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ご当地小説を投稿しています。全てフィクションです。他にも自分の作品の舞台や各地の風景を撮影しYouTubeでアップしています。併せてご覧いただければ幸いです。(YouTubeは右下の再生マークからどうぞ) なお、カクヨムにも小説を投稿しております。

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  • 【小説】連綿と続け

    富山県を舞台にした小説

  • コラム

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連綿と続け・あらすじと登場人物

題名: 連綿と続け (あらすじ) 東京都八王子市で生まれ育った一ノ瀬侑芽は 大学を卒業し、富山県の南砺市役所に就職が決まった。 南砺市では人口と観光客が年々減少し、その回復が急務となっていた。 その為には地域の人々の協力が必要となり、その間に入る担当者として新人の侑芽が選ばれる。様々なことに苦戦する侑芽であったが、足を運ぶうちに地域の人々の暮らしぶりやそれぞれの思いを知り、観光だけに頼らず地域の為に何か出来ないか、という思いが芽生えてくる。始めは厳しい態度であった彫刻職人の

    • 【小説】連綿と続け No.61

      五箇山支所への異動が近づく。 担当していた井波地区は 同期の高岡が引き継ぐため、 高岡とともに地区の人達に挨拶回りを始めた。 瑞泉寺の和尚にもご挨拶に伺う。 好物である水羊羹を手渡し、 侑芽が五箇山に異動になったことを報告した。 すると和尚は朗らかに話しだした。 和尚)そうけ。役所勤めいうんも大変やのう。けど最初にここに来た時よりも、2人とも自信がついた顔しとる。頑張っとるんやなぁ 侑芽)そうでしょうか。まだまだわからない事だらけで自信なんて…… 高岡)あぁ、違いま

      • 【小説】連綿と続け No.60

        航)あのな……ほんまは誕生日に渡そうと思うとったんやけど…… そう言いながら小さな木箱を手渡した。 箱には小さな文字が彫られている。 “Wataru to Yume” 侑芽の誕生日は3日後の七夕。 だから侑芽としては 少し早い誕生日プレゼントと思いながら箱を開ける。 中には木で作られた指輪が2つ入っていた。 侑芽)え?これ…… 航)ウッドリングや。俺が作ったんやけど……つけてみる? 侑芽はこくんと頷いた。 航は小さい方の指輪を取り出し、 侑芽の左手をそっと持ち上げ

        • 【小説】連綿と続け No.59

          夜空にはぼんやりと月が浮かび、 涼しい夜風が吹いている。 航は愛おしい人を連れて帰る幸せを 噛みしめながらゆっくりと歩いた。 自宅に着きベッドに降ろすと、 侑芽が目を覚ました。 侑芽)あっ、ごめんなさい…… 目を擦りながら航に謝っている 航)ええから寝とれ ベットに並んで腰掛け ペットボトルの水を分け合って飲んだ。 侑芽)あ〜!美味し〜 航)ちょっこし飲み過ぎたのう 侑芽)素敵なお話を聞いていたら飲み過ぎちゃいましたね 航)たしかに。俺も初めて聞く話やった

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        連綿と続け・あらすじと登場人物

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        • 【小説】連綿と続け
          62本
        • コラム
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          【小説】連綿と続け No.58

          由美子)ジョギングで顔は合わせとったんやけどね 侑芽)ジョギングで? 由美子)そいがそいが。毎朝、小矢部川沿いを走っとったんやけど、必ず会うから「おはようございます」て挨拶だけしとってね 航)へぇ。ジョギングしとることは知っとったけど…… 山崎)なんや照れてまうのう! いつの間にか他の者達も 耳をすませて話を聞いている。 由美子)そんな事が2年くらい続いたのかなぁ。ある日、私がお勤めしとった福光の歯科医院に洋平さんが偶然来たのちゃ! 福光とは JR城端線が通って

          【小説】連綿と続け No.58

          【小説】連綿と続け No.57

          純喫茶『あいの風』を貸し切り、 マルシェの打ち上げをする事になった。 富樫と高岡も乗せて 航の車であいの風に向かう。 高岡と富樫は店の前で先に降り、 侑芽は航と共に一度航の自宅に向かう。 車を置くだけと思っていた侑芽は、 そのまま店に向かおうとするが、 自宅に入っていく航。 侑芽)……? 自宅に入るなり侑芽を抱きしめた航は、 耳元で「お疲れ」と囁き、 すくいあげるように口付けた。 二人とも和装のままだ。 汗ばんだ首筋に唇を寄せると、 侑芽が両手を航の胸に当て離れよ

          【小説】連綿と続け No.57

          【小説】連綿と続け No.56

          浴衣を着せられた侑芽は 照れながら航の前に立つ。 白地に小さな青い花の模様が描かれた浴衣であった。 浴衣に描かれている花は雪割草。 雪深い土地に春の到来を告げる花である。 その姿は可憐でありながら、 厳しい環境にもちこたえられる生命力がある。 隆史)航くんも着るけ? 航)俺はええ。似合わんし…… 凛子)似合うよ絶対!ほれ、簡単に着せられるさかい 航)ええて…… 侑芽)航さんも着てください! 航)そやけど服脱ぐんが面倒やちゃ 隆史)脱がんでええ。俺も服の上から

          【小説】連綿と続け No.56

          【小説】連綿と続け No.55

          正也や歌子達が会場を回り出した頃、 南砺市のゆるキャラ 『NANTOくん』が特設ステージに現れ、 会場は一気に盛り上がりをみせた。 地元のローカル番組『なんと素敵テレビ』が マルシェの取材に訪れており、 撮影をしながらNANTOくんの紹介をしている。 子供達も興奮して NANTOくんに声援を送ったり、 記念撮影などを始めた。 侑芽)NANTOくん、人気者だなぁ 侑芽がそう呟くと高岡がドヤ顔で 高岡)は?ゆるキャラって言ったらやっぱり『ふなっしー』でしょ。もしくは『チ

