副業で会社と上司を「蛙化」する愉悦
蛙化現象。
最初に聞いたのは去年だったけど、なんのことかさっぱりわからなかった。
蛙化現象とは、「恋愛感情や好意を抱いている相手のささいな言動が気になり、気持ちが急速に冷めてしまう」という意味で使われている。どうやらグリム童話に登場するカエルに変身してしまう王子から付けられているようだ。
あることをきっかけに恋愛感情が冷めてしまうことを「蛙化現象」と言われても、なんだかピンと来ない。日本語にはもっとダイレクトでインパクトのある「百年の恋も一時に冷める」という言葉があって、こっちの方がわかりやすいしその凄まじさも伝わってくる。
僕はそんな経験をしたことはないけれど、娘たちのダイナミックな寝相を見ると「これは彼氏が見たら恋も冷めるな」と思ったりしたのでわからなくもない。人には他者に見せるべきではない姿がある。
恋はともかく、以前はとても気になっていたことが全然気にならなくなることがある。
例えば、高校生のころは髪型にとてもこだわったりしていて、いつも気になっていたものだが、社会人になって結婚してしまうとあまり気にならなくなって20年近く同じような髪型で過ごしていた。
成長と共に、人生を歩むごとにいろいろなものが気にならなくなってくる。それは成長のせいかもしれないし、老化のせいなのかもしれない。それはよくわからない。
でも、いつでも仕事は気になってしまう。
そして、嫌な上司も気になってしまう。
社会人でいる限り、仕事をしている限り、それらは常に気になり、注意を向け続けることになるだろう。
それらがどうでも良くなる、つまり「蛙化」することはない。
そう思っていた。
だが、変わってきた。
あろうことか、仕事や上司が蛙化したのだ。
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僕は金融機関に20年以上勤務する現役の課長であり、一度も転職をしたことがない。今の会社一筋の純社畜だ。
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