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サッカー番組について思いの丈をみんなで書いてみた!【OWLオムニバス】

OWL magazineのオムニバス記事企画です!

この企画では、普段OWL magazineに寄稿しているメンバーだけでなく、読者を中心としたコミュニティOWL's Forestのメンバーにも書いてもらっています。

OWL's Forestでは、オムニバス記事への参加以外にもメンバー間の交流や、ラジオ番組の作成など様々な活動を行っています。

是非、一緒に悪だくみをしましょう!

興味を持たれた方は、下のページをクリック!

さて、前回はマンガ『フットボールネーション』の感想をみんなで書きました。

今回のテーマは、「サッカー番組」です。

サッカー番組といえば、今年の9月いっぱいで「やべっちFC」が終了し、少し寂しくなってしまいました。そんなときだからこそ、みんなでサッカー番組について思いの丈を語ってもらおうという趣旨です。

それでは、今回のお品書きです。

・Jリーグとの出会いは、床屋のテレビだった。(さかまき)
・アナウンサーと三大ギタリスト(KAZZ)
・マルカトーレ青嶋、セリエAを舞台に絶叫&おいじり(さいお)
・僕を育てたスーパーサッカー(つじー)
・ダイヤモンドサッカーおじさんの話(中村慎太郎)

Jリーグとの出会いは、床屋のテレビだった。

(さかまき)

あなたは初めて見たJリーグの試合を覚えているだろうか。代表戦ではなく、J限定だ。

初観戦がスタジアムという人もいるだろうし、テレビ観戦だった人もいるだろう。

かくいう私のJリーグ初観戦試合は、今から18年前、2002年に放送されていたテレビ中継だ。

記憶が正しければ、ベガルタ仙台対サンフレッチェ広島だったと思う。休日に訪れた床屋で、たまたま放送していたのを眺めていたのだ。当時の私は野球少年。W杯直後とはいえサッカーへの興味は高くなかったが、生まれ故郷である仙台の試合とあって仙台びいきで試合を見た記憶がある。しかし、床屋のチャンネル権が子供にあるわけでもなく、他のお客さんの要望で試合途中で敢え無く他の放送に変えられてしまい、次に中継に戻った時には試合後のハイライトだった。この試合は今や懐かしいVゴールで決着したので、仮にゴールが決まった瞬間を見ていたとしたら盛り上がって散髪どころではなかったはずだろう。

試合結果を調べていると、少しずつ当時のことを思い出してきた。この試合は残留争いの真っ只中の試合で、下位チームの順位表が頻繁にテロップで登場。「J1に残留するというのは、なかなか厳しいものだ」と思った覚えがある。初観戦が残留争いのカードとは、我ながらマニアックな試合が入口だったものだと感心する。この試合に敗戦した広島は最終的に降格。仙台からすると、残留を争う相手からのこの勝利は大きかった。当時のメンバーを見ると、若き日の闘莉王や古巣との対決となった現役晩年の森保一現日本代表監督など、なかなかパンチの効いたラインナップになっている。

時は流れて約10年後。自分にとってのサッカーブームがようやく訪れる。とはいえ、家にスカパーなんて気の利いたチャンネルはない、インターネットの試合速報の更新ボタンをひたすら連打して結果をチェック。試合映像を見る機会は専ら地上波やBSだった。毎週土曜日のルーチンはNHKBSで19時からの試合中継を見て、そのまま『Jリーグタイム』に流れ込む。他のサッカー番組では海外サッカーの時間も割かれていたのと比較すると、番組名よろしくJリーグに特化しておりJ1の試合はほぼ全てダイジェスト中継するので、時間の問題で割愛される試合が無いのが嬉しい限り。J1の試合が組まれていない週の放送ではJ2特集が組まれるのも、下位カテゴリの選手を見られるとあって楽しかった。

そしてこの記事で紹介したいのが、Jリーグタイムはオープニングテーマが豪華なのだ。売り出し中の若手のタイアップではなく、チャートインするような人気のロックバンドのチョイスが多い。この10年を見ても、RADWIMPSの『君と羊と馬』もとい『君と羊と青』、サカナクションの『Aoi』、サビがジョイマン高木みたいなラップの椎名林檎の『NIPPON』と続き、その後はONE OK ROCK、Suchmos、MAN WITH A MISSIONと軒並み人気バンド・アーティストを起用している。このメンバーでフェスやったらチケット飛ぶように売れそうだ。是非NHKホールで開催して欲しい。古くはポップジャム、現在でもシブヤノオトとアーティスト番組を制作しているNHKの音楽力は今後も注目だ。

プロ野球の地上波中継が消滅し、JリーグもDAZNでの中継が主となった。スマートフォンさえあれば試合を何処でも観戦できる時代に、視聴率の下がったスポーツ中継を長い時間流す意義は小さいかもしれない。テレビのチャンネルを捻ればナイター中継を見られた時代が必ずしもよかったわけでは無いが、自分から情報を得に行かなければならない状況は、敷居が上がってしまったのでは無いかとも危惧してしまう。

そんな中でも、サッカーを含め様々なスポーツの試合を中継し続けるNHKの存在というのは公共放送としての大きな存在感を果たしていると感じてならない昨今である。

さかまき
東京武蔵野シティFCサポーター。stand.fmで「キャプテンさかまき」として『旅とサッカーを紡ぐラジオ OWL FM』を配信中。
主な執筆記事:『「キャプテンさかまき 深夜の馬鹿力?!」 OWL FCのラジオパーソナリティ、はじめました!
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アナウンサーと三大ギタリスト

(KAZZ)

