見出し画像

横浜IRの経緯と現状[更新2021/8/15]

 2021年8月9日現在、横浜IRは岐路に立たされている。8月22日の横浜市長選でIR賛成・反対のどちらの候補が当選するかによって、IRが誘致されるか否かが決定するのである。現状横浜市民にはIR反対の声が根強く、IRが経済・地域を活性化させると信じている筆者にとっては、少しもったないなあと感じるような状況である。筆者は、横浜ではなく、できれば関西圏に2つIRが来て欲しいと考えているので、このままの状況でも全く問題はない。

 しかし、今回の章ではIR推進の立場からIRについて解説し、IRによく分からないまま賛成・反対している横浜市民の方が、IRについて少しでも理解し、想像できるようにしたい。そして、皆さんの愛する横浜がより良い横浜になれるようにIRのメリットとデメリットを、各々の方々がしっかりと考えることができるような思考の土台を作りたい。最終的に選挙戦に活かしてくれると幸いである。

※横浜には数回しか行ったことがなく、あまり土地の風土や土地勘があるわけでもないので、ちんぷんかんぷんなことを言っているなと思ったら、そこは飛ばして下さい。

■横浜IRの経緯

 横浜は大阪から一歩遅れでIRの候補地に立候補した。そのころ、シンガポールのマリーナベイサンズを経営する、世界最大の米国IR企業サンズや、香港のギャラクシーエンターテイメントなど多数のIR事業者が日本でのIRを検討していた。大阪がIR誘致で先行していたため、それらの企業は大阪に興味を示していた。しかし、横浜がIR候補地に立候補すると、MGM・ORIXコンソーシアム以外の多くの企業は横浜IRの方に流れていった。

 しかし、急にIRの候補地に名乗りを上げた横浜は、市民の理解が追いつかないままIRを推進し続けた。長年をかけIR誘致を訴え、その上で選挙に勝利し、IR誘致を行なっている大阪。それに対し、横浜では、2017年の横浜市長選でIRを争点にすることをやめ、選挙戦を行なった。結局IR推進派の現職、林市長が当選を果たした。IRについて、その時点で反対の声が根強かったにも関わらず、争点化を避けた林市長。しかし当選するとIRの推進を続けた。よって、横浜では現在もIRへの反対の声が根強い。(注:林市長がIRを推進している背景には、首都圏にIRを作りたい国のバックアップもあった(?)と私は何となく推測しているので、林市長を悪者のように書いているが、簡単に説明しようと思うとこうなってしまった。林市長が全面的に悪いと思っているわけでは全くない。)

 それに対し、大阪から横浜に流れた多くのIR企業は、横浜でIRをするためにイメージ図を公表するなど、横浜に対しアピールを行なった。しかし、霞ヶ関政府のIRに対する動きが遅いことや、上で述べたように横浜市民の多くがIRに反対しており政治的にIR中止になるリスクを秘めていること、コロナでIR企業の経営状態が悪化したことなどを理由に、企業がどんどん撤退していった。その中にはシンガポールでマリーナベイサンズを運営するカジノIR世界トップ企業の「サンズ」や香港のIR大手ギャラクシーエンターテインメントの姿もあった。(注:サンズは、経営するマカオやシンガポールIRのための資金が、コロナとは関係なく大量に必要になったという理由もある。)

■横浜IRの現状

・企画提出企業

 最終的に現在、横浜IR事業計画を提出しているのは、建設通信新聞によると「シンガポールに拠点を置くゲンティンシンガポールを代表とし、大林組・セガサミー・鹿島・綜合警備保障・竹中工務店を構成員とするグループ」と非公表のグループである。iag JAPANによると、この非公表のグループは「マカオを拠点にするメルコリゾーツと大成建設のグループ」のようだ。私は横浜IRについて大阪ほど詳しくないため、構成員がどこかについては情報が頭に入っていないが、事業主体は「ゲンティンシンガポール」と「メルコリゾーツ」で間違いないであろう。この2つのグループが現在争っており、IR誘致が決まれば9月頃に事業者が決定されるはずだ。下の写真が完成イメージパースである。横浜市民のIRへの機運を上げるために公表された。なお、どちらがどちらのパースかは非公表。

画像1

画像2

出典:建設通信新聞

・横浜市長選

 横浜IRがどうなるかは、初めに述べたように次の横浜市長選にかかっている。現状IR賛成派2人反対派6人という構図である。私は大阪の民で、選挙については横浜市民が考えれば良いので、述べなくてもいいのだが、おせっかいながら当選の確率が高い候補者を少しだけ見ていく。
 
 IR賛成派で当選しそうなのは現市長の林市長である。反対派の立候補が多い今回は反対派の票が分散することが考えられるため比較的有利に選挙戦を進められるかも知れない。ご高齢で出馬を悩んだようであり、また自民は推薦しなかったが、賛成派が少ないので出馬を決めた。当たり前の話である。頑張って進めたものを途中で、何の抵抗もないまま、おじゃんには誰もしたくない。

 IR反対派で有力候補は、自民公明推薦の小此木さんと、立憲が推薦し、共産社民が支援する山中さんである。
 小此木さんは当選候補筆頭だと私は考えているが、国政でIRを推進しているはずの自民公明がIR反対派を応援するのは少し奇妙である。菅総理も応援しているらしい。こういう奇妙な状況を見て、小此木さんは当選後主張をひっくり返すのではないかと考える人もいるようだが、私はそんな不誠実なことはしないだろうと思っている。
 山中さんは医学部のデータサイエンスの教授だったらしい。立憲の肝いりの候補者だが、小此木さんと林市長の牙城を崩すことはできるだろうか?

■横浜IRについての記事一覧

その他、横浜のIRについて知りたい人はここ↓


■その他のIRのページ一覧

他にもIRについて読みたい人はここから↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?