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「我が子がこの校舎にいる姿が目に見える」とは

そこにいる長女の姿は驚くほど想像つかなかった。

先日行った説明会の学校。この数年人気急上昇中の強気な戦略でほとんど説明会もなく今年初めての説明会には大量の親子がいた。いわゆるリブランド校で女子校から共学化し、カリキュラムを変え校則も完全撤廃したという。だからだろうか女子の皆さんの顔がなんか大人っぽいなと思ったら化粧をしていた。説明会では見なかったけれど金髪の子もいるそうである。以前行った某リブランド校も同じような理想を掲げたがそこはあまりに着崩され慌てて学校がルールを設けたがここはさすがに改革成功例で良く出てくる学校だけあって本当にないらしい。

講堂入口でそんな女子を見て、先生の話を聞く前からすでにちょっと違うかなあと思ってはいた。

そして説明会の話を聞いているうちにそれは確信に変わった。

この学校が求めている生徒像は 
・日本の教育に縛られない、縛られたくないタイプの子。
帰国子女を熱烈歓迎している。確率的に日本の教育が合わない子が高いだろうという手っ取り早い選考方法なのだろう。化粧する女子高生=ひと昔のヤンキー女子高生というイメージとは全く違う、高校生ながらすでに自分のスタイルがあってどう綺麗に見せるか、それが武器になることもわかっている化粧だ。

・部活でも活躍し、勉強もできて、生徒会長とかやるリーダーシップのあるオールマイティなタイプの子、根っこに負けず嫌い精神のある子。企業の歯車になるな、がモットーである。企業ではなく自分のアイデアで起業できる子が理想。

どれもが当てはまらない我が子。人当たりは良いかわりに競争心がないし個でいるより集団の方が落ち着く性格。そりゃ、向いていないわ…。道理で想像できないはず。

中高併せてそりゃ結構な数の学校に行ってみると、説明会で話を聞いてパンフレットを眺めてるとうっすらとその学校が求めている生徒像がわかってくる。結局「その制服を着て校舎を歩いている我が子が想像できるか」って、その学校が考える生徒像に自分の子がどれだけ近しいかが、学校との相性が良いかってことなんだろうなと感じる。

ところでこういう個性を大事にしリーダータイプの生徒が好みの学校って、その集団の中でリーダーになれなかった子へのフォローはどうしているのだろうか。本来はリーダーになりたい、人の真ん中や先頭にいることが居心地良いのに、自分よりすごい子ばかりでなれない子はどうしているのか?公立中の、長女の学校のような社会の縮図のような学校は県内トップ校に入る頭の良い子もいるが小学校の算数もままならない子もいて、リーダーシップのある子もいるがうちの子のように後ろからついてくのが落ち着く子もいる。だからバランスが取れているのだけれど、全員がリーダーシップのある子ばかりの集団の中でこぼれ落ちる子にどれだけサポートできるかって大事なんじゃないかなと思うのだが、校長先生がアクティブラーニングの理想を延々と語る学校というのはどうしているのだろうとふと疑問がわく。そのフォローが足らないと一部からは口コミで酷評されるのかもしれない。この学校の場合【最高】と【最低】両極端で総体的に真ん中になっていた。 

説明会後の校舎見学中、ふと教室の窓から外を見た。

そこにはあまり情緒があるとはいえない、特徴のない住宅地が広がってるだけだった。今までの学校でみた、はるか先に海が見えたり、緑豊かな景色があったり、対象的に都会の象徴みたいな雑居ビルの中に高層ビル…のどれでもない。眺めるには寂しい景色。卒業したあとに思い出すこともないような。

この学校の子はつまらない授業中先生の声をボーっと聞きながら外を眺めるという事はあるのだろうか。これは社会人になったら絶対にできない(仕事もせずにボーっと外眺めていたらクビになってまう)学生の特権であり、そういう時間も必要なんじゃないかなと個人的に思っている。

そしてそれは大人になってずっと後に「そういえばあの頃ずっと眺めてたあの木、どうなったかな…」って懐かしく思い出すと思うけど。



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