私は自分では知性の欠片もないと思っているので、結構いい加減なことも書いたりするが、あまり気にしないでいただくと有難い。Twitterに出没し、時折noteに寄稿したりYouTubeのOWL Channelでコメントしたりするおかしなおっさんだ。

ところで、そんな私にとってサッカー番組って何だ?となった時、思いついたのはやはり「試合の中継」だった。

中継をする中で、特に重要なのは「アナウンサー」だと私は思っている。アナウンサーにはレトリックが必要で、そのレトリックを操るインテリジェンスが必要不可欠だと思う。

今まで見てきたサッカー中継で、好感度の高いアナウンサーを挙げろと言われると、敬称略で申し訳ないが、以下の3人は不動だと思う。

・山本浩(NHK)
・久保田光彦(テレビ東京)
・舛方勝宏(日本テレビ)

私は勝手に、これらお三方に、ロック界の三大ギタリストを重ねてしまう。

まず、山本浩アナ。

何だろう。彼は、喩えたらジミー・ペイジのギタープレイみたいなアナウンス、と言うべきかもしれない。

ジミー・ペイジはレッド・ツェッペリンで有名だが、それ以前から数多くのセッションをこなしてきた。践んだ場数だけ、経験があり幅が広く懐も深い。ハードロックだけでなく、フォーク的な部分にも才を見せる。

レッド・ツェッペリンの「天国への階段」など、彼のギターがないと成立しないのではないかとさえ思える。
そんなペイジを彷彿とさせる山本アナだ。

続いて、久保田光彦アナ。

彼はエリック・クラプトンのギタープレイみたいなテクニカルなアナウンスをする、というイメージがある。

テレ東には、金子勝彦アナという大御所がいるが、金子アナは、喩えるならロバート・ジョンスンみたいなものかな、と。大昔のブルーズギタリストだが、その影響力は絶大だ。

久保田アナとはタイプが異なるけれど、クラプトンが敬愛する中の1人がロバート・ジョンスンだ。

トリッキーだが、基本に忠実だと思う。

そして、舛方勝宏アナ。

彼はトヨタカップなどで有名だが、その変幻自在な実況は面白い。ジェフ・ベック的、ということができそうだ。

プロ野球のイメージが強い日テレにあって、舛方アナのような存在は異色だった。彼の実況は時々YouTubeで動画が見つけられるので、ぜひ見てほしい。プラティニの幻のゴールなんて、あの実況と共に記憶されている。あの実況がないとただの「得点になり損ねた美しいシュート」でしかない。

今、サッカー実況でここまで楽しませてくれるアナウンサーがいるだろうか。ちょっと思いつかない。

KAZZ
ガイナーレ鳥取を応援し(一応、元ゴール裏民)、サポートはしているが、湘南ベルマーレやデッツォーラ島根も応援し愛好する。島根県の片田舎に「楽しく、厳しく、いい加減に」棲息中。
noteTwitter

マルカトーレ青嶋、セリエAを舞台に絶叫&おいじり

(さいお)

深夜23時は、小学生にとっては未知の領域である。

時は平成、僕は小学5年生。月曜日、ひっそりと寝静まった家のテレビをつけると、とんでもないパラダイスが始まった――。

フジテレビで人気だった『すぽると』内のコーナー「MONDAY Football」には前身があったとされる。

『セリエAダイジェスト』。1994〜2000年に放送され、三浦知良や中田英寿のセリエAデビューをきっかけにイタリアサッカーの興奮を日本のサッカーファンたちに伝えていた番組だ。

今考えても“ぶっとんだ”番組だった。メインは毎週末の試合をダイジェスト形式でお伝えする内容なのだが、ダイジェストの合間合間に寸劇が用意されている。

ウッチーこと内田恭子アナが、熱狂的サポーターのジローラモ(ナポリ)、トニー(リバプール)の2名の言動に翻弄される。「“アニマル”エジムンドコーナー」では、ナポリにいた狂人エジムンドの奇行を毎週お届け。マニアックすぎるぞ。

「誰が楽しみに見るんだ」という視聴者のツッコミをよそに、番組はハイテンション&コメディな構成で狂乱の20分を終える。

印象的だったのが、現在はマルカトーレの愛称で知られる青嶋達也アナだ。ダイジェストのナレーションを担当していたのだが、「ディバラの折返しからクリスティアーノ・ロナウドが豪快に蹴り込み、ユベントスが先制!」といった真っ当なインフォメーションをこちらに伝えてくれない。

特にぶっとんでいたのがクリスティアン・ビエリのナレーションだ。重戦車で知られるビエリのプレースタイルになぞって、マルカトーレは終始吠えている。ボレーシュートを放つビエリも、空中戦を制すビエリも「ヴォー! ヴォーヴォー!!!」。深夜にテレビから野獣のような唸り声が響く。当時、小学生だったサッカー少年の僕も、これには腹を抱えて笑っていた。

ほかにも広島弁のファブリッツィオ・ラバネッリ、関西弁のパトリック・エムボマ、なぜか語尾がアゲアゲになるカフーなど、どこにインスピレーションを得たのかわからない言葉がダイジェストを彩っていた。

毎週毎週、多士済々のスーパースターがド派手なプレーをかましていたセリエAだが、本国イタリアにはこの番組は届いていたのだろうか。

いや、届いていたら当時のセリエAの放映権はフジから剥奪されていたのかもしれない。

こんなぶっとんだサッカー番組、今だからこそどこかが放送してくれないだろうか。

さいお
OWL magazine正式デビューを今か今かと待ち続ける、鳥取出身の編集者兼ライター。デビュー後は故郷のチームの物語を伝える予定。


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