと予算決めてのんびり工事して間に合うの?できるところから改築していかないとあるとき地震で再起不能といった状態になりかねないですよ。

あとがき

総じて何が悪いかと言われると緊縮財政が悪いです。

消費税のせいで経済成長が止まってます。所得税や法人税が今より10%高い方がまだましです。社会保険料は下げましょう。国債で十分です。国家の歳入以上の社会保険料を支払っているとか意味がわかりません。国家の歳入に記載して、周知されるべきです。

消費税を導入せず、順調に経済成長していれば、引きこもってスタンバイしていてくれる若い人がいて現状の学校制度で問題なかったはずです。

ここまで問題が噴出してしまった以上、学校の制度を変えるか、緊縮財政を撤回して積極財政にするかではなく、両方を速やかに執行するしか手はないです。

だというのに、教員の仕事がブラックだの、やりがいがなんたらかんたらといっている現状では何も解決しません。仮に、ブラックだのやりがいが何だのが解決されたとしても、若い引きこもりが存在できなくなっている現状では教員問題は解決しません。

根本の原因は国にあり、選挙で選んでいる国民にあります。結局自分も悪いので、投票で与党に入れないことと、こうやって意見をまとめておくことぐらいをして引きこもることにします。

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