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サッカー好きが他のスポーツを見てみたら【OWLオムニバス】

OWL magazineのオムニバス記事企画です!

この企画では、OWL magazineに寄稿しているメンバーだけでなく、読者を中心としたコミュニティOWL's Forestのメンバーも参加しています。

OWL's Forestでは、オムニバス記事への参加以外にもたくさん楽しい事があります!!メンバー間の交流はもちろん、ラジオ番組の制作・企画などにチャレンジする創作活動を行っています。出版企画の会議をのぞき見することもできます。

興味を持たれた方は、下のページをクリック!

さて、前回はみなさんに「私のイチオシサッカー作品」について書いてもらいました。

今回のテーマは「サッカー好きが他のスポーツを見てみたら」です。いつもはサッカーにまつわるテーマを主としてオムニバスを書いていますが、今回はあえて他のスポーツについて書いてもらいました。

サッカー以外と言っていますが、今回サッカーにはフットサルや蹴鞠も含めることにします。

それでは、今回のお品書きです。

「i enjoy!」パラスポーツという、誰でも一緒に楽しめる世界(矢島かよ)
陸上競技を見ることもある(KAZZ)
スポーツ観戦はお祭だ。~このご時世に各スポーツの観戦好きに問われるもの。流儀と御作法~(さとうかずみ@むぎちゃ)
サポーター×ブースター、兼任のすすめ(大宮けん)
Bリーグ・西宮ストークスに想うこと(豊田剛資)
プロボウラーはなぜボールを曲げるのか? ~新・ボウリングの楽しみ方~(ユウ)
全てのスポンサーに敬意を!(さかまき)

「i enjoy!」パラスポーツという、誰でも一緒に楽しめる世界

(矢島かよ)

私とパラスポーツの出会いは、2016年11月、国立代々木競技場第一体育館で行われた、パラリンピックサポートセンター主催のイベント「パラフェス2016~UNLOCK YOURSELF~」に参加したのがきっかけだ。
パラリンピック・リオ大会のメダリストと、障害のあるアーティストらによるスポーツと音楽の祭典。
軽い気持ちで見に行ったことを後悔するほどバチバチの本気の世界を見せつけられた。

オープニングセレモニーのあと、車いすバスケットボール、陸上、ウィルチェアラグビーについて選手から解説が行われ、ゲストタレントと実際に対決する様子を客席から見守った。

とくに驚いたのが、ウィルチェアラグビー。
車いす同士で激しくぶつかり合う音が体育館内に鳴り響く。
と同時に、軽々と吹っ飛ばされ、悲鳴を挙げるゲストタレント。

彼らのどこに、その原動力があるのだろう。
下半身に麻痺があったり、義足だったり、義手だったり、ただでさえうまく踏ん張れないはずなのに。
私だったらそもそも動くことを諦めてしまうかもしれない。

障害の重さによって階級が分かれている競技があることや、リオ大会でのパラリンピックのメダルは、金、銀、銅それぞれ振ると違う音がすることなどを初めて知った。

「東京大会では金の音を聞きたい」

力強く語る選手たちに魅了されていった。

その後、視覚障害のあるアーティストらによるコンサートや、下半身に障害を抱えるダンサーのパフォーマンスが行われた。

ここまでだったら「かっこよかったな」くらいの気持ちで終わってしまったかもしれなかった。
エンディングで行われた大黒摩季さんのミニライブで、最後に叫んだ彼女の発言が私を一歩動かした。

「1人が20回つぶやけばたくさん拡散できます!」

パラスポーツの魅力を皆で広めていきましょう、という力強い声に「私だったら20回分よりももっと広められる」と思い、帰りの電車のなかで、パラサポ宛にメッセージを送った。

「自分がかかわっている雑誌で、パラスポーツについて何らかの形で取り上げさせていただきたいと考えております。発行部数は多くはありませんが、確実に届けます」

すると、パラサポの担当者から連絡が来た。
そして、パラアスリート向けの、スポーツマウスガード作成イベントの取材に行くことができたのだ。
小さな記事だが、社として一度も取り上げたことがなかったパラスポーツについて取材ができてほんとうによかったと思っている。
ご縁が繋がり、その後も何度かパラスポーツについて取り上げることができた。

