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micro:bitの電波はどれくらい飛ぶのか試してみた話

micro:bitのDX通信チャレンジ

学生の頃、アマチュア無線に熱中した時期がありました。無線の醍醐味は自分の家から思わぬ長距離に電波が飛ぶところにあり、長距離通信のことをDX(Distance)通信という略語で呼びます。自宅のアンテナから出た電波が他県や国外にまで到達する経路を想像するのが楽しいのですね。

無線はmicro:bitにとって重要な機能です。micro:bit同士を通信させるとちょっとした感動がありますし、ロボットカーのラジコンも簡単にできます。無線機能の面白さを小学生でも手軽に通信が体験できるのが、他のマイコンボードとの大きな差別要因とさえ言えます。

この無線機能は、室内では障害物がなければ問題なく使用できますが、体育館や校庭などの広いエリアでスポーツやゲームと絡めた活用法も考えられます。その場合の通信距離はどの程度を想定しておけばよいのでしょう。

micro:bit公式のハードウェアの資料によると、Bluetooth(BLE)でも「無線」でも、最大出力は4dBmW(約2.5mW)となっています。
https://tech.microbit.org/hardware/#bluetooth-wireless-communication
BLEは出力によってClass1~3に分類されており、2.5mWのmicro:bitはClass2に相当します。

Class別の大体の到達距離というのが流布されていて、それによると
・Class1(100mW以下)→100m
・Class2(2.5mW以下)→10m
・Class3(1mW以下)→1m
などと言われています。
https://www.e-tecinc.co.jp/blog/2021/04/30/bluetooth/
https://www.musen-connect.co.jp/blog/course/trial-production/class-basic/
micro:bitはClass2なので10m程度は通信できるはずですが、とりあえず実験してみることにしました。micro:bitによるDX通信のチャレンジです。

実施方法

計測には、送信機と受信機の2台のmicro:bitを用意しました。送信側は最大出力でひたすら「1」を送信し続け、受信側は「1」が着信したらLEDを点灯させます。

左が送信機、右が受信機


送信側

LED点滅は動作確認用

受信側

実施にあたり必要なのは、広い空間と距離測定の方法です。近所には広大な公園もあるのですが、長尺の巻き尺も測距儀もないので、とりあえず近所の川沿いの遊歩道を利用してみました。
ここはかなりの直線区間がある上に、転落防止の柵がきっちり2m間隔で作られているため巻き尺代わりに距離が測れるというメリットがあります。
送信機を柵に固定しておき、自分は受信機を持って遊歩道を歩き、送信機から離れていきます。受信が不能になった(LEDが点灯しなくなった)距離を、通過した柵の本数で測ろうというものです。

角材に送信側のmicro:bitをつけて、柵に固定します

結果はどうだった

micro:bit V1とV2でそれぞれやってみたところ、LEDが点灯しなくなるまでに通過した柵の本数はV1が45本、V2が43本でした。柵の間隔が2mなので、大体90mということになります。個体差もあり、測定も適当すぎるので、差は無視して同じと考えて良さそうです。
V2はアンテナが改良されたらしいのですが、特に違いは感じませんでした。

予想外に飛んでいる感じなのですが、他の方のデータでは半分以下という報告もあり、この場所特有の結果の可能性もあります。川の両側に建物や護岸があり、反射波の影響も考えられますので、広大な公園の方で再度挑戦してみます。

公園でやってみた

さて、場所を変えてやり直すために、杉並区立桃井原っぱ公園にやってまいりました。ここは日産自動車荻窪工場、さらに前は中島飛行機東京製作所の工場跡です。零戦の栄エンジンを作っていたところですね。
跡地は広大な公園とマンション群になってしまいました。

原っぱです

受信機のプログラムを修正して、信号強度をグラフ表示できるようにしました。

実験1

まずは長方形の公園の、短辺方向でやってみます。

クリックで動画

ここは柵のような目標物がないので、距離の測定はGoogle Mapの航空写真を使うことにします。測定した点は写真上でわかりますので、そこを基準にしてGoogle Mapの距離測定機能で測ります。
65m少々ありますが、余裕で通信できていました。

実験2

それでは長辺方向へ行ってみます。こちらもかなり余裕があります。多少不安定になりますが、公園の端まで到達してしまい、150m程度の距離をクリアしています。

俗説とずいぶん異なる長距離まで電波が到達してしまいました。これは特殊な条件によるのか、実際はClass2でも結構電波が飛ぶのか、なんとも言えませんが、興味がある方は追試して頂くと面白いと思います。
以上

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