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介護日記2#83母の言葉〜『ありがとう』は魔法の言葉〜

時々要介護5の母は言葉を話す。

普段母本人としては、ちゃんと話しているつもりのはず。

しかしろれつの回らない状態なので「ふがふが」、「はふはふ」、「あうあう」等にしか、聴き取れないのだ。

約1年前は、もう少し普段の会話を楽しむ事が出来た。

今はかなり難しくなっている。

しかし時々、色々な回線がピタリと繋がる時があるらしい。

今回は夜寝る準備を整えてベッドへ移乗し布団をかけ終わったその時だった。

うつらうつらしていた母の目が、片目だけ開いて私と目が合った。

「おやすみなさい」

私がそう言うと
 
「今日もありがとうございました」

はっきりと声に出して言った。

おそらく娘とは認識出来ておらず、世話をしてくれている施設のスタッフと思って声を掛けてくれたのだろう。

でも、そんなことはどうでも良かった。 

嬉しかった。 
なんだかとても嬉しかった。

声が聞けた事
言葉が聞けた事
ありがとうが、聞けた事

全ての風景が一瞬で色鮮やかになった。

母の魔法の言葉を抱いて
また進もうと思う。

読んで下さってありがとうございます
明日も良い事がありますように(皇帝ダリア)

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