凸凹のまま


「アップダウンある人がどういう風に生活しているのかわからない」と、夫にふと言われた。こんな私と暮らしはじめて5年目だというのに。「こういう風に生活してるじゃん」と答えたところ、外側の様子はわかるけれど、その人自身がどんな気持ちで過ごしているのかわからないということらしい。たしかに我々にも、いつも穏やかで安定している(ように見える)種族がどのような内的世界を持っているのかはわからない。

双極性障害、というひとつの病名がある。より正確に言うと精神障害、気分障害に分類される。ここ十数年のいろいろなエピソードを考えるに、私にも明らかにその傾向はある。ただ「躁」の状態が生活に支障を来していないから(ぎりぎりだと思うが)、診断がついたことがあるのは「うつ」だけだ。

遠い昔、高校生の頃には「波をコントロールしなければならない」と思っていた気がする。抑えよう、抑えようと、常に何かと戦っていた気がする。何か、じゃなくってそれは自分だったんだろう。自分ではない何かになろうとしていたのかもしれない。

けっきょくのところ自分は自分にしかなれない、と最初に分かったのはいつ頃だっただろう。長い目で見ると、ハイになって「本当の自分を発見!」しては、落ちるところまで落ちることを繰り返しているのだが、その中でも「今はちょっとハイ」「とてもハイ」という自己観測と「きっとこの頃にはガクッと落ちる」という天気予報ができるようになってきたのは随分と最近のことのように思う。

嵐はやりすごすしかない。時には頑丈な建物にこもって。ただ、予測がつけば準備もできるという、ほんとうにそれだけのことだ。

自分は自分にしかなれないし、私はこういう自分のまま、生きていくのだと思う。

この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?