2018年3月には、駒沢オリンピック公園で行われた「パラ駅伝 in TOKYO 2018」を観に行った。
障害の有無や、年齢、国籍にかかわらず、各チームのランナーが8区間を駆け抜ける。

場外では、出場各地のご当地グルメや自治体マスコットが大集合。
普段なかなかお目にかかれない、岩手県の「そばっち」や宮城県の「むすび丸」などが会場を盛り上げる様子に、私、大興奮。

テントでは「ままどおる」や「萩の月」などのお土産物や特産品の販売が、キッチンカーでは「うに飯」や「芋煮」が販売され、スタグルまで楽しめるイベントであることに驚いた。

日本障がい者サッカー連盟会長の北澤豪氏もランナーの1人として参加。
軽快な走りを見せた。

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北澤氏は、障がい者サッカーの普及や強化、認知のため、さまざまな活動をしている。

2019年には、地域のイベントで、ブラインドサッカーとボッチャを体験する機会があった。

ブラインドサッカーは「アイマスクをつけてボールを蹴りながら歩く」しかしていないのだが、これがまったくできない。
補佐役の人が前に立ち「こっちだよ」と声をかけてくれるのだが、方向がわからない。
ボールは蹴ると音がする仕組みなのだが、いったん足から離れてしまうと、どこにあるのか見つけられない。
選手たちはどうやっているのだろう。
体験してみて初めてすごさを実感した。

ボッチャは、ミニゲームをやった。
これは、投げてもいいし蹴ってもいい、ボール用の滑り台を使ってもいい、子どもでも高齢者でも、私みたいに体力がまったくない運動音痴な人でも、誰でも楽しめるスポーツだ。
赤チームと青チームに分かれ、それぞれのカラーのボールを投げて「ジャックボール」と呼ばれる白いボールの近くに自分のボールを近づける、コントロールが問われる競技。
カーリングに似ているため「地上のカーリング」と呼ばれることもある。

簡単に見えてとても難しく、奥が深い。
私にもできるというのが楽しかったし、ルールが簡単なので子どもたちでも理解しやすい。

観て楽しい「ウィルチェアラグビー」などの超人技から、どんな人でも一緒に楽しめる「ボッチャ」まで、さまざまな競技のあるパラスポーツの世界に、皆さんもぜひ一度足を運んでほしいと思う。
きっとハマるはず。

矢島かよ
OWL magazine出版化プロジェクトの制作部門担当。名古屋グランパスサポーターで、マスコットはどのクラブの子もみんな好き。
主な執筆記事:『本好き少女よその羽で飛べ──ひきこもりがち小学生がサッカー本作りにかかわるまで
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陸上競技を見ることもある

(KAZZ)

私はいつもサッカーばかり観ているわけではない……という話をしたい。

毎年やっている大会だが、出雲陸上という名前の、陸上競技大会を観に行ったことがある。島根県内では最大規模の県立浜山公園陸上競技場で行われる。
結構な有名どころの選手が出場することもある、それなりに規模の大きな大会であって、最近でも桐生祥秀選手だとか、ケンブリッジ飛鳥選手が出場した。

私が観に行った時は、ケンブリッジ飛鳥選手が出ていたと思う。2019年の大会だ。彼の写真もあるにはあるけれど、今回は他の写真でご勘弁願いたい。

陸上競技にもいろいろある。走る、または歩くものにしても、ロードレースのように距離の長いものもあれば、トラックを利用するスプリントレースまで多種多様だ。
しかも、一人ずつの選手で競うだけでなく、複数の選手でチームを組んで、彼らのリレー方式で競うものもある。
この他にフィールドで行う競技もある。高跳びや投擲などはこれに当たる。いわゆる○種競技といわれるものもこれに含めて良いだろう。
トラックの内側にあるフィールドで行うものだけではない。外側では、例えば走り幅跳びなどと言うものも行われることがある。
そして陸上競技は男性も女性も行う。もちろん、競技はだいたい性別に分類されるものだけれど、まあ基本的には男子は男子と、女子は女子と、それぞれ競い合う。

