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クローン病の彼

 私の珍友Dは、クローン病だ。クローンと言っても、クローン人間とは全く関係ない。クローン氏という人が発見したから、その名が付いている。

 口から肛門までの消化管に炎症が起きる病気で、国の指定難病になっている。一生服薬と食事制限が必要だ。

 Dも定期的な点滴に服薬、そして昼食はエレンタールという成分栄養調整剤を飲み、生活している。このエレンタール、アミノ酸主体で恐ろしく不味い。よく頑張って飲んでると思う。

 さてそのD。こんにゃく、海藻、きのこ、とうもろこしは絶対禁忌である。デートの時も一緒に外食はできない。トイレ問題も重要だ。生活に制限はあるが、仲良くやっている。

 「ある意味人体実験だ」と彼は言う。何を食べたらお腹が痛くなるのか、食べてみないと分からない。パカスカ食べてトイレに駆け込む姿をよく見ているので、大丈夫かと内心心配している。

 ある時ホテルのバイキングにて。貧乏性のDは、これでもかとプレートに乗せてきた。焼きそばはてんこ盛り、ご丁寧に紅生姜まで乗せている。フライ山盛りにカツオのタタキと、内容ははちゃめちゃだ。

 「プリン取ってきた。これで4つ目♪」←何言ってるんだこの人は。私に勧めもせず、自分一人で食べている。人のプレートを覗き込み、「あれ、猫足さんも意外に食べるんだね」←余計なお世話だ。

 しばらくすると、「…お腹が痛くなってきた」と弱々しい声でトイレに駆け込んで行った。Dには学習能力が無いのか?呆れ果てるばかりである。こんな調子で、毎日試行錯誤だ。

 お食事デートは出来ないが、そのほかに楽しみを見つければ良い。トイレだってこまめに休憩を取れば良いだけなのだから。

 私も過敏性腸症候群なので、トイレは絶対に外して考えられない。彼の気持ちはよく分かる。

 公共施設でもっとトイレを気軽に使えたらと思う。広さの割にトイレが少ない、温水洗浄便座ではない、トイレがあるのに使えない、こんなトイレは嫌だ。トイレ環境の改善を世の中に求む。

 クローン病についてはコチラ↓

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