          【小説】連綿と続け No.55

          【小説】連綿と続け No.54

          開場前から続々と来場客が集まりだしている。 当初の予定では 来場者数は200名弱と想定されていた。 だがこの時点で 明らかにそれを上回ることが見えた。 富樫)これはえらいことになるが〜 侑芽)大丈夫です。なんとかなります! 富樫)何でそんなことわかるがよ 侑芽)SNSの反響で大体は予想してました。それと、ここ数年のマルシェの統計をとっていたので、たぶん今日は、少なくとも500名はお越しになるかと 富樫)500名!?そんなに来たら、売るもんなくなってまうやないの!

          【小説】連綿と続け No.54

          【小説】連綿と続け No.53

          離したくない、離れたくない。 あらためて思いを確認し、夜が明けた。 この日はマルシェの前日。 侑芽は会場設営に駆け回る。 参加者達は そんな侑芽の姿を見て安堵している。 「やっぱアンタがおってくれて良かった」 「明日も必ず来てくれるんやちゃ?」 会う人会う人が声をかけてくる。 一時はマルシェ開催が危ぶまれたから、 不安が大きかったのは むしろ出店する側だった。 久しぶりに参加者達の顔を見て 侑芽自身も様々な思いが込み上げ 泣きそうになる。 そこへ高岡が声をかけてきた

          【小説】連綿と続け No.53

          三島由紀夫の潮騒を久々に読み返した。3回目の読了だが、歳を重ねる度に瑞々しい純愛に心が洗われる。これ以上のラブストーリーに出会える気がしないし、自分の小説がチープに思えて心が折れそうになる。いや当然なんだけど。私は私だし。しかしこの作品は永遠の憧れであり目標

          三島由紀夫の潮騒を久々に読み返した。3回目の読了だが、歳を重ねる度に瑞々しい純愛に心が洗われる。これ以上のラブストーリーに出会える気がしないし、自分の小説がチープに思えて心が折れそうになる。いや当然なんだけど。私は私だし。しかしこの作品は永遠の憧れであり目標

          【小説】連綿と続け No.52

          すぐにスマホを確認すると、 待ち焦がれていた侑芽からのLINEだった。 『マルシェに出られることになりました』 航は迷うことなく返信する。 『良かったな 侑芽が頑張っとったからや』 『いえ、私は何も…』 『ちゃんと飯食うとるんけ』 『はい。航さんは?』 『こっちは心配せんでええ』 他愛のないやり取りが テンポよく続いたが少し間があき、 またメッセージが届いた。 『ちょっと声が聞きたいです』 それを見てすぐに電話をかける航。 侑芽)フフフ!早いですね 航

          【小説】連綿と続け No.52

          【小説】連綿と続け No.51

          侑芽)どういうことですか? 富樫)それがねぇ、準備で集まった人らに、一ノ瀬さんが担当から外れて当日も来れんくなった事を伝えたら…… 富樫が事の顛末を説明している。 それはマルシェの参加者達から 不満の声が上がっているという内容だった。 「一ノ瀬さんが何べんも通うてくれて、きちんと説明してくれたさかい参加を決めたんや!」 「あの人を信用して任せたがに、こんながは話が違う!」 といったクレームが相次ぎ、 参加を辞退する人達が続出していると言う。 侑芽)そんな、どうしまし

          【小説】連綿と続け No.51

          【小説】連綿と続け No.50

          キスを避けた侑芽。 航は呆然とした。 侑芽)少し……考えさせてください 航)考えるて……何を? 侑芽)これからのこと。仕事も……航さんとの事も…… 航)俺との事て何を?まさか、別れるて言うんか?昔のこと……そんな気になるんか? 侑芽は黙ったまま何も答えない。 航)俺は嫌や。こんな時にこんな事で。侑芽がしんどい時に1人にはできんちゃ 強引に抱き寄せる航。 ずっと人に無関心だった男が、 必死になって1人の女性のために思いを伝えている。 侑芽)私、航さんのことすごく

          【小説】連綿と続け No.50

          【小説】連綿と続け No.49

          侑芽は城端のアパートに戻った。 航が役所まで迎えに来る事になっていたが、 とても会う気にはなれない。 部屋に入ると同時に スマホがブルブルと鳴っている。 航からの着信であった。 何度もかけてくるから、 思い切って電話にでる。 侑芽)はい…… 航)やっとでた。今どこにおるが?役所で待っとれ言うたがに 焦っている様子の航。 侑芽はか細い声で答える。 侑芽)ごめんなさい…… 航)なんで泣いとるんや 侑芽)いえ……泣いてません 航)アパートにおるんやろ?今そっち行く

          【小説】連綿と続け No.49

          【小説】連綿と続け No.48

          航は侑芽からの連絡に 事態を知る。 メッセージのやり取りで、 航はすぐに誰の仕業か検討がついた。 航)アイツや…… その瞬間、 青筋を立てるほど怒り心頭になり、 拳を床に叩きつけた。 正也)おい、何やっとんが。怪我するぞ 航)これ終わったら、ちょっこし出てくる 正也)なんや急に……まぁ、きりもええし、たまにはリフレッシュも必要やちゃ!今日はもう上がれま 航は昼食も食べず自宅に戻り、 香菜に電話をする。 航から連絡が入った香奈は 香菜)航〜?どうしたが? 航)

          【小説】連綿と続け No.48