191127_微分音用語解説

微分音 Microtonal Xenharmonic 違い 【019】

こんにちは、こんばんわ、ユートピア!
変拍子兄さんのお時間です

今回は、微分音そのものではなく、ワードが何を指すのか?という用語解説をしていこうと思います
今回は微分音の話題でよく出現する紛らわしい言葉の使い分けや
こんなワードあったら便利!ってことで新しく定義したりするお話です

◆微分音・Microtonal・Xenharmonic

日本では「微分音」といわれる通常の鍵盤では弾けない類の音程
「微」=細かく 「分」=分ける という語で作られています
これに対応するのが「Microtonal
厳密には「微分音=Microtonal」
「細かく分ける」ことをさしているので、純正音程も含んでいます

さらに、「微分音」にはもうひとつ別の意味があります
それが「Xenharmonic
Xen=異質 という接頭辞を使った語です
純正音程のなかでも一般的に用いられるものはXenharmonicからは外れます

日本語にはXenharmonicに対応する語がなかったのか
微分音という言葉の異質さからなのか
「微分音」で「Microtonal」と「Xenharmonic」の両方の意味を持つようになっています
図にするとこんな感じですね

Xenharmonic 図

僕は微分音=Microtonalという意味で使うことが多く
Xenharmonicと言いたいときは、「微分音的」とか、そのままXenharmonicと言ったりします


◆微分音・積分音

微分と聞くと必ず頭をよぎるのがこいつ数学の微分ですね

微分

数学の微分も「細かく」「分ける」という所は同じではありますが
微分(derivative)は「変化率」という部分に着目する演算なので
xが増えるとyはこれだけ増えるといった、「2次元」的な思考なのです
要するに微分音の微分と数学の微分は全く別物ということです

これを端的にあらわす言葉が
「微分・音」じゃなくて、「微・分音」
ということになります。

そのため「積分音」は?と考えたくなりますが、
もともとの意味が数学の微分とは異なるので、言葉遊びの類になりますね。
一応、音程を細かく区切った奴を重ねるという発想で「積分音」なるものは作ってみましたが、要するにこいつ「クラスター」ですね


◆Microtonal・Commontonal・Macrotonal

Microtonalの対義語を考えてみましょう
細かく分けるのがMicrotonalですから、粗く分けるものも
もちろん存在するわけです
それを「Macrotonal(マクロトーナル)」といいます
つまり12平均律よりも少ない数字で分割しようという微分音の発想です
無理やり日本語をあてるなら「巨分音」ですかね

5平均律や7平均律、ボーレンピアス音律などはMacrotonalなやつらです
Macrotonalってスケールじゃね?って思うのですが、ピッチの選択肢が狭まってる「音律」なのです

それでは、マイクロでもマクロでもないやつつまり12平均律は
何トーナルなのか?ということで僕は「Commontonal」と呼ぶことにしています
「凡分音」と呼ぼうとしてるのですが、悪口っぽいので使わずコモントーンと呼んでいこうかなって思ってます


◆Xenharmonic Orthoharmonic

微分音の細かさではなく「奇妙さ」のワード
「Xenharmonic」
これの対義語も考えておきましょう、
特に奇妙ではなく普通のあたりまえのハーモニー感は何なのか?
Orthoharmonic」と呼んでます
オーソドックスのオーソですね

微分音で曲を作るときにあまりにも普通になりすぎてしまった、というときに「オーソハーモニックすぎる…」とつぶやいたりします

ちなみにですが
XenとOrthoって連続的なものなので白黒はっきりつけられるものではないです。そこを「程度」的な表現もほしいということで
キモリティ(Kimolity)」という言葉も時々使います
これはスラング感がありますね
特にこの言葉は微分音と音色の組み合わせのことを指していることが多いです(僕ぐらいしか使わない言葉なのですが)
言葉が面白いので積極的に使ってください。
変拍子兄さんからのお願いでした

◆inharmonicity

インハーモニシティという言葉ありますね
ハーモニックと言う言葉は倍音を示していることが多く
この言葉は倍音のゆがみを示しています
インハーモニックとは言わず、程度の表現として使われますね

純正音程(Just Intonaion)・純正律(Pure Temperament)

微分音のややこしいワード
純正音程と純正律 このふたつは同じようで規模感が異なります

純正音程とは音程ですので2音間の幅、3音間の幅 といった風に
距離感を示すワードです
それに対して
純正律とは音律 つまり 鍵盤全体・使用可能な音程・ピッチ全体のことを示します。トータルな概念で、全体を示すワードです

それなら、平均律に対して平均音程(Equal Intonation)という表現があってもいいのではと思いますけど、あまり耳なじみがないですね
そこは「純正のミじゃなくて平均のミ!」みたいな感じで使いますかね
でも何平均のミなのかは、わからないですね
どうやら、平均音程という表現は曖昧さがあるようです

◆Otonal Utonal Atonal​

オトーナル(otonal)とは基準の音に対して倍音捉えるという音程の作り方
それに対してユートーナル(utonal)とは基準の音を倍音として捉えるという音程の作り方です

ちょうど分子と分母のような関係です
ドの3倍音オトーナルであればドの3倍音のソ
ドの3倍音ユートーナルであればドを3倍音にするファとなります

それに対してアトーナル(Atonal)は無調ですので
倍音とのつながりを意識させないという破壊の発想です
マクロトーナルと非常に相性がいいですが
結局は何らかの倍音や音程に聞こえてしまったり、基準となる音が何となくわかってしまうことが多いので
「真のアトーナル」って難しいよね…って思っています


◆〆
ということで微分音ワードの解説の話でした
割とエッセイ寄りで主観強めのお話でしたが
語彙って結構、思考の細胞みたいなところありますから、時々振り返ってみたくなりますね、それでは。

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