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検証!初めてサッカーを見た5歳児はどこまで覚えているか???【1998年・札幌vs京都】

突然ですがみなさん、自分が5歳だったときの記憶をどれくらい覚えていますか?ためしに思い出してみてください。

……どうでしょう?思い出せましたか?

みなさんが5歳のときはいったい西暦何年だったでしょうか。

1998年、フランスワールドカップが開催された年に僕は5歳でした。

Jリーグと同い年である僕は、この年初めてスタジアムでサッカーを見ました。

Jリーグのコンサドーレ札幌vs京都パープルサンガです。まだ北海道コンサドーレ札幌、京都サンガF.C.という名称になる前の話です。

5歳児がサッカーを初めて見たとき、いったいどんなことが印象に残るのでしょうか。どんなことを覚えているのでしょうか。

今回、僕は5歳児に戻って、そのとき見た試合がどんな試合だったか思い出してみました。

まず僕の記憶にある試合を脳内で再現してみて、その後公式記録を見てどこまでその記憶が合っているか確かめてみます。

そもそもどうして僕がこんな幼い頃からサッカーを見ていたのか話をしていませんでした。これは完全に父親の影響です。1956年生まれの父親はこの世代には珍しく高校時代にサッカーを始めてからずっとサッカーの虜になっていました。

今でも思い出話として語ってくれるのが、1978年に室蘭大谷(現・大谷室蘭)が高校サッカー選手権で決勝に進出したとき、国立競技場まで見に行った話と、ジョージベストに憧れてソックスをだらしなく履いていた話です。

僕が幼い頃、当時実家の近くにあった韓国の領事館に翻る国旗を眺めては、

「日韓戦の前にあの国旗を見ると、負けられないって思うんだよね」

といつも言ってた父親の姿が忘れられません。

5歳児にタイムスリップだ!

そんな父親に連れられて向かった先は北海道札幌市にある厚別陸上競技場でした。当時はまだ札幌ドームがありませんでした。

まず記憶しているのは、大雨だったことです。コンサドーレの赤いポンチョを着た記憶があります。初観戦が大雨とはなかなか不運なことです。しかし大雨のおかげで今も試合の印象が残っているのかもしれません。

そして大雨のわりに寒くなかった記憶があります。つまり春や秋ではなく、夏だったのではと予想されます。

さて、コンサドーレは誰が出ていたのかさっぱり記憶にありません。まったくもって欠落しているのです。応援しているクラブのはずなのに。

対戦相手のサンガの選手は何人か覚えています。まずはGKの松永成立選手(現・横浜F・マリノスGKコーチ)です。うっすら記憶をたどると「川口(能活)の前(に日本代表でレギュラーだった)のキーパー」として認識していた気がします。おそらくですが、父親に教えられたのでしょう。ドーハの悲劇についてもレクチャーされていたかもしれません。

続いて、賀谷英司選手です。これははっきり覚えています。「対戦相手にいるけど、室蘭大谷という北海道の高校の選手だったんだよ」と父親が教えてくれたからです。確かサイドバックです。

そして背番号10を背負ったシーラス選手です。これは「なんだか生きた化石みたいな名前だな」ということで覚えていました。

大雨であったこと、そこまで寒くなかったこと、サンガの選手の何人か、これが5歳児にタイムスリップした僕の記憶です。ここから推測するに、コンサドーレの印象がまったくないことから試合はサンガが勝ったのではないでしょうか。

勝敗はいかに!?

それでは公式記録を見てみましょう。

開催日時は1998年9月12日14時キックオフでした。秋といえば秋ですが、かろうじて夏の終わりとも言えなくはありません。

さて結果を見てみましょう。

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えっ、コンサドーレが勝ってる……!?

なんと記憶を基にした予想とは裏腹にコンサドーレが2-0で完封勝利しているではありませんか。当然ゴールシーンはまったく記憶にありません。

コンサドーレにあのマラドーナが!

