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忍者じゃじゃ丸くんと百鬼夜行。


子供の頃は忍者やら
仮面ライダーなどが大好きでした。


手裏剣のおもちゃを
かっこよく飛ばす方法を編み出し、
変身ベルトを腰に巻いては柿の木をショッカーにみたて戦っていました。

実家から少し離れたところにある、
おじいちゃんが個人で営業していた
ゲームショップがありました。


手書きのポスターをところ狭しとはり
「〇〇いくら!」「これこれ入荷!」と主張強めのお店でこっそりと応援していました。

誕生日に母親がゲームをプレゼントしてくれる、との名目で連れてこられたのがこのお店。

そこで出会ったのが「忍者じゃじゃ丸くん」



ガツン!と頭を叩かれた気分。
なんといっても「赤い忍者」

幼い頃から「赤」がフェイバリットカラーであり、尚且つ「忍者」です。

ダブルスコアな上にファミコン!
刺さらないわけがない!

「これほしい!!」と即決したのですが、
残念なことに今は在庫がないとのこと。

「水曜日には入荷しとくからねぇ」とお店の様子からは全く想像できないやさしい口調の店長さん。予約だけしてその日は帰りました。

明後日は水曜日。ぼくも誕生日。
そしてじゃじゃ丸くんがウチにやってくる!!

ワクワクしながら前の晩は早目に寝て、
きたる誕生日に備えました。

しかし・・・。

ぼくは謎の高熱を出し、
1週間ほど寝込むことに・・。

当然「じゃじゃ丸くん」を受け取りにいけず、
母親も忘れてしまっていました。

少し遅れぎみの誕生日プレゼントで
「なにが欲しい?」と聞かれ
「忍者のゲーム!」と即答したアタクシ。

「忍者?」
タイトル名は覚えていないぼく。
そう!赤いやつ!!
「わかった。仕事おわったら行ってくる」
と母親。

わかったんだか、
わかってないんだかテキトーな返事しましたが
どうやら伝わった?
いささか不安・・。これは不穏な流れ。

信じて待つしかないので、
母親の帰りを待つことにしました。

夜遅く・・・母親が手にしたゲームソフトは

影の伝説


いや・・・
確かに忍者らしき人は赤いけどさ・・・。


母親も忙しく、忘れてしまったのでしょう。
心境を察しやすかったぼくは「これじゃない!」と言えず、その日は涙で画面が見えませんでした。

「じゃじゃ丸くん」は
どんなゲームだったのだろう・・・。
叶わぬ恋は膨れ上がり、
「いつか大人になったらゲームを買うんだ!!」
「もう・・・母親には頼れない・・・」


高熱を出した情けなさと絶望と悔しさが入り混じったコケ少年。

「欲しいものはじぶんで買おう!」
と決意したのでした。


時は流れ、高校生になったコケ。
欲しいものはじぶんで買うことも出来る
ようになり、ファイナルファンタジーXIIIを求め、近所のゲーム屋をめぐる旅に出ました。

そこで運命の再会を果たしたのが

「忍者じゃじゃ丸くん」

赤い忍者。デカいカエル。かわいい妖怪たち。
あの日に夢見たじゃじゃ丸くんが、ここに!!



FFXIIIとじゃじゃ丸くんを
レジで会計。そそくさと帰宅し
先に遊び始めたのが「じゃじゃ丸くん」

長年の片思いもやっとこ成就し、その日は日付が変わるまで遊んでいました。

その日の深夜・・・。

忘れることの
できない出来事に会いました。

じゃじゃ丸くんをひとしきり遊び、
夜のおひとり様バスタイムを満喫中のこと。

ふぅ〜っと一息ついたその時。


ドドドドドドドドドド・・・・・!!!!


っと何にやら
ものすごく駆け回っていく足音がしました。


家族は全員田舎に帰省して、ひとりお留守番中。他に誰もいるはずもありません。

「ネズミ?」いやいや。それにしては長い。

時間にしておよそ1分弱くらいでしょうか。
そんなネズミの大群も恐ろしいですが。

これはネズミじゃない!!と理解したのは

話し声が聞こえるのです。


それも遠くから。


え?え?なになに??と怖くなったものですが、よくよく聞き耳をたてて見ると




めっちゃくちゃ楽しそう!


なんです!!
ドンチャンドンチャン鐘のようなものが鳴り、
カランカランなり物が鳴り続け


笑い声がずうぅうううっとしている。


だんだんと声は近づき、
はっきりと聞こえるようになりました。


「久しぶりだねあんた!元気してかい!?」

「もうばばぁさね!あんたも元気そうでなによりだよ!」


「どいつもこいつもみんな見た顔だけど今年も全員そろっているようだよ!おめでたいことだわ!」


「あぁそうだね!!おめでとう!!」


おめでとう・・・??
そんなお正月じゃあるまいし・・・。


さらに続く足音と声を伺ってみると、全員が


「おめでとう!!おめでとう!!」と叫んでいました。


中にはお酒が入っているような感じも。
あまりにも楽しそうで嬉しそうなその御一行。


「なんか変な物が聞こえてきてしまった」と思いお風呂から上がりそのまま就寝。

そして次の日。

またしてもゲームで深夜になり、
同じ時間におひとり様バスタイム。

すると・・

また聞こえるんです。

でも明らかにメンツが変わっている。
昨晩では聞こえなかった

子供らしき声やおじいちゃんのような声も混じっている。


でも共通しているのはやっぱり


おめでとう!!


の声。しかも昨日より大人数なのです。
さらに数が増えており、話し声もくっきり。

その中のおじいちゃんらしき方(?)が


『こうして”夜行”を行えるだけでもありがたいことじゃて』


夜行?ん?夜行って

百鬼夜行


のこと?

よく一般で言われている百鬼夜行ては、
悪鬼や妖怪たちが闇夜に列をなし、近くで見たら死んでしまう”と言われています。


でもこれ・・・死ぬなんてもっての他で


全然そんなことないんですけど。むしろこっちがありがたい気持ちになるわ!!


ってくらい幸せに溢れていました。
こんな幸せな行列があるのなら、ぼくも参加したい!!

そしてやっぱり2ー3分で聞こえなくなるんです。何もなかったかのように。

でも過ぎ去ったその余韻はあり、
お祭りの後の静けさが散りばめられていました。

さらに翌日。


今度は確信をもって
同じ時間帯にお風呂に入りました。


やっぱり聞こえるんです。でもみんな落ち着いていて、これからは『帰る』ようでした。


「お疲れ〜!」や「またね〜!」
「来年まで死ぬんじゃないぞー!」
「来年過ぎたら死んでもいいってことかい!?」
「あははは!」「笑い事じゃないわ!」

と久しぶりの同窓会を終えた感じでした。
終始笑い声が絶えず、最後まで
幸せに満ちていました。

声が聞こえなくなり、少し経ったあと


ドドドドドドドドドド・・・。


と何かが過ぎ去っていき、
このお祭りは終わりを告げた模様。



この足音に残された温かい余韻と優しい想いを纏った不思議な3日間でした。

あの時間帯まで
「忍者じゃじゃ丸くん」を遊んでいなかったら。
子供の頃、高熱でうなされていなかったら。

この幸せな御一行さまに出会えることはなかったでしょう。

先日配信されたNintendo Switch online」にて
「忍者じゃじゃ丸くん百鬼夜行バージョン」が配信されたので書いてみました。

じゃじゃ丸くん、やっぱり面白いですね!


実は新作もあるんですよ。
めっちゃやりた〜い!!


コケでした〜。


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