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潜入!VIPシート! ~せんにゅうしておもったこと~

1.分不相応な「VIP」

 皆さんが各地で耳にする「VIP」という単語。略さずに言うと、「Very Important People」。若者ことばで分かりやすく申し上げますと、「超大事な人」という感じでしょうか。

 V・ファーレン長崎の2022年緒戦、東京ヴェルディ戦。私は縁あって、長崎のホーム、トランスコスモススタジアムのVIPシートで観戦させて頂く機会を頂きました。とはいっても、私がいきなり偉くなっただとか、株でひと山当てたなどということではありません。

 行きつけのスポーツバーで、たまたま長崎のスポンサー企業の方と知り合った私は、その紹介をもって、慣れ親しんだホームスタジアムで、さながら来賓のような扱いを受けられることになったのです。


 私がサッカー観戦の味を覚えて以来、「長崎の試合を観戦する」ということは、「トランスコスモススタジアムのゴール裏に行く」ことと同義でした。ゴール裏で声を出したり、飛び跳ねたりすることで得られる「共に戦う一体感」「大きな声を出して仲間同士で喜び合う快感」というものは、何物にも代えがたい至福の時間をもたらしてくれます。

 しかしながら、猛威を振るう新型コロナウイルスは、我々からゴール裏の魅力を、少しばかり奪っていきました。私がずっと持っていた「観戦」=「ゴール裏」の図式は、この時勢によって崩されてしまったのです。

 方程式が崩されたのならば、新たな方程式を見つけるまでです。裏を返せば、コロナ禍というものは、従来のこだわりを捨て、いろいろな席を試してみるチャンスなのかもしれません。そういう思いもあり私は、開幕戦という大事な試合で、慣れ親しんだゴール裏ではない、別の席を選んだのです。

 

 本日の記事は、「自分は『VIP』である」という強烈な妄想をもとに、文章を展開していこうと思います。読者の皆様におかれましては、腹も立つことと思われるでしょうが、いかんせん私は本当のVIPではないので致し方ありません。成金ほど派手なものが好きなのです。30歳手前のハイテンションを、どうかご容赦くださいませ。



2.絶好の「VIP」日和

 開幕戦の天気は雨。この日の気温は9.6℃。

 聞くところによると、雨が降りこんでくる可能性のある他の席とは異なり、VIPシートは間違いなく屋根に守られる、上段席のど真ん中にあるそう。おまけに、寒い時はラウンジの中に逃げ込むことができるとのこと。

 冬の雨の日――。「VIP」の特権を最大限に感じることのできる、まさしく最高のVIPシート日和といえるのではないでしょうか。

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