陸上競技の、特に短距離走は、刹那的に終わることが常だ。そりゃあ、100mが10秒前後なのだから、刹那的にならざるを得ない。その短さ加減を見ていると、まるで打ち上げ花火を鑑賞しているような錯覚すら起きる。

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しかし、その刹那の打ちに、勝敗が決し、悲喜交々が起こり得る。一瞬の引き起こすドラマ、と言っても良いかもしれない。
一方、これが長距離レース、トラックでも1000m以上のレースや、数㎞以上走るロードレースにもなると、そんな刹那を感じることがなくなる。
マラソンや駅伝などに代表される長距離ロードレースの鑑賞は、サッカーを観るような感覚が思い起こされる。

最近、Twitterに於けるサッカー界隈にも、戦術クラスタなどと称される人々が登場しているが、マラソンや駅伝の視聴にもそういう人々が登場する要素が、あるような気がしてならない。
このチームの監督はこういうオーソドックスな戦法で挑むけど、別のチームの監督は変わった手段を用いるかもしれない……などという推理ができるだろう。
あるいは、駅伝の場合だと、○区の走者が当初のエントリーと入れ替わったことに何の意味があるだろうかと深掘りすることも面白いかもしれない

とはいえ、こういう大会での主力は、まずスプリントレースであることが多い。故に、戦術的にどうこうというのは考えにくい。むしろ、スプリントレースのようなものは理屈を遠ざけるような気がする。
だからして、スプリントレースを、あまり深く考えずに、夏の夜の花火大会でも観に行く感覚で見てみると面白いかもしれない。
もちろん、走る当事者の選手たちにも、様々な作戦や思惑があるだろう。それは百も承知の上で、そう言ったものをみんな投げ出して、目の前で起きていることだけを切り取って見てみる、ぐらいの感じで良いのではないだろうか。

サッカーの見方とは恐らくかなり異なる、言わば真逆の見方、ということが言えるかもしれないが、それをやることで、またサッカーにも違った見方ができてくるかもしれない。
陸上競技の、特にスプリントレースには、意外にもそういう効用があるんじゃないかと、あれをライブで見る度に思ってしまう。

KAZZ
たまにOWL magazineに文章を寄稿している人。傾向として昔話担当なのではないかと思い始めているおじさん。
主な執筆記事:『島根県民なのにガイナーレ鳥取を愛好する偏屈なおっさんの話
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スポーツ観戦はお祭だ。~このご時世に各スポーツの観戦好きに問われるもの。流儀と御作法~

(さとうかずみ@むぎちゃ)

先日、某雑誌のwebニュース記事を眼にした。

「プロ野球に応援は必要か?」的な見出し。しかも指し添えられた写真は、我が愛する読売巨人軍の応援席。

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むむっ。

飛沫感染リスクから大声、応援歌を歌うこと、トランペットも禁止。

タオルを回すことも、ハイタッチ、肩を組むこと、歓喜のハグも接触リスクからタブーとされた。

応援活動が認められないのだ。

それでも柔軟に対応し、リモート応援やら、なんとか許された範囲の中で盛り上げようと試行錯誤。

と、私の40年来憧れの読売巨人軍私設応援団のおひとりが話したことが書かれていた。

サッカーとて、同じ。他人事とは思えない内容。

そして、続きがあるのだ。

そんな、制限下のストレスとモヤモヤの一方、

「メジャースタイル」はどうだ。

多少歓喜の声などあれど、静かに各々のスタイルで観戦。コロナ禍にあった話じゃない。昔からだ。

そして、このコロナ禍の状況で、
メジャースタイルでの観戦を余儀なくされたが、「コレでいいじゃない」的な、わざわざ「日本式プロ野球応援スタイル」を応援五月蝿いとの声が浮上したのも事実。
と、言う話。

