蓮見

書きたいときに、書きたいことを、書きたいように。2000年からweb上で文章を書いてい…

蓮見

書きたいときに、書きたいことを、書きたいように。2000年からweb上で文章を書いています。 2021年5月note登録。更新は月数回です。

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  • 仕事(看護師)

    仕事(看護師)を通じて感じたことや考えたことについて書いたテキストをこちらにまとめています。

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    日々の生活の中で感じたこと、考えたことを書いたテキストをこちらにまとめています。

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最近の記事

家の近くにあって欲しくない施設

家探しをしている同僚が、夫と意見が合わず困っているという。半年かかってようやく心ときめく物件に出会えたと思ったのに、夫が首を縦に振らない。 「葬儀場のそばなんて縁起が悪い。霊柩車なんか見たくないし、あそこに死んだ人が……と思ったら薄気味悪いよ」 その家から目と鼻の先にセレモニーホールがある。でも、家族葬のための小規模施設だから道路が混むことはなさそうだし、参列者が建物の外で騒ぐこともないだろう。においを出す飲食店があるよりよっぽどいいと思うんだけどね、と彼女は言う。 なるほ

    • 同窓会と大人の分別

      夜勤で一緒になった同僚がインスタントのスープはるさめを食べていた。夕食はそれだけだという。 「お弁当忘れたん?私、非常食持ってるよ」 「ちゃうねん、いま節制中やねん」 今月中に二キロ落としたいのだが、同居している親にバレないよう職場での食事を減らしているらしい。 あら、どうして内緒なの。 「ゴールデンウィークに大学の同窓会があるねんよ。それでダイエットなんか始めたら、わかりやすすぎて恥ずかしいやん」 あはは、なるほど。……と相槌を打ってから、ん?看護大学の同窓会だったら女ば

      • 食べたことがない名物料理と幻のふぐ体験

        職場の休憩室に東京土産のお菓子が置いてあった。同僚が連休をとって旅行に行ってきたという。 「東京って意外と行く機会なくて、おのぼりさんしてあちこち観光してきたわ。月島で初もんじゃもしてきたで」 すると、すかさず「どんな味やった?見た目通り?」と声が上がり、「え~、見た目通りの味やったらイヤすぎるやん」と笑いが起こった。 関西ではもんじゃ焼きはなじみがなく、私の周囲では食べたことがないという人が多い。私は二十年ほど前に初めて食べたが、それまでは作り方も食べ方もわからない謎の料

        • 青春ソングと遠い日のあの場所

          大学時代の友人と焼き肉を食べに行ったら、懐かしい歌が流れていた。思わず顔を見合わせ、同時に「恋心!」と叫んだ。 店のBGMは九十年代のヒット曲メドレーだったらしく、そのあとも「決戦は金曜日」「裸足の女神」「ロマンスの神様」「EZ DO DANCE」とつづいた。二年ぶりの再会だったが、こうなるともう近況報告どころではない。「ラブ・ストーリーは突然に」「SAY YES」で往年の月9ドラマについて語ったり、イントロクイズをしたりして盛り上がった。 ……のだけれど。急に彼女の口数が減

        家の近くにあって欲しくない施設

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        記事

          「『いただきます』はいらない」について考えた

          毎週土曜日の読売新聞夕刊に「もったいない語辞典」というコーナーがある。 著名人が「使われなくなるのはもったいない言葉」を取り上げるリレー形式のコラムなのだが、昨日のそれは元NHKアナウンサーの村上信夫さんが「いただきます」について書いていた。 これを読み、「そうそう、ずいぶん前に『いただきます論争』というのがあったなあ」と思い出した。 事の始まりは「永六輔その新世界」というラジオ番組に寄せられた一通の手紙。 永さんが「びっくりする手紙です」と前置きして紹介したその内容とは、

          「『いただきます』はいらない」について考えた

          「結婚は○○だ」の○○に言葉を入れるとしたら。

          ばたばたしていて、昼休みに入るのが三十分遅れた……のはいいのだが、休憩室のドアを開けて、しまったと思った。先輩のA子さんがまた「オッサン、オッサン」と連呼している。 オッサンとは彼女の夫のこと。彼がいかに不快でストレスを与えてくる存在であるかを、A子さんはお弁当を食べながらしょっちゅうみなに話して聞かせるのだ。 ひそかに「ジャイアンリサイタル」と呼ばれているそれが始まると、私は「歯磨きしてこようっと」「記録ができてないからお先に」などと言って仕事に戻ることにしている。でも、今

          「結婚は○○だ」の○○に言葉を入れるとしたら。

          欲しいのはオンとオフ

          昨春、病院勤務から訪問看護に移った友人がもう転職を考えているという。 ステーションが二十四時間体制をとっているため、月に五、六回オンコール当番が回ってくる。それが苦痛でたまらないらしい。 「いつ呼ばれるかわからないと思ったら、気が休まらない」 「お酒も飲めないし、遠出もできない。休日が休日にならない」 とこぼすのを聞きながら、そうだろうなあと頷く。 私は看護学生時代、高齢者施設で介護士として夜勤のアルバイトをしていた。 二十時から翌朝八時までスタッフは私一人。入所者が転倒し

          欲しいのはオンとオフ

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          仕事帰り、娘からLINEが入った。返事を打とうとして、彼女のアイコンが変わっているのに気がついた。 うちにいる猫の横顔だったのがいつのまにか自撮り写真になっている。 「えっ、顔出しはあかんやろ!」 思わずつぶやいて……あれ? よく見たら顔が違う。娘のアカウントなのに、これは誰? 帰宅して娘に訊いたところ、「誰でもないよ、AIで作った顔だもん」とすまして言う。 ええええ。そりゃあ顔写真をアイコンにしてはいけないとは言っているが、だからといって自分じゃない顔を使う意味がわからな

