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"凄い"人に対して起こる『心の後ずさり』

世の中には、様々な「人を惹きつける活動をする人」がいますよね。例えばアイドルとか、歌い手とか。あなたの推しもその1人なのではないかと思います。

しかし、あなたはその推しのことを"心から好き"でいられていますか?


「人を惹きつける活動をする人」って、基本的に"凄い"ですよね。アイドルなら可愛い、歌い手なら歌が上手い。そういう人々の"凄さ"を目の当たりにすると、何か嫉妬心のような、憧れのような「マイナスの感情」を抱いてしまうことがありませんか?僕はこれを『心の後ずさり』と呼びます。

例えば僕は、Adoの歌を聴くと『心の後ずさり』をしてしまいます。別にAdoのことが嫌いなわけではありません。歌が上手くて凄いと思います。でも"凄い"が故に、好きになれないのです。この感覚分かりますか?

ちょっと僕の説明だと下手すぎますね。同じことを分かりやすく説明してくださっている方がいらっしゃるので、その方の言葉を拝借いたします。


憧れる気持ちにはちょっと辛さも入っている。羨ましいみたいな気持ちになるから、そういう気持ちを人に起こさせたくない。AV女優になったのも、どこかで見下される職業って分かっていてやっている。私がどんなにすごい正しいことを言ったとしても、見下せるポイントが一個あると見る人も楽なんじゃないか。

https://youtu.be/9c4og4HrzsM?si=5B9PLv6ErmlGdnMi

これは元AV女優の戸田真琴さんの言葉です。これです。まさにこれです。

誤解を恐れずに言うと"凄い"って"嫌"なんですよね。本当は素直に好きになって応援できればそれがベストなんでしょうが、それができないのが我々なんだと思います。心のどこかで「くそー」と思ってしまう。それを回避するために戸田さんが選んだ答えが「あえて見下される」なのです。

そして、これを武器に人気を得ていると感じるのがVTuberです。これは悪口ではありませんが、VTuberって凄くないじゃないですか。寧ろVTuberを好きになるタイミングって「見下せる!」と思った瞬間だったりしないですか?こいつ頭悪いなとか、だらしないなとか、性癖やばいなとか。そういう『見下せポイント』みたいなものを入口にVTuberを好きになることは多い気がします。入口でなくとも、それを理由に好きでい続けられるという場合もあると思います。

ただ、それでも僕はVTuberを好きになれません。何故ならば「地位が"凄い"」からです。いくら見下せるのを理由に人々を魅了するVTuberであっても、結局チャンネル登録者数とかフォロワー数とかは多いじゃないですか。なので見下せません。見下した結果見下せないのです。

「こいつめんどくせぇな」「誰も好きになれないだろ」などと言われそうで、それは本当におっしゃる通りです。しかし、ただ1人"心から好き"な人が見つかりました。

原宿さんです。


原宿さんといえば、オモコロの編集長でありオモコロチャンネルのメンバーでもあります。その独特な感性からファンも多く、僕も以前原宿さんに関するnoteを書いたことがあります。

"凄い"です。原宿さんは"凄い"人です。なのに心から好きなのです。自分でも不思議に思い、何故なのか考察してみました。

まず大きな要因として『圧倒的年上』というのがあります。あまり圧倒的年上の凄い人に対して「くそー」とは思わないですよね。Adoと布施明では見方が違います。

そしてもう1つ重要だと感じるのが『僕たちに近い姿をしている』ということです。例えばVTuberは2次元の可愛い/かっこいい姿なので「僕たちの上位互換」と思ってしまいます。原宿さんは3次元のおじさんなので思いません。

また、姿と言っても文字通りの意味だけではなく「生活」という意味もあります。原宿さんはたびたびTwitterで「この食べ物が美味しい!」とか「この作品がおもしろい!」というような何気ない日常的なことを呟きます。それを見た僕たちは「僕たちに近い生活をしている」と思うのです。あまり忙しくなさそう(実際どれくらい忙しいかは分からない)ですし、ゆったり生活している感じがどこか安心します。

つまり、原宿さんは有名人やインフルエンサーにはできないような『一般人ムーブ』を取っていることで、一般人としての原宿さんを見せてくれているのです。僕も一般人としての原宿さんを好きでいられています。

この『一般人ムーブ』理論がどこまで通用するのかは分かりませんし、僕たちと違う姿をしているVTuberにはそもそも不可能なことです。しかし、今人気が天井を叩いている有名人も、この『一般人ムーブ』を取ってみるともしかしたらその天井を破ることができるのかもしれません。原宿さんにもどうか『一般人ムーブ』を続けていただきたいなと思います。わがままですが。


最後に、僕が気になっていることを話して終わりたいと思います。

皆さんはおもしろい人のことを"凄い"と思いますか?

おもしろい人にも種類はあります。例えば和牛の漫才を見ると「おもしろい!」と思うと同時に「凄い!」と思いますよね。しかしこれは「おもしろさ」に加えて「技術」が乗っかっているので、それに対する"凄い"なのかなと思います。

僕が言いたいのはスタミナパンの「ほんとにウンチしてまーす」みたいな、技術とかではない純粋な「おもしろさ」です。恐らくこれを考えたのは麻婆さんですが、麻婆さんのことを"凄い"と思うかと聞かれるとどうでしょう。

勿論、麻婆さんに技術が無いとかそういう意味ではありません。ただ、それとは切り分けてください。「ほんとにウンチしてまーす」に技術もクソもないじゃないですか(ウンチだけに)。

麻婆さんの「おもしろさ」も歌の上手さと同じように人を惹きつける魅力ですし、何なら羨ましいし憧れもします。なのに何故か僕は"凄い"とは思わないのです。不思議で仕方ありません。皆さんはどう考えますか?


僕は凄くない人が好きです。なので皆様にも凄くならないでいただきたい。そして凄くない人同士で集まって村を作りましょう。できるだけ凄くない村を。

それでは。

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