これは、どちらが良い、悪いの話ではない。どちらが正解と言う話でもない。

で、これも、サッカーも同じ。

サッカー以外のスポーツも同じ。じゃないかしら。

今の、静かに応援、観戦スタイルがスタンダードに、当たり前に、成り変わっていくのだろうか…。

私は、サッカーが好き。所謂サポーター。
が、ブースターとしてバスケットも観に行く。
フットサルも。バレーボールも。で野球も大好き。何なら言っちゃえば、サッカーより好きかもしれない。

いや、どちらも「違う」スポーツだから、どっちのほうが好きではなく、どっちも好き。なのだ。どのスポーツもそう。比べる土俵にあがらないのよ。

特にどれも現地で観るのが好き。あの、一体感あるそれぞれの応援がなんたって好き。大声を出し、声に思いを乗せて届けと。タオルやフラッグのエンブレムを誇りと振りかざし、感情を吐き出す。応援は「文化」だ。もう、現地での応援はすべてのその場にあるアイコンすべてが産み出す 「お祭」だ。

それぞれのスポーツに観戦流儀がある。郷に入っては郷に入っては郷に従え。それを楽しみ、どこかサッカーの応援に取り入れられないかな?…サッカー観てる時これはないんだよな…なんて頭の片隅で思いながら「違い」も堪能する。

それぞれの競技、応援…このコロナ禍、自粛の波を受け同じように我慢に苦しみ、もがいているのだろう。

サッカーファンも、こんな時期だから、観られるスポーツならなんでも…と彷徨い、他のスポーツの魅力に触れたりされている方もいるのではないだろうか。
それは、不幸中の幸い。
幸せなことだと思う。

もしかしたら、選手もそうなんじゃないかな?自粛のなかで新たなトレーニング法を他競技に習ったり、観戦したりなんてチャンスがあったりするのではないかしら?

それってすごく幸せ。
そうして、他スポーツに触れ、他スポーツをRESPECTし、何かサッカー観る時とは違う脳みそ働かして、インプットしたものをサッカーに良いフレッシュな風として吹き戻す。

どうです?そんな見方。

どうです?サッカー以外のスポーツに触れるのも面白いではないですか?その競技を観る「流儀と御作法」を楽しんでほしい。

そして、その多種多様な感情が溢れる賑やかな躍動する「応援」が早く帰ってくることを、願う。
応援が大好きだ。お祭、もう一度。
御作法思い切り嗜みたい。

さとうかずみ@むぎちゃ
ヴィアティン三重、栃木SC、そして船山貴之のサポーター。OWL magazine代表の中村慎太郎に「サッカー界には彼女を表現する語彙がない。」と言わしめた。
主な執筆記事:『サッカー旅の正装、レプリカユニフォームの正しい使い方
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サポーター×ブースター、兼任のすすめ

(大宮けん)

思い出してみてほしい。昨年のシーズン終了翌日から今年のシーズン開幕前日まで、どうやって毎日を過ごしてきたかを。

私自身に関して言えば、毎週のようにバスケットボールを観戦していた。


私は幼い頃からサッカーや野球の試合はよく観戦していたが、バスケットボールはほんの数年前まで一度も生で観たことがなかった。

きっかけは5年前。プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」が始動したことである。

バスケットボールでは、サポーターのことを「ブースター」と呼ぶ。それぞれのブースターが各クラブを好きになったのには、様々な理由があることだろう。

私の場合、「地元」というのが決め手になることが多い。大宮アルディージャのサポーターになったのはその典型だし、埼玉西武ライオンズを応援しているのも同様だ。

生まれ育った「地元」で活動するチームというのは、私にとってこの上ない訴求力がある。

バスケットボールもまたしかり。私の生まれ育った埼玉県には、Bリーグ開幕以前より「埼玉ブロンコス」というチームが存在する。

所沢市が本拠地ではあったものの、私の住むさいたま市でも活動していたブロンコス。名前は聞き馴染みがあったし、時々近所で試合を行っていることも知ってはいたが、結局Bリーグの前身である「bjリーグ」の時代には、一度も試合を観に行くことはなかった。

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Bリーグが開幕し、テレビやネットでB1の強豪チームの試合を見るようになるなど、にわかバスケットボールファンとしての第一歩を歩み始めていた頃のこと。