続いて、各チームの選手を見てみます。まずはコンサドーレです。気になる選手をピックアップしていきます。

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GKのディド選手は当時41歳の大ベテランで、オランダから帰化した日本人です。本名はハーフナー・ディド。なんと驚くなかれ、あのハーフナー・マイク(現・FC.Bombonera)の父親です。初の親子Jリーガーとは彼らのことでした。

DFの村田達哉選手は日テレ。ベレーザのコーチやコバルトーレ女川の監督を歴任し、現在はブリオベッカ浦安のヘッドコーチを務めています。イタリアのキエーボ・ヴェローナにコーチ留学していたこともあるので、カルチョ好きの僕は期待しているのですがなかなか監督として活躍する姿は見られません。

田渕龍二選手はDAZNの徳島ヴォルティスの試合の解説でおなじみです。

梶野智選手は、今シーズン開幕前に大久保嘉人選手への「1カ月でも2カ月でも、駄目だったらすぐ引退を。引退のカードは僕が持っている」発言で物議をかもしたセレッソ大坂チーム統括部長です。あの発言をした人に選手経験があったというのは正直驚きです。

MFのマラドーナ選手にはびっくりしませんか?「えっ、あのディエゴ・マラドーナ!?」と思うかもしれませんが違います。マラドーナはマラドーナでもこっちはウーゴ・マラドーナ、なんとディエゴの弟です。ちなみに利き足は右です。過去の映像を見ると1997年に川崎フロンターレ相手に直接FKを叩き込んでいます。正直言って、フロンターレが強い今見るとめちゃくちゃ気持ちいいです。

FWのバルデス選手は「パナマの英雄」と呼ばれたストライカーです。1997年のJFLでは40ゴール、1998年のJリーグでは21ゴール決めています。彼で思い出すのもマラドーナと同じく1997年の川崎フロンターレ戦でのゴールです。後半43分まで1-3で負けている状態から同点に追いつき、延長戦に彼のゴールで逆転勝利。しつこいようですが、フロンターレが強い今見るとめちゃくちゃ気持ちがいいです。

ベンチにも注目の選手がいます。DFの木山隆之選手は、水戸ホーリーホックや愛媛FC、モンテディオ山形などで監督をつとめたあの木山監督です。

FWの吉原宏太選手は、コンサドーレの元祖アイドル的存在です。コンサドーレで初めて日本代表に選ばれたのも彼です。水戸ホーリーホックに入団するときに放った「経営状況は分かっているし、水戸にとっては1億円の評価をしてくれたと思う」という言葉は全サポーターを震わせる名言でした。

サンガにはあの名将が???

サンガの選手もみてみましょう。

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GKの松永成立選手は記憶通り出場していました。記憶違いでないことにほっと胸をなで下ろします。

バモス!バモス!バモス直人!オレオ!オレオ!オレオ直人!ナ―オート―!大嶽直人!オレ!

失礼、つい取り乱してしまいました。DFの大嶽直人選手は、このチャントで有名だったはずです。

小川雅己選手は宇都宮徹壱さんの『股旅フットボール』を読まれた方には懐かしい名前かもしれません。本にはツエーゲン金沢の監督兼選手として登場します。

そしてMFのシーラス選手です。いました生きた化石!調べたところ、1985年のワールドユースでブラジル代表として優勝&得点王を獲得、1986年と1990年のワールドカップに出場しているれっきとしたセレソンでした。生きた化石とかいじって本当にすいませんでした。

岩本輝雄選手はどちらかといえばベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)やベガルタ仙台でのイメージが僕としては強いです。一時期、AKB好きとしてメディアによく出ていましたね。解説者としての評価は分かれるかもしれませんが、時折読む記事からは根っからのサッカーオタクっぷりが感じられます。

何より僕が驚いたのは森保一選手が出ていたことです。まさか初めて行った試合に、現在の日本代表監督が出場していたとは……!こういう偶然に遭遇することがたまにあるから、長くサッカーを見続けるのは楽しいですね。

ベンチにいるFWの吉田達磨選手は、柏レイソルやアルビレックス新潟で監督を歴任し、現在はシンガポール代表の監督をつとめています。育成や指導法については同業者から評価が非常に高い指導者です。

……あれ?賀谷英司選手は???

なんと僕の記憶にあれだけ残っていた賀谷英司選手はベンチ入りすらしていません。このシーズン、サンガには在籍しているのは間違いないですが……。

幻の大雨!?

最後に天候を見てみましょう。

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曇とあります。

えっ、僕が体験したどしゃぶりの大雨は???

そんなはずはないと思い、気象庁でこの日の天気を調べてみました。

昼の天気は「曇一時晴」、降水量は0mmでした。

いったい僕が見た大雨の試合とはなんだったのでしょうか……。謎は深まるばかりです。

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生まれて初めて行ったスタジアムである厚別陸上競技場について、僕がOWL magazineのYoutubeで語っている配信がこちらになります!

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