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正しいGTO戦略の学習法

はじめに

 GTO戦略を手軽に解析できるツールが普及している現在、それらを適切に使いこなし効率よく上達していくスキルは極めて重要です。

 今回の記事では、どのような点を意識してGTO戦略を学習すれば最も高い効果が得られるか、なるべく具体的に解説していきたいと思います。

第一章 ツールの計算結果に対する誤解

 まず最初に、以前の記事でも触れたことがありますが、ツールで計算されたGTO戦略に対する誤解についておさらいしておきます。

 私たちが実戦でGTO戦略と呼んでいるものは、何なのでしょうか。

 誰に対してもエクスプロイトされない無敵の戦略、この戦略を取り続ければ相手がミスする分だけこちらが勝つ。そういうものを期待したいですが、これは誤解です。

(中略)

 現実世界で私たちが勉強することができるのは、プリフロップのレンジを仮定した上でベットサイズを数種類に限定して、そこで近似的なナッシュ均衡を計算したものに過ぎないということです。

GTO戦略についてのよくある疑問と誤解

 ツールに表示される戦略を、絶対無敵の戦略と考えるのは大きな誤解です。ここには、GTO戦略を解析するツールの弱点がまとめられています。

  1. 相手のプリフロップのレンジに対する仮定が前提となっている

  2. 相手が使ってくるベットサイズに対する仮定が前提となっている

  3. ツールの計算結果は誤差が存在し、あくまでもナッシュ均衡の近似である

 強調しておきたいのは、だからツールは役に立たないということではありません。

 私たちがツールを有効に使うには、これらの弱点と限界を知ったうえで、どのような目的で使うのかはっきり意識することが重要だということです。

 次の章からは、どのような意識が重要なのかを詳しく紹介していきます。

第二章 効果の低いハンドレビュー

 この記事を読んでくださっているあなたは、現在すでにGTO戦略を表示してくれるツールを使っているでしょうか。もしそうであれば、どのような使い方をしているでしょうか。

 よくある一般的なツールの使い方は、自分のハンドレビューをする際に、自分のアクションがGTO戦略通りだったかどうか確認するというものです。

 分かりやすくするため、まず具体的なハンドの例を載せてみます。

Hero: BTN [K❤Q❤]
Preflop: CO 2.5bb open, BTN 8.5bb 3bet, BB 23.2bb 4bet, CO fold, BTN call
Flop [2❤K♣3♣]: BB 20% bet, BTN call
Turn [A♣]: BB 20% bet, BTN call
River [K♠]: BB 50% bet (all-in), BTN call

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