一度地元のブロンコスを観に行ってみようかと日程を調べると、ちょうど自宅に程近いさいたま市内の会場で試合が組まれていた。これは行くしかないと思い立ち、すぐさまチケットを購入。2017年4月15日、21歳にして私はブースターデビューを果たした。

その試合ではブロンコスは敗れてしまったが、私は完全にバスケットボールの魅力に目覚めた。この試合を機に、今日に至るまで足繁くアリーナに通い続けている。


かれこれ4年くらいJリーグサポーター兼Bリーグブースターを続けているが、この両者は非常に親和性が高いと思っている。

贔屓チームの勝利の喜びと敗戦の悲しみ、素晴らしいプレーに沸き立つゴール裏、好きな選手に大声で叫んだ声援、スタジアムで飲んだビール。それぞれのJリーグサポーターの胸に、それぞれのサッカーに関する思い出が生き生きと残っていることだろう。

それと全く同じ体験をすることができるのが、Bリーグのアリーナだ。Bリーグは秋春制。JリーグのシーズンオフがBリーグのオンシーズン。つまり、JリーグサポーターとBリーグブースターを兼任すれば、バスケットボールがサッカーのない心の隙間を、しっかりと埋めてくれるのだ。

BリーグはJリーグと同じく三部制。クラブ数も多く、ホームタウン内の複数の会場を使用するクラブも多いため、みなさんの近所でも試合が開催されることがあるかと思う。

私自身、バスケットボールは体育でやった程度の関わりしかない。そのため、細かいルールや戦術はほとんど分かっていないのだが、それでも十分に楽しむことができている。

Jリーグのシーズンオフ、スピーディーでエキサイティングな真剣勝負への飢えを感じたら、是非Bリーグのことを思い出してみてほしい。そしてお気に入りのクラブや選手を見つけ、どこかのブースターになってみてほしい。Jリーグが大好きなあなたなら、きっとBリーグのことも好きになるに違いない。

大宮けん
大宮産まれ大宮育ちの25歳の男の子。アルディージャを追いかけて全国各地を駆け巡る。大叔父が元区長という家柄で、自身も政治の道を志す。
主な執筆記事:『Jリーグをきっかけに政治を志した若者の所信表明 ~サラブレッドによる令和の日本列島改造論~
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Bリーグ・西宮ストークスに想うこと

(豊田剛資)

住む街にプロクラブがある。

プロスポーツの試合観戦が身近にできるのは幸せな環境です。しかも自宅から徒歩数分圏内でプロスポーツの試合が行われている場合、それは大変ツイているとしか言いようがありません。そのスポーツが体育の授業でしかやったことのないスポーツであってもです。

僕が住む兵庫県にはプロバスケットボール・B2リーグに所属する西宮ストークスがあります。

このクラブを知ったのは、Bリーグ初年度の2016年の終盤です。フジテレビの番組「ワイドナショー」でBリーグ・熊本ヴォルターズを特集した放送を偶然見たことでBリーグに興味を持ちました。放送後すぐにネット検索で西宮ストークスの存在を知りました。兵庫県にもプロバスケットボールチームがあることに嬉しさというよりも、驚きの方が強かったです。なぜなら、チーム名などが入ったのぼりや試合告知のポスターを見たことがなかったからです。身近に日本最高峰のプロリーグに所属するチームが近所の市民体育館でするのであれば、一度は観に行きたいと思い、2017年度B1開幕戦のチケットを購入しました。

開幕までの期間、僕は西宮ストークスのことを色々と調べました。2017年度のチーム編成はB2リーグ時代の主力選手を中心とした編成。しかも西宮ストークスは初代B2リーグ優勝チームだから、元々B1リーグ級の戦力をすでに持っていると思いました。また、開幕戦の相手は千葉ジェッツふなばしだったので、期待しか持てなくなりました。

2017年度のB1リーグ開幕戦当日、試合会場周辺の駐車場は試合開始3時間前から満車となりました。周辺道路が駐車場待ちの車が原因で交通渋滞と近所迷惑を起こしていました。こういった状況をみると、「西宮ストークスは知られていないけど、実は人気があるクラブだ」と僕はそう思い、更なる期待がこみあげてきました。しかし、同時に良いイメージを勝手に思い込んでいるのではないかという違和感を持ちました。