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          三十年目の気づき

          しゃくりあげる自分の声で目が覚めた。枕の冷たい感触で現実に戻ったあとも、涙はしばらく止まらなかった。 夢の中でも置いて行かれるのは私なのね。 なぜ唐突に彼の夢を見たのか、理由はわかっている。 フェイスブックでつながっている共通の知人から新年のあいさつが届き、否応なしにあの頃のことを思い出したところに、貴乃花さんの「独占告白 初恋の人と奇跡の再会を果たすまで」というネット記事を読んだからだ。 貴乃花さんが十代の頃に付き合っていた人と再婚したことはこのあいだニュースになっていた

          三十年目の気づき

          捨てられない理由

          伊集院光さんがパーソナリティを務めるラジオ番組で「捨てたもの」というテーマで投稿を募集したところ、「卒業アルバムを捨てた」という便りが一番多かったという。伊集院さんは、 「捨てないものだと思い込んでるみたいなところがあって……」 と驚いたそうだ。 これを聞いて、少し前にテレビで菊川怜さんが「場所を取るから卒業アルバムを処分した」と言って、MCやほかの出演者に“非難”されていたことを思い出した。 「それは引きますよ」「最悪や、ひどいですって」と口々に言われていたが、幼稚園から

          捨てられない理由

          LINEの返信が遅れる理由

          バスに乗っていたら、後ろの人の会話が聞こえてきた。 「秒で返したのに既読がつかないってどういうこと?自分が送信した瞬間にトーク画面を閉じてるわけ?」 「いるよねー、いまのいままで携帯触ってたのになぜか一時間も二時間も未読のままになる人。ぜったいわざとだよ」 LINEの通知がきたからその場で返信したのだが、既読にならない。たった数十秒のあいだにスマホを置いて別のことをしはじめたとは思えないから未読無視にちがいない、と憤慨しているのだ。 「Twitterが更新されてるのにLIN

          LINEの返信が遅れる理由

          「人生の失敗」と離婚観

          めずらしく定時上がりできた夜勤明け、バスを降りて時計を見たら十時二十分。「あら、まだこんな時間」とうれしくなり、マクドナルドで朝マックをすることにした。 若い女性三人組の隣に座ったら、先日再婚を発表したタレントの新山千春さんの話で盛り上がっていた。 「芸能人もマチアプで恋活するのか」「四十二歳であの浮かれっぷりはイタい」から始まり、お相手の人物分析を経て、「浮気されて終わる」というところに着地した。 いまはよくても十年後はどうか。五十を過ぎても一般人の同世代と比べたらはるかに

          「人生の失敗」と離婚観

          カバンの中の「そんなもの」

          以前から不思議に思っていた。彼女とは夜勤入りのときにロッカールームでよく会うのだが、いつも「いったい何泊するの?」と訊きたくなるくらい大荷物なのだ。 その日も私のトートバッグの三倍はあるスポーツバッグをかついで病棟に上がろうとしていたので、思わず「すごい量だね……」と声をかけたら、「よく言われるの」と彼女。 そしてその中身を教えてくれたのだけれど、耳栓、アイマッサージャー、むくみを解消する足裏シート、ブランケット、スウェットの上下、ペットボトル加湿器……と休憩時間のためのアイ

          カバンの中の「そんなもの」

          ピースサインとTPO

          昨日のこと。息子の校外学習の写真を申し込もうと撮影業者のサイトにアクセスしたら、「顔認証機能」なるものがあった。ほんの数秒で全写真の中から息子が写っているものだけを表示してくれて、びっくり。 何年か前までは教室や廊下に掲示された写真を見るために学校に出向かなければならなかった。それがオンラインで注文できるようになってとても助かっているのだが、さらに便利になってもう長い時間かけて大量の写真を閲覧しなくてもいいのね! とはいうものの、「ほんとに漏れなく選び出してくれてるのかなあ

          ピースサインとTPO

          「本にカバーはおかけしますか?」

          通勤電車で、斜向かいに座っている女性に目が留まった。 スマホを見つめている人がずらり横一列に並ぶ中、彼女だけが本を読んでおり、さらにそのブックカバーがレトロな雰囲気でおしゃれだったのだ。 店名らしきものが英語で書かれているが、読み取れない。どこの書店のものだろうと思ったら、ある友人を思い出した。彼女は全国の書店のブックカバーをコレクションしているのだ。 「本を買うともらえるあの紙のカバーって書店オリジナルでね、デザインも紙の感触もいろいろなの。企業とのコラボで期間限定だったり

          「本にカバーはおかけしますか?」

          熟年再婚

          同僚のA子さんは車通勤であるが、夜勤のときは夫が送り迎えをしている。 「自分で行くからいいって言っても、帰りに眠くなったらどうするんだってきかないんだよね」 と彼女が言うと、「愛されてるなあ!」「だんなさん、なんでそんなに優しいの」と声があがった。A子さんは五十代後半。結婚して何十年経ってもそこまでしてくれる夫がいることにみなが驚いたのだ。 すると、 「いや、うちは結婚してまだ五年なんだよね」 と彼女。えっ、そうなの? 「籍を入れるつもりはなかったんだけど、息子が『老後ひとり

          熟年再婚