その理由は以下の通りです。
① 駐車場状況を本部へ報告する女性スタッフが非常にテンパっていた。
② 試合会場入り口から観客席までの動線が一切できておらず、会場内も渋滞していた。
③ 電気の延長コードの処理がされておらずコードを踏んだりし、受付等の見栄えも非常に悪かった。
④ バスケットゴールに貼られているスポンサー看板はプリンター印刷の手作り感があった。
⑤ Bリーグといえばド派手な演出(プロジェクトマッピングや火がドーン等)があるはずなのに、一切なかった。チームエンブレムが床に映して演出していても、文化祭のような演出にしか受け取れなかった。
⑥ 千葉ジェッツふなばし・富樫勇樹がパスカットをし、独走カウンター&3Pシュートをあっさりと決められる。7割程度でプレーしている感じがした。

以上のことから、西宮ストークスはチームもフロントも実力以上に勢いだけでB1昇格したことが想像できました。また、B1で十分に戦える選手や社員スタッフを揃える資金力もなかったと考えられました。この日集まっている観客のほとんどが対戦相手の千葉ジェッツふなばしを観に来ているとも思えてきました。

このままでは西宮ストークスは経営破綻する。

生まれて初めてプロバスケットボールの試合を観た時の率直な寂しい感想です。

対戦相手の富樫勇樹の顔と名前が一致して、応援すべき地元チームの選手名を誰一人覚えられず、マスコットのストーキーだけ覚えたことに非常に腹が立ちました。

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この負の感情を抑えるため、僕は試合後に西宮ストークスのファンクラブに入会しました。もちろん、アンケートの入会理由には「経営破綻すると思ったから」と書きました。

2018年度に現クラブ代表が就任した際にB1復帰宣言を控え、B2で基盤を固める旨の話をしました。この話を聞いた僕は身の丈に合ったクラブを築いていくのだと安心しました。

ところが、翌年2019年度の開幕前に現クラブ代表はB1昇格を高らかに宣言しました。きっとスポンサーなどから前年の発言に物言いが付いたからだと容易に想像できます。

西宮市にプロバスケットボールクラブがあること、応援したくなるクラブがあること。B1昇格よりも大事なことがあるはずです。西宮ストークスを支えるブースターやボランティアスタッフ一人一人にクラブへの愛情を試合会場内外でたくさん感じられます。彼らの姿を見て僕も精一杯応援したいという気持ちになります。このような輪が地道に広がって、西宮市全体を巻き込んだ時こそB1昇格すれば良いと思います。巻き込めないのであれば、数年後に神戸市へ本拠地を再移転してもB2リーグで地道に頑張るべきだと思っています。(敬称略)

豊田剛資(とよだたけし)
OWL magazineを読み始めてからサッカー旅に目覚める。現在も社会人サッカー選手として現役でプレーしている。
主な執筆記事:『OWL magazineを読んで僕がサッカー旅へ出かけた理由 〜お礼文を送ったら記事を寄稿することになってしまった〜
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プロボウラーはなぜボールを曲げるのか? ~新・ボウリングの楽しみ方~

(ユウ)

ボウリングが好きなんです ボウリングが好きなんです
悲しい気分で落ち込む時にゃ ボウリングをするのです

2019年に発表された、桑田佳祐&The Pin Boysの楽曲「レッツゴーボウリング」。この「The Pin Boys」とは、特定のコラボレーション相手のことではなく、「一緒にボウリングを盛り上げてくれる人の総称」と、桑田さんは語っています。今日はそんな「The Pin Boys」の一員として、私がボウリングの魅力について紹介しようと思います。

▼私とボウリング

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スポーツと旅を通じて人の繋がりが生まれ、人の繋がりによって、新たな旅が生まれていきます。旅を消費するのではなく旅によって価値を生み出していくことを目指したマガジンです。 毎月15〜20本の記事を更新しています。寄稿も随時受け付けています。

サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…